『書く習慣』(いしかわゆき著)はライターのいしかわゆき氏よって書かれた「書く」ハードルを下げて執筆モチベを爆増させてくれる本です。私は1記事更新のハードルが上がってしまい、更に収益性まで意識するようになってしまった結果、ブログ更新意欲がかなり落ちてしまっていた時にこの本に出会いました。タイトルの通り書く習慣の付け方も語られていますが、書くことのメリット、伝わりやすい文章の書き方も学べます。この本が向いている人は書くことに対してハードルが上がってしまっている人や書くことの意味を見失ってしまった人でしょう。この本が向いていないのは感想を伴わない情報だけを集めて短期的な収益を考える人でしょう。本記事では『書く習慣』ブックレビュー・感想を書いていきます。
この本の基礎情報
3万部突破!
『Amazon』
Twitterで「#1ヶ月書くチャレンジ」が話題!
本書を読んだ読者が書いたnoteは7000以上!
この本を読めば、きっとあなたも「書ける人」になれる!
日記・SNS・note・ブログ、「続かない」と悩むすべての人のための
「努力・才能・技術」より大切な“たのしく書く”ためのコツ
SNS、ブログ、note、世間に発信できるサービスが増え、多くの人が文章で自己表現しています。
他人の発信を目にする機会も増え、「自分もなにか発信してみたいな」と思う人も増えています。
「書く」を仕事にする人も増え、文章の指南書も数多く出版されています。
でも「書く」ことは、好きじゃないとしんどい。
むしろ「好き」になるからこそ、習慣になり、自然と上達していきます。
この本では、あなたの「書きたい気持ち」を高め、
「書く」ことを習慣にするためのコツを紹介します。
書くのが好きになれば、習慣になって自然と上達する。
書くのが好きになれば、自分の思いを伝えたくなる。
書くのが好きになれば、真っ白な画面にワクワクするようになる。
書くのが好きになれば、毎日が楽しくなる。
人生なんて、「書く」だけで変わる。
そのためのコツを、お伝えします。
第1章:言葉と仲良くなれば書けるようになる
誰でもなく、「自分のため」に書いていい
「自分はアホだ!」と思えばアウトプットできる
まずはその「メイク」を脱ぎ捨てよう
「うわぁ?」と思ったら「うわぁ?」と書いてしまえ
「完璧主義」を捨てて、どんな形でもいいからおわらせて など
第2章:習慣になれば書くのが楽しくなる
「視界の端にチラつかせる」が習慣化の第一歩
「自分日記」で思いを言葉に変えていこう
「思考停止時間」を探し出せ!
「毎日やる宣言」で自分のプライドを利用する
「やめたら気まずい」状況をあえてつくろう
「生産性のない自分」を受け入れよう
「書く」ことを楽しく習慣化する「Twitter活用術」 など
第3章:ネタを見つけられると止まらなくなる
「愛」のある発信は無益でも受け取ってもらえる
「面白かった」でおわらない人になるための読書術
テーマを決めて、自分に「取材」してみよう
なにもない日は「なにもない」ことをネタにする
情報を集めることだけが「インプット」じゃない など
第4章:ちゃんと伝わると嬉しくなる
その文章、「中学生」にも伝わるレベルですか?
すべての文章は「知るかボケ」前提で書く
「たったひとり」の向こうに世界は広がっている
「いい感じのまとめ」が文章をつまらなくする
「誰でも書けそうな文章」から抜け出す方法 など
第5章:読まれるともっと好きになる
文章の顔はイケメンよりも「三枚目」くらいがいい
「1%の体験」は100%の評論に勝る
「まるで自分に言われてるみたい」と思わせる秘密の言葉
過去の自分に向けて書くと、「未来の誰か」が救われる
「あのクソ野郎」に共感が集まる!? など
第6章:「書く」ことが与えてくれるもの
世界のどこかにいる「仲間」が見つかる
文章が「ひとり歩き」して自分を広めてくれる
平凡な毎日が言葉で「ラベリング」される
書くことは「呪い」を解くための「魔法」
新しい世界への「切符」が手に入る など
いしかわ ゆき
『Amazon』
ライター。早稲田大学文化構想学部 文芸・ジャーナリズム論系卒。
まったくの未経験からWebメディア「新R25編集部」を経て2019年にライターとして独立。
現在は取材やコラムを中心に執筆するかたわら、声優やグラフィックレコーダーとしても活動している。
マンガを年間1000冊買うヲタク。
noteにて「ゆぴの10分日記」「“書く”が好きになる文章マガジン」を更新するめちゃくちゃ一般人。
著書に『聞く習慣 自分と人生が変わるいちばん大切な会話力』(クロスメディア・パブリッシング)と『ポンコツなわたしで、生きていく。ゆるふわ思考で、ほどよく働きほどよく暮らす』(技術評論社)がある。
- 出版社: クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2021/8/31)
- 発売日: 2021/8/31
- 言語: 日本語
- 単行本(ソフトカバー): 288ページ
- ISBN-10: 4295405930
- ISBN-13: 978-4295405931, 9784295405931
この本を読もうと思った経緯は?
本ブログではほか記事をご覧の通り、生き物の分類や生態を中心として話題を扱っています。
ただ、かなり専門的で1記事にかなりの調査時間をかけており、体力的な消耗も感じてきました。また、基本的に同じテーマを扱うため、やや飽きや挫折感を感じ、たまには「体験型記事」を書きたいな〜という気持ちが高まっていました。以前投稿した世界史アプリのレビューもなんとなく書いたものでしたが、かなり見ていただいており、自分の体験も価値があるのかも?と考え始めていました。
そんなときアイディアを求めて本屋でふらついていたところ、この本に出会いました。類書は様々なものがありますが、立ち読みの時に著者の柔らかい語り口、カルチャーの近さ、方法論ではなくて執筆のハードルを低くする考え方に惹かれ購入に至りました。
感想は?
第1章では書く敷居を下げる方法について、第2章では書くことをどのように習慣にするかについて、第3章ではネタの探し方について、第4章では文章がわかりやすくなるちょっとしたコツについて、第5章では読者の反応を惹く方法について、第6章では「書く」ことのメリットについてが述べられています。
第1章では論文やレポートなどのお作法を捨てて思いつくままに書くことの重要性を教えてくれます。私はかなり長いこと論文を書く研究もやってきたので、どうしても形式にはこだわってしまう部分があるのですが、今では「書いたもん勝ち!」の精神は大事にしています。今見返すと足りてなかったな、と感じることも多いのですが、修正可能なブログは私の性格にとても合っています。
第2章では自分日記を書くことが勧められています。日常で心が動いたことについてメモすることでテキストに落としてたいことが集まっていきます。確かに今まではなんとなく自分の感情を流してきたのでこういったメモの作成は書く習慣を作る第一歩になるのかもしれません。自分も試してみようと思います。
また、個人的な感想が絡む映画などの作品などであっても「人の意見を知りたがる人が多い」という指摘は、個人的にはそういう人が多いのかもしれないとは思っていたものの、自分がそういうタイプではないので、あまり実感がありませんでした。むしろそのような個人の感想に需要はないと感じている部分の方が大きかったので、学びがありました。
第3章では「好きなものが見つかないのは心に余白がないから」といった旨の内容が書かれていますが、たしかに心に余裕をなくして一心にブログをしばらく更新していると、好きだった動物や植物についても考えることが少し嫌な感情が湧いていました。少し別のことを考えるつもりでこの本を読んでいましたが、このようなことは想像以上に大事なのかもしれません。
「秒で感想を書く」ということは個人的にも重要だと感じてきました。そのとき感じた感情はそのときにしか出ないというのは深く共感できます。また鮮度という意味でも自分にとっても世間にとっても、失われていくものなのでその瞬間はとても大事に思えます。しかし執筆には時間がかかるので、中々腰を重く感じたり、「そもそも書くことに価値があるのか?」と感じてしまい、これまで書けないでいました。これを期にしばらく挑戦してみようと思います。
第4章では専門用語を使わないこと(あるいは注釈を入れる)、抽象的にしすぎないこと、書き手の本音を盛り込むことなどが書かれています。専門用語については私もかなり意識していますが、読者層を広げすぎないことや自分の個人的な感想を盛り込むことは積極的に行いたいです。
第5章では読書感想でもタイトルに最初に主観を持ってくることが勧められます。さだ、その本の感想を求めて検索流入してる人もいるので難しいところです。
「書いている側はその文章の価値が分からない」というのは最近実感することで色々気まぐれでいろんなことに関して文章を書く価値を感じています。
「後悔が読まれる記事のネタになる」という考えは確かにそうでこれを考えれば無限にネタが出てくるかもしれません。
ただ、「全ての感情をさらけ出す」ということに関しては実践できないかなと思いました。確かに他人の注目を惹き付けるという意味では有効かもしれませんが、時としてネガティブな内容だけを広げることになり、それだけではあまり誰かの役に立つとは思えませんでした…。勿論、筆者が後でフォローするように、個人に合う合わないといった建設的な話は好きですが。この話も私には合わない、という話です。
私が記事を書くならよほどの理不尽がない限り、元の感情はネガティブでもポジティブに代えられるものに限っていきたいです。元々ネガティブに考えがちの性格だからこそそう感じています。
第6章では文章を俯瞰して見ることで自分が見えてきたり、コンプレックスを武器にできること、文字を書くことで転職や仕事獲得に成功した事例が語られます。確かに文章を書くことは想像するより「人との繋がり」を与えてくれるものなのかもしれません。
この本が向いている人は?
この本が向いているのは文章を書きたいとは思っているものの、ノウハウや決まり事を優先する考え方に支配されてしまい、過剰に文章を書くことに敷居の高さを感じている人だと思います。
義務教育や業務としての執筆は少し決まりきった決まりが多く、書くことへのハードルをあげてしまっているようにも感じます。この本ではそのような固定概念を取り払ってくれます。また事実だけではなく、個人的な感想にも価値があるということを教えてくれます。
また、書くことを継続することに意味を見いだせなくなっている人にもおすすめできると思います。実際私もそのような状態にありましたが、気軽に書いた文でも様々な人に刺さる物があるかもしれないと思い、もう少し実体験をベースとした様々な分野についても文章を書いてみようという気持ちにさせてくれました。
この本が向いていない人は?
ブログにも様々な形式があると思いますが、最近のブログの傾向としてはSEOを意識した「問題解決型記事」がトレンドです。これは悩みに対する明確な解決方法を書き、タイトルや内容と検索キーワードを一致させ、記事を流入する人に的確にマッチングさせる考え方です。私も非常に慎重に記事タイトルを考えています。
本文でもこのことには一応言及がありましたが、この本が想定しているのは必ずしもそのようなマッチングを意識するものでなく、応えがなかったり、検索キーワードとしては埋もれやすそうな古典的な「散文的記事(勝手に命名)」であるといえるかもしれません。本の筆者はコミュニティー重視の『note』を主に利用しているようです。
そのため、この方法で発信者が増えた現代でも記事を読んでもらうには「属人的」な発信が必要になってきそうです。この手法で多くの読者に読んでもらうにはかなり時間が必要にも感じますし、人生の切り売りと言った側面はあるかもしれません。そのため情報だけを集めて短期的な収益化を求める人にはこの本の内容は不向きかもしれません。
しかし、人の実体験に基づく感想というのは深層学習しかできないAIには決して書けない内容であり、コピー貼り付けの延長で問題解決しようとするアンチテーゼとして、むしろこれからの時代に求められているような気がします。
最近は実際に体験していない中身が薄いブログが増えているので(そのようなものにも一定の価値はあるとは思うものの…)、筆者が語るような実体験を伴う「内容がある」テキストを扱うブログが増えれば良いなと思っています。