カニムシの種類は?日本に分布する?採集方法は?食べ物は?蟹のような「鋏」の用途は?

動物
Megachernes ryugadensis

カニムシは葉や岩の隙間、石や樹皮の下、朽ちた幹など、目立たない場所に生息する小型の蛛形類の一種です。サソリとは後胸部が細長く刺になった部分(サソリの尾)がないことから区別されます。2023年の時点で世界では約3,400種確認され、日本にも広く分布し72種が見つかっています。しかしただ葉の上や地面を観察していても見つけることは全くできず、影に隠れた目立たない場所を探す必要があります。普通にカニムシを見つけたいだけなら、リター層が豊富な土壌で篩を使って、ハンドソーティングを行うのが良いでしょう。カニムシの鋏は獲物を捕えるために使うのが主要な用途です。鋏には感覚毛と毒腺があり、獲物を探し弱らせるのに用います。この点が日光が存在するカマキリなどとは違った地中生活への適応です。獲物は一般的にはトビムシ、甲虫、様々な昆虫の幼虫、ダニ、その他の小型無脊椎動物とされるものの、各種には好みの傾向があることが分かりつつありますが、研究が不足しています。鋏の用途は別にもあり、移動にも用いています。飛べる昆虫の脚を挟んで飛行機のように使って移動することがあります。交配は交尾を行わず、精包のみのやり取りを雌雄で行います。これも地中生活への適応と考えられます。触肢には糸を作る「兜状体」または「紡績腺」と呼ばれる器官が存在しており、これで糸を出し営巣し、子育てをすることも知られています。本記事ではカニムシの分類・形態・生態について解説していきます。

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カニムシとサソリの違いとは?危険性はある?

カニムシは分類学的には「カニムシ目 Pseudoscorpiones」の総称です。葉や岩の隙間、石や樹皮の下、朽ちた幹など、目立たない場所に生息する小型(約2~8mm)の蛛形類の一種です(Del-Claro & Tizo-Pedroso, 2009;佐藤,2021b)。

一見、外観や鋏が付いた脚(サソリの場合は脚鬚きゃくしゅと呼ばれ、鋏になった一番大きな元々脚だった付属肢)がある点などはサソリに似ており、違いが分からないかもしれません。

しかし、体はより小さく、サソリが持つ後胸部が細長く刺を持つように変化した「終体(metasoma)」または「後腹部(postabdomen)」と呼ばれる器官、いわゆる「サソリの尾」が存在しない点で大きく異なります。したがって、カニムシはそもそも刺す器官はなく、ヒトに危害を加えることはありませんので安心してください。

分布や生息環境は?日本に分布する?

カニムシは多様化したグループで、クモ目やダニ目には及ばないものの、既知の蛛形類の3%以上を占め、蛛形類の中で4番目に多様なグループとなっています。25科、470属、約3,400種が記載されていますが、マイナーなグループであるため、分類学者の数が少ないこと、既知の種の大部分が隠れて影に暮らしていること、熱帯の無脊椎動物の多様性に関する正確な情報がないことを考慮すると、種数は実際にはもっと多いのではないかと推測されます。

カニムシはデボン紀初期から地球上を3億8000万年かけてずっと存在しており、現存する種類と比較して形態的な変化がほとんどないことが化石によって証明されています。化石を調べると、既に歩脚、鋏角に加えて、カニムシ独自の構造である兜状体(紡績腺、galea、糸を作るための構造)、触肢感覚毛(trichobothria、振動を感知するための構造)を持っていたことが分かっています。

カニムシは極地を除いて世界中に分布しており、勿論日本でも全土で見られます。

日本では2022年10月23日までに15科36属72種が確認されていますが、やはりまだ未記載種も多いと考えられています(大平,2022)。

島嶼部を含むほぼすべての陸上環境に生息し、具体的な生息環境は葉や岩の隙間、石や樹皮の下、朽ちた幹など、目立たない場所です。しかし、パイナップル科のロゼット型の葉の中やコウモリのグアノ、アリやハチの巣、鳥類や哺乳類の体といった興味深い場所から見つかった例もあります。

しかしいずれにせよ、ただ葉の上や地面を観察していても見つけることは全くできません。捕食者なので個体数が限られており、自然が豊かな場所の方が見つけられる可能性が高いですが、意外にも身近な公園などのリター(落ち葉が分解されたもの)を調査すると発見できることもあります。

採集方法は?

採集方法は種類によって異なり、場合によってはツルグレン装置という熱で土壌動物を採集する装置や、樹皮や石をめくって探す必要も出てきます。

しかしなんでもいいから単にカニムシを観察したいだけなら、「ハンドソーティング法」で十分です。

ハンドソーティング法は単純に土壌をふるいにかけ、トレーや白いビニールシートの上に落として、手で土壌動物を採集し、観察する方法です。

土壌中のカニムシは多くの場合、非常小型であるため篩の網目は多少小さくても問題ありません。

土壌動物は枯れた植物の栄養素から食物連鎖が始まっています。ですから、枯れた落葉や落枝(リター)がバラバラになって、それを食べているトビムシやダニが居そうなところに捕食者のカニムシも居るはずです。したがって、枯れた落葉や落枝~ふかふかの腐葉土を篩にかけるのがおすすめです。

カニムシは捕食者ですのでその餌となる土壌動物が十分にいる必要があるため、植生が発達した地点で調査を行うことが一番ですが、身近な公園でもチビコケカニムシ Microbisium pygmaeum やムネトゲツチカニムシ Tyrannochthonius japonicus の2種はよく確認されることが知られています(佐藤,2021a)。

更に詳しい採集方法を知りたい人は佐藤(2021b)を参照するのが良いでしょう。

蟹のような「鋏」の主な用途は?

カニムシの体には2つ大きな「はさみ」が存在しています。これがカニムシの最も大きな特徴といえ、「カニムシ」という和名の由来にもなっています。

まず、頭胸部の前端には鋏角きょうかく(chelicera)があります。この鋏角自体は蛛形類で共通に存在する器官ですが、クモなど多くのグループで鋏角は折りたたみナイフのような構造になっていますが、カニムシでは異なっており、鋏状になっています。そのためカニムシの鋏角を特別に「鋏顎」と呼ぶ場合もあります。

更にもう一つは「触肢(pedipalp)」で、4対の歩脚の前にあり、一番目立つ付属肢となっています。基節は癒合して動かせませんが、転節(trochanter)以降の先端は左右に広げることができ、前に折り曲げることができます。先端2節は大きな鋏(chela)となっており、「基部節」と「末端節」から構成され、基部節は肥大した部分である「掌部」と鋏の片側に当たる「不動指」が合体したもので、末端節は基部節に付き、動かせる鋏のもう片側に当たる「可動指」となっています。不動指と可動指には滑り止めの「縁歯」が付いています。

カニムシの構造
Junnn11 – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=118544004による

これらはどのような用途で用いるのでしょうか?

カニムシは捕食者としてこれらの鋏を小型の無脊椎動物を捕獲するために使用することが分かっています。カマキリなどと同様ですね。

しかしカマキリとは大きな違いがあります。それは種類によって異なる点もありますが、多くの種類が、触肢の方の鋏に長ひょろひょろとした「感覚毛(chelal trichobothria)」や、「毒腺」を持っていることです。

カニムシは鋏にある感覚毛から触覚を感じ取り、地中で獲物を探します。またあたりの地形を探るためにも使用するため、常に鋏を突き出すようにウロウロしています。ただし、実際には獲物の方から近づいてくるのを待っていることも多いようです。獲物を発見し、鋏で捕えると、毒腺から出した毒素によって獲物を弱めて鋏角で体を砕き、体液を吸い、捕食します。

カマキリの場合は大きな複眼があるため視覚がよく発達していますが、カニムシの場合は単眼で2対もしくは1対、無眼のものもあります。

このような違いはカマキリが地上性で日光を活用できるのに対して、カニムシは地中性で日光を得る機会が著しく少なく、視覚が頼りにならないことが大きく影響しているでしょう。

食性は?マダニを食べる種類がいた!?

具体的にどのような動物を捕えているかというと、トビムシ、甲虫、様々な昆虫の幼虫、ダニ、その他の小型無脊椎動物だとされています(Del-Claro & Tizo-Pedroso, 2009)。

しかしこれは一般論であり、具体的にどのような種類がどのような獲物を捕らえているのかについては実は断片的にしか分かっておらず、研究が不足しています。

日本の種類についても同様で、ノコギリヤドリカニムシという種類がナガコムシとトビムシを(佐藤,2022)、イチョウヤドリカニムシという種類がトビムシを(松田,2021)、イソカニムシという種類がヤマトシロアリを食べたという記録もありますが(柏木・佐藤,2022)、いずれも飼育下での記録であるため、野外も同様であるかは分かっていません。

わずかな野外での記録としてトゲヤドリカニムシがスギの樹皮下でトビムシを捕食していた例が確認されています(佐藤,2022)。

更にもっと興味深い例として、オオヤドリカニムシ Megachernes ryugadensis はアカネズミ類に付いていたマダニ類を捕食した例があります(Okabe et al., 2018)。これも捕食実験ではありますが、硬い体の鉄壁の防御をかいくぐり、擬死(死んだふり)をしたマダニを捕食したことから、野生下でも餌としている可能性が高そうです。

海外では Chelifer cancroides という種類が本に発生するコナチャタテ類を捕食する記録や、Maxchernes iporangae という種類がコウモリのグアノに生息する小無脊椎動物を捕食する記録もあります。

一方で、社会性を持つ種類では特定の種類ではなく、60種類以上の異なる獲物を捕食していたともされ、食べる範囲にも種類によって差があるようです。

カニムシの種類によって触肢や鋏角の発達具合には明らかな差があり、これも食性と関係していると思われますが、詳しいことは分かっていません。

カニムシの種類によって食べる獲物の種類が異なることは「餌選択性」と呼ばれる現象で、生態系における食物連鎖の位置づけが異なる可能性を示すものであり、今後解明されるべきものなのです。

どうやって分布を広げる?「鋏」の用途は1つじゃなかった!?

カニムシはどのように生息地を広げるのでしょうか?

最も一般的にはシンプルに歩行によって移動します。樹上性のカニムシの場合は比較的大型で、元の位置から数m離れた場所、あるいは隣の樹木の中で、新しい場所を確保することができるのです。地中性のカニムシは土壌の広がりに沿って少しずつ生息地を広げるのでしょう。

しかし、この方法は更に小型なダニよりは得意だと思われますが、クモと比べてしまえば、体も小さく、鋏の存在のせいか明らかに俊敏性も欠け非効率です。

そのためカニムシはこれ以外の分散方法を持っています。それは自分より大きな有翅昆虫の体に付着して、飛行機のように利用する方法です。

セダカバエ科の一種 Leptopeza flavipes に便乗するカニムシの一種 Lamprochernes sp.
By Sarefo, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7058963

このような分散方法は生物学では「便乗(phoresis)」と呼ばれます。この便乗は蛛形類の中ではダニでも見られ、ダニでは昆虫だけではなく、鳥類や哺乳類の体を利用する場合もあります。

しかし、カニムシがダニと大きく違うのは、その鋏を使って昆虫の脚を挟み、がっちりと固定している点です。カニムシはその特有の鋏を捕食に使うだけではなく、移動するためにも利用していたのです。

カニムシの場合、便乗は現在のところ全25科のうち11科で行われていることが分かっており、かなり一般的な移動方法の1つとなっています。それは、鋏の存在が大きく関係しているでしょう。

更に究極の形として Cordylochernes scorpioides という種類ではテナガカミキリ Acrocinus longimanus という甲虫の体で生活し、雌雄が交配する例も知られています。

カニムシはどのように繁殖する?「交尾」は行わない!?

カニムシはどのように繁殖するのでしょうか?

カニムシの生殖行動についても全25科のうち13科で知られており、詳細な情報は不足していますが、一般的なことについては分かっています。

まず、カニムシは雌雄異体で、ヒトや昆虫・クモと同じく、オスの個体とメスの個体が存在します。

ただ他のグループと大きく異なる点は「体内受精」を行い、「間接受精」を行うという点です。

体内受精は卵が親の体内から放出されず、メスの体内で受精が行われる方法で、ヒトを含む哺乳類やクモでは普通のことですが、一般的な昆虫とは異なります。

また、間接受精は交尾をせず、オスが精子を包装して固めた「精包(spermatophore)」を地面に置き、メスがそれを生殖口で受け取るという受精方法で、この点はクモと同様ですが、ヒトを含む哺乳類や一般的な昆虫とは異なります。

更にカニムシがクモと異なる点として、クモはこのような精包の受け渡しの際に求愛行動が見られますが、カニムシでは「求愛ダンス」を行う種類もいる一方、そもそもオスとメスが直接顔を合わせず、精包だけの受け渡しを行うという、ヒトから見ると淡白とも言える種類が存在しています。これは人工授精のようなものかもしれません。

なぜこんなに「淡白」な交配方法をとっているのでしょうか?

実はこのような交配方法を行っているのはカニムシだけではなく、同じ土壌動物の多足類、ササラダニなどのダニ目、トビムシ目、コムシ目でも同様であることが分かっています(北沢,1977;青木,2010)。

この交配方法が進化したのは、やはり土壌中で生活していることが大きいでしょう(島野,2015)。地中は複雑な構造で光も少なく、雌雄がどこかで餌場で「待ち合わせ」、「待ち伏せ」することも難しければ、生活していて偶然「出会い」、「マッチング」する機会も少ないでしょう。捕食性のカニムシ類は虫の中では食物連鎖で上位にいるので、そもそも個体数が少ないことも予想されます。

そこで、場合によっては顔を合わせない、精包のみを受け渡しによって受精を行っているのです。ヒトにはロマンスが欠けると感じるかもしれませんが、相手を選べない環境の中で、極めて合理的な交配システムをとっていると言えるでしょう。

一般に年に1回生殖しますが、社会性のある種類では春と夏を中心に1年を通して連続して生殖を行う場合があります。

カニムシはクモのように糸を出して子育てをしていた!?

カニムシに近い仲間にクモが居ますが、カニムシはクモのように捕獲用の巣を作ったり、獲物に糸を吹き付けることはありません。

ですから一見カニムシには糸を作る能力がないと思われるかもしません。

しかし、実際には触肢に糸を作る「兜状体」または「紡績腺」と呼ばれる器官が存在します。

紡績腺は営巣し、繭を作る際に利用します。

営巣する理由としては脱皮・抱卵・越夏・越冬が挙げられます(佐藤,2010)。営巣すると、繭に閉じこもって移動しなくなるため、ツルグレン装置では採集されなくなります。

特に抱卵時の営巣については種類によって行う種類と行わない種類が居ますが、行う場合、重要な防衛手段となります。カニムシのメスは産卵後、「育児嚢(brood pouch)」を糸を使って形成し、生殖器の開口部に卵を貼り付けます。営巣を行う種類の場合は更に繭を作り、1〜2日後に孵化するまで子供を守ります。

カニムシ♀の育児嚢
Del-Claro & Tizo-Pedroso(2009): Fig.3 より引用

特徴的なのは発育中の卵の中の胚のために栄養液を作って与えているという点です。これはまるで哺乳類の羊膜のようであり、節足動物では少数派です。親が子供の世話をすることを「親による子の保護(parental care)」と呼び、この生態のことを「亜社会性(subsociality)」と呼びます。ヒトにとっては当たり前の性質かもしれませんが、このような生態は社会性を持つことの第一歩なのです。

実際、社会性には様々な段階が知られていますが、カニムシでは日本には居ないものの、3科9種で共同巣性(メスが共同で巣を作る社会性)または疑似社会性(共同巣性+共同で子育てをする社会性)にまで到達していることが確認されています。

しかし、アリやハナバチのようにカーストが見られる「半社会性」や、世代が重複する「真社会性」にたどりついた種類はまだ知られていません。

カニムシにはどんな種類がいる?

ここでは私が今まで撮影してきたカニムシを標本も含めて紹介します。日本ではカニムシは2022年までに72種が確認されていますが、きちんと同定できる検索表は青木(2015)のみです。青木(2015)は非常に参考になるので、カニムシを勉強したい人には必須の書籍です。しかし、掲載は土壌性の種類のみで、樹上性の種類や一部の土壌性の種類には抜けがあり、全種類の同定する文献は不足しているのが現状です。

同定には細かい脚の形態や単眼を確認する必要がありますが、鋏角や触肢の形もかなり種類によって差があるため大きな手がかりとなります。

No.1783 ムネトゲツチカニムシ Tyrannochthonius japonicus(ツチカニムシ科)

体長1.0~1.7mm。東北地方南部~九州に分布し、照葉樹林帯や都市の公園や緑地にも普通に生息します。

ムネトゲツチカニムシ

No.1793 アナガミコケカニムシ Microcreagris japonica(コケカニムシ科)

体長6~7mmに達する大型種。関東~四国、中国地方に分布し、ブナ帯~亜高山帯に生息します。

アナガミコケカニムシ

No.1795 チビコケカニムシ Microbisium pygmaeum(コケカニムシ科)

1.2~1.5mm程度の小型種。利尻島~九州に広く分布し、都市の公園や緑地のような劣悪な土壌環境にもごく普通に生息します。第3若虫に相当する形態で成体となることから「幼形成熟」を行っているとされています(日本林業技術協会,1991;坂寄,2001)。また採集個体の大部分はメスで、オスは滅多に得られないことから、単為生殖を行っている可能性が指摘されています。

チビコケカニムシ

No.1796 アカツノカニムシ Roncus japonicus(ツノカニムシ科)

体長3~5mm程度。本州~九州に分布し、照葉樹林帯~亜高山針葉樹林帯に生息します。秋から冬にかけての寒い季節にのみ出現します。頭胸部、腹部ともに細長く、触肢と頭胸部は赤味を帯びた褐色なのが特徴です。

アカツノカニムシ

No.1804 ミツマタカギカニムシ Bisetocreagris japonica(コケカニムシ科)

体長3.5~5mmでカギカニムシの仲間では最大、鋏顎動指の兜状体が目立ち、中央付近から分枝し、さらに末端で分枝しますが、その数には変異があります。本州・四国・九州に分布し、平地~山地に広く生息します。

ミツマタカギカニムシ

No.1819 ニホンメナシカニムシ Paratemnus japonicus(メナシカニムシ科)

体長3.0mm。本州・四国・九州に分布し、石下・朽木・マツ類の樹皮の下に生息します(岡田,2004)。青木(2015)には掲載されていません。

ニホンメナシカニムシ♀

No.1825 オオヤドリカニムシ Megachernes ryugadensis(ヤドリカニムシ科)

体長5.0mmに達し、太くたくましい触肢を含めると 1cm近くに達します。北海道から本州南部に分布し、低地~山地に生息します。マルハナバチ・モグラなどの巣から採集されることが多いです。アカネズミ類に付いていたマダニ類を捕食する例があります(Okabe et al., 2018)。

オオヤドリカニムシ

No.1828 モリヤドリカニムシ Allochernes japonicus(ヤドリカニムシ科)

体長約1.8mm。本州・四国に分布し、平地~山岳に生息します。

モリヤドリカニムシ

引用文献

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