テンリュウメダカチビカワゴミムシの日本国内記録と屋久島の初記録を報告!(『月刊むし』掲載論文)

動物
Asaphidion tenryuense konoi

本記事では以下の雑誌にて公表した「屋久島におけるテンリュウメダカチビカワゴミムシの記録」の報文の下書きを掲載します。

引用方法:池田健一・渡邉拓斗. 2019. 屋久島におけるテンリュウメダカチビカワゴミムシの記録. 月刊むし 586: 41-42. [Ikeda, K., & Watanabe, T. 2019.  A record of Asaphidion tenryuense konoi S. Uéno, 1955 in Yakushima] ISSN: 0388-418X

屋久島での屋久島におけるテンリュウメダカチビカワゴミムシトカラ亜種の初記録を想定して執筆したものです。

微細な表現などに変更が加わっている可能性はありますが、引用文献などは同様です。より正確なものをお求めな場合は雑誌よりご参照ください。

以下のページで本記事の補足を行っています。

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テンリュウメダカチビカワゴミムシトカラ亜種の分布状況

 テンリュウメダカチビカワゴミムシ Asaphidion tenryuense Habu, 1954 は本州から九州に産する種であり,稀な種として知られている(中根,1978)。そのうち,テンリュウメダカチビカワゴミムシ・トカラ亜種 Asaphidion tenryuense konoi Ueno, 1955 は鹿児島県トカラ列島中ノ島の亜種とされてきたが(中根,1978),近年,徳之島(平野,2008),薩摩川内市(平野,2008;青崎,2011)で同亜種と思われる個体の記録があり,生息地としてはススキ原の根際,河原や畑,山・小学校のカシ類の樹皮や割れ目での記録がある(平野,2008;青崎,2011)。

屋久島における筆者の記録

 筆者らは2017年11月29日13時半頃,屋久島町安房屋久島世界遺産センター付近にてテンリュウメダカチビカワゴミムシを撮影したのでここに報告する。突出した複眼,背面の細毛,目立たない条溝から明らかにAsaphidion属で,本種は後角に刺毛がない点から同属のメダカチビカワゴミムシ Asaphidion semilucidum (Motschulsky, 1861) から区別され,本種トカラ亜種は基亜種とは前胸背後縁中央が明らかに突出する点と上翅の条溝が第1~2条のみで認められる点で区別される(中根,1978)。本個体は後角に刺毛がなく,上翅の条溝についてはわかりにくいものの,前胸背後縁中央の突出が見られることからトカラ亜種であると思われる。撮影地点は標高28mほどでスギ林が広がっており,施設周りは階段や駐車場などが整備されている。整備区域を除く地表は多数の苔が覆っており,スギの倒木も見られる。本亜種はその苔上を徘徊していた。本報告は中ノ島と薩摩川内市での報告の分布の間を埋めるものとなる可能性があり,生息地についても既報告と異なる例となる。

テンリュウメダカチビカワゴミムシ・トカラ亜種の背面
テンリュウメダカチビカワゴミムシ・トカラ亜種の背面

引用文献

青崎幸夫,2011.薩摩川内市でテンリュウメダカチビカワゴミムシ採集. SATSUMA 146: 249-250.

中根猛彦,1978.日本の甲虫(51). 昆虫と自然 13(8): 4-10.

平野幸彦,2008.テンリュウメダカチビカワゴミムシ・トカラ亜種の新産地と生息場所. 月刊むし 454: 31-32.

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