土壌動物室内分析と群集構造解析の例

生態系

この記事では土壌動物の室内分析と群集構造解析の例をご紹介します。

スポンサーリンク

ある地点での土壌動物分析例

ある4地点、2シーズンの土壌動物ツルグレンサンプルの室内分析の結果です。コウチュウ目を除く種を私が担当しました。

入力種名性別個体数調査日調査地点
ヨロイジュズダニ 25月A
ハナビラオニダニ 25月A
Xylobates属sp. 215月A
ヒラタオニダニ 15月A
アジアオニダニ 15月A
ヒワダニ 205月A
ワタゲジュズダニ 35月A
ジュズダニ科sp. 85月A
ヤマトクモスケダニ 25月A
クワガタダニ 35月A
ヒメヘソイレコダニ 25月A
オバケツキノワダニ 15月A
トウキョウフリソデダニ 35月A
Veigaia属sp. 95月A
Parasitus属sp. 25月A
イトダニ科sp. 95月A
Podocinum属sp. 15月A
Pachylaelaps属sp. 15月A
Epicrius属sp. 65月A
トゲダニ目spp. 245月A
シマツノアヤトビムシ 15月A
アイイロハゴロモトビムシ 25月A
コガタドウナガトビムシ 75月A
ニッポンシロトビムシ 15月A
フクロムラサキトビムシ 35月A
ヨシイフォルソムトビムシ 15月A
カマアシムシ目sp. 25月A
ニセハリアリ 65月A
ウメマツオオアリ 15月A
テラニシハリアリ 15月A
コムカデ綱 25月A
タカミヒトフシムカデ15月A
タジマガハラヒトフシムカデ15月A
Monotarsobius属sp.15月A
オウギヤスデ 15月A
ミコシヤスデ科sp. 15月A
フイリワラジムシ 15月A
ナガワラジムシ 85月A
イトダニ科sp. 15月A
ヒワダニ 25月A
ヒメミミズ科sp. 105月A
アイイロハゴロモトビムシ 15月B
シマツノアヤトビムシ 35月B
ヒメトゲトビムシ 95月B
フクロムラサキトビムシ 155月B
コツノアリ 115月B
ミズアブ科sp. 15月B
コムカデ綱 15月B
ヒラタオニダニ 15月B
クワガタダニ 15月B
ワタゲジュズダニ 25月B
Podocinum属sp. 15月B
トゲダニ目spp. 35月B
アザミウマ目sp. 15月B
ヤブコウジハカマカイガラムシ. 15月B
ワタナベヒトフシムカデ酷似種♀♂25月B
Monotarsobius属sp.45月B
コムカデ綱 35月B
ワタゲジュズダニ 235月B
ジュズダニ科sp. 25月B
クワガタダニ 75月B
ウスイロヒメヘソイレコダニ 15月B
Xylobates属sp. 55月B
オタフクダルマヒワダニ 15月B
Podocinum属sp. 25月B
Holaspina属sp. 45月B
Pachylaelaps属sp.45月B
Parasitus属sp. 15月B
トゲダニ目spp. 475月B
Abrolophus属sp. 15月B
ハナビラオニダニ 15月C
ヨロイジュズダニ 15月C
ワタゲジュズダニ 105月C
Xylobates属sp. 465月C
ウスイロヒメヘソイレコダニ 15月C
アラメイレコダニ 15月C
ヤマトクモスケダニ 35月C
ヒワダニ 25月C
クチバシツブダニ 15月C
ツルトミイチモンジダニ 15月C
Podocinum属sp. 35月C
イトダニ科sp. 55月C
Veigaia属sp. 15月C
Holostaspella属sp. 45月C
Holaspina属sp. 25月C
トゲダニ目spp. 125月C
ケダニ目sp. 15月C
カマアシムシ目sp. 25月C
フクロムラサキトビムシ 25月C
アイイロハゴロモトビムシ 45月C
シマツノアヤトビムシ 35月C
キタウロコアリ 15月C
ニセハリアリ 165月C
テラニシハリアリ 15月C
コツノアリ 265月C
チョウ目sp. 15月C
フイリワラジムシ 55月C
ナガワラジムシ 15月C
ムサシアカムカデ 15月C
オウギヤスデ 25月C
ミコシヤスデ科sp. 25月C
Monotarsobius属sp.65月C
サカヨリチビヒトフシムカデ酷似種15月C
Bothropolys属sp. 15月C
Pheretima属sp. 15月C
ヒメミミズ科sp. 15月C
フタツメフォルソムトビムシ 35月D
フクロムラサキトビムシ 25月D
ニッポンシロトビムシ 35月D
ツチカメムシ科sp. 45月D
ウロコアリ 15月D
コツノアリ 295月D
アメイロアリ 15月D
ミズアブ科sp. 35月D
イトダニ科sp. 35月D
イトダニ科sp. 85月D
Holostaspella属sp. 45月D
トゲダニ目spp. 105月D
Xylobates属sp. 115月D
Lasioseius属sp.♂♀25月D
ミナミクモスケダニ 65月D
トウキョウフリソデダニ 95月D
ワタゲジュズダニ 15月D
ヒメヘソイレコダニ 15月D
ヒメイブリダニ 15月D
コムカデ綱 15月D
ミコシヤスデ科sp. 95月D
ゴシチナガズムカデ 15月D
Monotarsobius属sp. 15月D
フイリワラジムシ 15月D
ナガワラジムシ 95月D
Pheretima属sp. 15月D
ヒメミミズ科sp. 15月D
コツノアリ 18月A
ヤブコウジハカマカイガラムシ. 38月A
Mecistocephalus属sp. 18月A
Prolamnonyx属sp. 18月A
フイリワラジムシ 38月A
ミナミクモスケダニ 38月A
ハナビラオニダニ 18月A
アジアオニダニ 28月A
ナミツブダニ 18月A
オバケツキノワダニ 18月A
クワガタダニ 28月A
ツルトミイチモンジダニ 18月A
ヒワダニ 18月A
ワタゲジュズダニ 18月A
ジュズダニ科sp. 18月A
Xylobates属sp. 18月A
Podocinum属sp. 28月A
トゲダニ目spp. 48月A
Pheretima属sp. 18月A
シマツノアヤトビムシ 18月A
アイイロハゴロモトビムシ 128月A
シロフォルソムトビムシ 228月A
コガタドウナガツチトビムシ 28月A
Pseudachorutes属 28月A
ニセハリアリ 48月A
アメイロアリ 48月A
キタウロコアリ 38月A
ヒラタウロコアリ 38月A
コツノアリ 48月A
ホシカメムシ科sp.幼虫 18月A
ナミツブダニ 18月A
コムカデ綱 38月B
キリフリヒトフシムカデ18月B
ワタナベヒトフシムカデ酷似種18月B
ナスヒトフシムカデ18月B
Monotarsobius属sp. 38月B
オカダンゴムシ 18月B
Xylobates属sp. 18月B
フトツツハラダニ 108月B
トウキョウフリソデダニ 18月B
Holaspina属sp. 38月B
Podocinum属sp. 18月B
トゲダニ目spp. 58月B
ニホンケシガイ 18月B
カマアシムシ目sp. 18月B
シマツノアヤトビムシ 18月B
ヒメフォルソムトビムシ 498月B
アイイロハゴロモトビムシ 28月B
フタツメフォルソムトビムシ 28月B
ヨシイフォルソムトビムシ 58月B
ヒメトゲトビムシ 28月B
フクロムラサキトビムシ 18月B
キタウロコアリ 18月B
ニセハリアリ 18月B
ウメマツアリ 18月B
コツノアリ 698月B
イガウロコアリ 18月B
コメツキムシ科sp. 18月B
フトツツハラダニ 18月B
ヤブコウジハカマカイガラムシ. 38月C
コムカデ綱 58月C
Monotarsobius属sp.48月C
Mecistocephalus属sp. 28月C
ヒロズジムカデ 38月C
フイリワラジムシ 68月C
イトダニ科sp. 68月C
Holostaspella属sp. 48月C
トゲダニ目spp. 68月C
Xylobates属sp. 88月C
ハナビラオニダニ 18月C
アジアオニダニ 68月C
ヒメイブリダニ 18月C
カマアシムシ目sp. 88月C
コガタドウナガツチトビムシ 138月C
シマヤマトビムシ 28月C
アイイロハゴロモトビムシ 28月C
フクロムラサキトビムシ 28月C
キイロシリアゲアリ 18月C
コツノアリ 58月C
キタウロコアリ 28月C
コナカイガラムシ科sp. 28月D
コツノアリ 18月D
ミコシヤスデ科sp. 18月D
オウギヤスデ 38月D
ハガヤスデ属 28月D
ヒロズジムカデ 28月D
Monotarsobius属sp. 18月D
フイリワラジムシ 98月D
Xylobates属sp. 18月D
ヤマトクモスケダニ 48月D
Lasioseius属sp. 38月D
Cybaeus属sp. 28月D
アイイロハゴロモトビムシ 198月D
ヨシイフォルソムトビムシ 28月D
ヒメフォルソムトビムシ 68月D
コガタドウナガトビムシ 28月D
Pseudachorutes属 48月D
カマアシムシ目sp. 18月D
ヤマトシロアリ 198月D
コツノアリ 58月D
コメツキムシ科sp.幼虫 18月D

Shannonの多様度指数とSimpsonの多様度指数

以上のデータから一連の解析が可能です。

Shannonの多様度指数

A(5月)B(5月)C(5月)D(5月)A(8月)B(8月)C(8月)D(8月)
3.0814132.7227612.7395022.7013952.8206751.9581882.8295262.496044

Simpsonの多様度指数

A(5月)B(5月)C(5月)D(5月)A(8月)B(8月)C(8月)D(8月)
0.93199030.90616340.88243650.89744330.89550170.74206090.93037040.8756084

いずれの多様度指数でもA(5月)が最も多様性が高く、B(8月)が低い地点となっています。一般に8月の方が昆虫も増え、多くなるようにも思えますが、意外な結果となりました。

NMDSの結果

次にNMDSのプロットを示します。

NMDSからは季節による土壌動物群集の影響が考えられます。一般に土壌動物は季節の影響を受けにくいとされていますが、今回は夏季に昆虫類が増加したことが影響したと思われます。また地点の影響も出ていますが、D地点では大きく異なる結果になっています。D地点は今回のデータでは地点の環境に関する情報がありませんが、季節で大きく環境がかわる地点であった可能性もあります。なお、環境に関する量的データがあれば更にその影響を評価したものをプロットできます。

クラスター解析の結果

次にクラスター解析の結果です。

これをシルエット分析すると2つ(A(5月) とB(5月)のクラスターとその他のクラスター)に分割することが最適と判断されました。

クラスター解析では今回の分析例では土壌動物の種ごとの生態に関する情報が極めて少なく、また地点の植生など環境情報が不足しているので考察は難しいですが、これらの情報も加味すればより深い考察が可能です。

最後にクラスター解析に基づいた指標種分析の結果です。

groupindvalpvaluefreq
フクロムラサキトビムシ110.03786
Pseudachorutes属210.03742

これにより、A(5月) とB(5月)のクラスターはヤマトビムシ属(Pseudachorutes)で指標され、その他のクラスターはフクロムラサキトビムシで指標されることがわかりました。残念ながらこれらの種についても生態に関する情報が不足していますが、よく生態が知られている種で分析を行えば、より深い考察が可能です。

これらの解析は昆虫・脊椎動物・植物・水生生物などでも可能です。

error:
タイトルとURLをコピーしました