カルディのサンバルはどういう使い方をすると美味しい?なぜ中南米原産のトウガラシを使っている?インドネシアでの歴史や食文化とともに調べてみました

料理
カルディのサンバル

カルディ(KALDI)では「サンバル」(JAN: 4515996938207)という辛味調味料が販売されています(2022年11月13日時点)。日本語のサイトを調べても中々オーソドックスな美味しい食べ方がわからなかったのですが、現地の料理などを調べたところ日本ではサラダ、唐揚げ、焼き魚、魚のフライに合わせると、手軽に楽しめそうです。私個人はやみつきになっています!そんな「サンバル」ですが素朴な疑問として東南アジアの料理なのにアメリカ大陸原産のトウガラシを用いているのでしょうか?これはインドネシアの植民地となった複雑な歴史が関係しています。そんなサンバル・インドネシアの歴史とともにカルディの「サンバル」を簡単にレビューしてみました。

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サンバルとはなにか?

お店で食べる手作りサンバルを程よい辛さに仕上げました。インドネシアの食卓に必ずある調味料「サンバル」。パプリカ、玉ねぎ、トマトピューレ、にんにくや赤唐辛子などをすりつぶし、ほどよい辛さに仕上げたオリジナルのチリソースです。卵かけごはん、から揚げ、焼き魚、鍋の薬味にも使える万能調味料です。

KALDIオンラインストア

サンバルとはインドネシア料理やマレー料理に用いられる辛味調味料です。インドネシア起源で、元々はジャワ語とスンダ語で、インドネシア語では借用語です。エビのペースト、ニンニク、ショウガ、エシャロット、ネギ、ヤシ糖、ライムジュースなどの副原料と様々なトウガラシから作られるチリソースまたはペーストの一種です。辛いものから甘いものまで様々な味があり、市販品にはシーフード味など多岐に渡ります。おおよその原材料は決まっていますが、インドネシアの中でもかなり原材料に差異があります。

サンバルはどうやって食べると美味しい?

ある日、KALDIを巡っていた時、サンバルという商品を発見。スパイス料理やエスニックが好きなので買ってみましたが、使い方に困っていました。美味しく食べれないと中々手が出ませんよね。

そこで美味しく食べるために様々な日本語のホームページを見ましたが、日本独自のアレンジ料理が多く、中々現地でどのように食されているかはわかりません…。そこで『英語版Wikipedia』などを調べてみました。そうするといくつか料理の名前が見つかりました。

ララブ(lalab)はサンバルを添えたスンダの生野菜サラダです。現在ではキュウリ、トマト、キャベツ、レタス、レモンバジル、イヌホオズキ、ジュウロクササゲ、ホウレンソウ、パパイヤ、ハヤトウリをディップして食べるそうです。つまりただのサラダにサンバルをつけるだけです。とても真似しやすいと思います。

サンバルゴレン(sambal goreng)はサンバルを用いた炒めものです。「ゴレン=炒める」を意味します。肉、ジャガイモ、テンペ、ニワトリ、揚げ豆腐、エビ、魚、イカ、卵などがあるようです。

アヤムゴレン(ayam goreng)は鶏肉を油で揚げ、サンバルをディップして食べます。

イカンバカール(ikan bakar)はインドネシア語で「イカン=魚」、「バカール=焼く」を意味しますので、直訳すると「焼き魚」ということになり、サンバルをたっぷり塗って焼きます。

イカンゴレン(ikan goreng)はココナッツオイルを用いた魚のフライで、サンバルをディップして食べます。

これらを踏まえると日本では完全に食事を再現するのは難しいそうですがサラダ、唐揚げ、焼き魚、魚のフライに合わせると、手軽に楽しめそうです。サンバルゴレンの日本語のレシピとしては以下のようなものもあります。参照してみてはいかがでしょうか。

サンバルウダンのレシピ | ASEANレシピ | ASEANPEDIA – アセアンペディア ASEANまるわかり
辛味調味料「サンバル」を使った料理。辛いものが好きな方におすすめです!

食べてみた感想

カルディのサンバル
カルディのサンバル
カルディのサンバルの中身
カルディのサンバルの中身

ララブのつもりでレタス、トマトにディップしてつけてみましたがとても美味しかったです!レタスは無難に美味しいですし、トマトはそもそもサンバルの中にトマトが含まれるので微妙かと思いましたが、瑞々しさと合わさって複雑なハーモニーがあります。辛みはそれなりにありますが、同じくKALDIで買った「食べるガラムマサラ」に比べるとマイルドで、ガラムマサラでは辛すぎてつけすぎた!といった印象がありましたが、サンバルではトマトやえび味噌が含まれているためか旨味も多く、どんどん追加で足してしまいました。ただちゃんと辛いので体質によってはしっかり鼻水も出ますので注意が必要です。サラダを食べたいけどドレッシングだと味にパンチがない…と思う方などにはおすすめできると思います。私は当分これでサラダを食べるつもりです。調子に乗ってトウガラシの取りすぎて腹痛にならないように注意ですね。

またアヤムゴレンのつもりで唐揚げにもつけましたが予想通りだと思いますがとても合いました。こちらは食べ過ぎ注意ですね…。ただサンバルは味が濃いので白身魚のような淡白な物のほうが合う気もします。

サンバルゴレンは分量など調整も必要なので少し上級者向けですが、一度試してみたいと思っています。特に追加の材料は必要ないので、試すのは簡単そうです。ただどんな具材が一番合うのかは研究が必要かもしれませんね。もし試した方がいらっしゃったら教えて下さいね。

サンバルの歴史:ザンバルはなぜ東南アジアの料理なのにアメリカ大陸原産のトウガラシを用いているのか?

サンバルの主原料であるトウガラシは、東南アジア原産ではなく、アメリカ大陸原産です。ザンバルはなぜ東南アジアの料理なのにアメリカ大陸原産のトウガラシを用いているのでしょうか?もっと言えばトマトもそうです。

これにはサンバルがインドネシアで生まれ、トウガラシやトマトがインドネシアへ入って大きく変わってしまった歴史があります(Surya & Tedjakusuma, 2022)。

トウガラシは中南米原産で、その中でもカイエンペッパーとバーズアイチリペッパーという品種は大航海時代の16世紀にポルトガルとスペインの船員によって「コロンブス交換」と呼ばれる旧大陸と新大陸間での動植物の交換の一環としてインドネシアに導入されました。そのため、サンバルで使用される一般的なトウガラシの品種にはカイエンペッパーとバーズアイチリペッパーが含まれます。トマトもこの時期に導入されたものと思われます。

ところが、トウガラシがインドネシアの土地に到着する前から、サンバルはすでにインドネシアの伝統料理で恒常的に消費されていたのです。では当時どのようにサンバルが作られていたかというとトウガラシではなく、ヒハツモドキ Piper retrofractum、コショウ Piper nigrum、ショウガ Zingiber officinaleといった土着の香辛料から作られていたと考えられています。

これらはジャワでは今でも使用されているものもありますが、トウガラシの圧倒的な人気により、最終的には伝統的なハーブ薬やジャム(ジャワの伝統的なハーブ飲料)の製造にのみ使用されるようになり、珍しいものとなっています。

インドネシアでは古代の文献は少なく、厳密にいつからサンバルが作られ始めたのかは分かっていないようです。ただサンバルに言及している最古の文献は、伝統的なジャワの宗教、芸術、物語、教えの知識をまとめたサンスクリット語で書かれた古代の写本であるジャワの歴史書『Serat Centhini』(1819~1912年)であることがわかっています。この本によると16ものサンバルの変種が記録されています。また10世紀頃の古マタラム王国の時代にはジャワの市場で貴重な商品となっていたようです。

その後、クディリ王国→シンガサリ王国→マジャパヒト王国→マタラム王国と移り変わっていき、マタラム王国のときに上述のようにポルトガルとスペインの船員によってトウガラシとトマトがもたらされ、サンバルの原料として主流になっていったようです。

マタラム王国からオランダの植民地となったオランダ領東インド時代の1920年代、上流階級のオランダ人コミュニティの間でサンバルの人気が高まりました。サンバルは、リスタフェル(オランダ語で「ライステーブル」を意味する)と呼ばれる高価でオランダのエリートが楽しむ食事の一部になりました。リスタフェルはおもてなし料理で、米、おかず、およびインドネシアの特産品などを少しずつ含み、沢山の料理を一度に楽しめるようなスタイルとなっています。

大日本帝国の占領とオランダからの独立を経て、ムスティカ・ラサが1967年にスカルノ(インドネシアの初代大統領)の指導の下に執筆した大規模なレシピ本には、インドネシアの伝統料理の1,600個のレシピのうち63個のサンバルのレシピが掲載されていました。何年にもわたって、サンバルのレシピは地域の味と材料の入手可能性に応じてローカライズされたさまざまな種類に分岐していたのです。

今日では、サンバルは調味料としてインドネシアの多くの地域で広く使用されています。多くの家庭やレストランでは、サンバルは伝統的に新鮮な食材を使用して作られ、直接消費されています。

しかし、技術の発展に伴い、市場の高い需要を満たし、保存期間を延ばす目的で、サンバルは殺菌によって商業的に生産されるようになりました。よく知られている古典的で伝統的なサンバルは、インドネシア人によって広く消費されてきましたが、目新しさを求める消費者の期待に応えるために、新しいサンバルのレシピも食品業界によって絶えず発明されています。

皆さんもインドネシアの紆余曲折な歴史を感じながらサンバルを食べてみるのはいかがでしょうか?

引用文献

Surya, R., & Tedjakusuma, F. 2022. Diversity of sambals, traditional Indonesian chili pastes. Journal of Ethnic Foods 9(1): 1-19. https://doi.org/10.1186/s42779-022-00142-7

参考サイト

「サンバルゴレン」とは?? - Gourmand Clubブログ
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