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ヤマノイモ(山芋)・ナガイモ(長芋)・オニドコロ・ニガカシュウの違いは?似た種類の見分け方を解説!なぜムカゴを作る?繁殖戦略は多種多様だった!?

Dioscorea polystachya 植物
Dioscorea polystachya

ヤマノイモ・ナガイモ・オニドコロ・ニガカシュウはいずれもヤマノイモ科ヤマノイモ属に含まれ、食用の芋やムカゴを作ることがあり、町中でもよく見かける非常に身近なつる性多年草です。ヤマノイモ属はヤムイモとも呼ばれ非常に膨大な種類を含むグループですが、4種はその中でも日本で最もよく見かけますが、混同されており、特に「とろろ」になるヤマノイモとナガイモは政府レベルで混同されてきました。4種以外にも種類はいますが、4種に限れば葉と花の形、芋(担根体)やムカゴの有無で区別できます。繁殖戦略は極めて多様で、芋・ムカゴ・花・果実はいずれも繁殖に関わっていますが、種類によってどのように使用しているかは全く異なっています。したがって、混同されていますが生物学的にはどれも強い独自性があります。本記事はヤマノイモ属の分類・形態・生態について解説していきます。

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※当サイトは日本語が原文です。他言語は自動翻訳されたものであり、学名や専門用語が間違っている可能性があります。

ヤマノイモ・ナガイモ・オニドコロ・ニガカシュウとは?

ヤマノイモ(山の芋) Dioscorea japonica は別名ヤマイモ(山芋)、ジネンジョ(自然薯)。日本の本州・四国・九州・琉球;朝鮮半島・中国・台湾の温帯~亜熱帯域に分布し、沖積地~山地の林縁・路傍・畑縁・空き地・公園の植樹帯などに普通に生えるつる性多年草です。ただし、地下の担根体(可食部)以外は一年生のため冬は地上部の葉は枯れます。

ナガイモ(長芋) Dioscorea polystachya は日本の本州・四国・九州・琉球;朝鮮半島・中国・台湾の温帯~亜熱帯域に分布し、シイ・カシ帯の沖積地~丘陵の林縁・畑縁・空き地・公園の植樹帯などに生えるつる性多年草です。ただし、地下の担根体(可食部)以外は一年生のため冬は地上部の葉は枯れます。日本のナガイモの分布は諸説あり、一説では在来種であるかは怪しく、中国から渡来し、縄文時代後期には穀類やイネに先立って栽培されていた可能性があります(吉田,2019)。栽培品種が多数あります。

オニドコロ Dioscorea tokoro は日本の北海道・本州・四国・九州;朝鮮半島・中国の温帯~暖帯域に分布し、シイ・カシ帯~ブナ帯までの沖積地~山地の林縁・草地・空き地・公園の植樹帯内などきわめて普通に生えるつる性多年草です。

ニガカシュウ(苦荷首烏) Dioscorea bulbifera は別名宇宙イモ、エアーポテト。日本の本州・四国・九州・琉球;アジア,オセアニアの亜熱帯~熱帯域に広く分布し、シイ・カシ帯の沖積地~丘陵地の川沿いにある林縁や草地に生えるつる性多年草です。

いずれもヤマノイモ科ヤマノイモ属に含まれ、町中でもよく見かける非常に身近なつる性多年草です。ヤマノイモ属は非常に膨大な種類を含むグループですが、4種はその中でも日本で最も多く遭遇します。

07.0284 オニドコロ 雄花序
【種子植物図鑑 #058】ヤマノイモ科の種類は?写真一覧
ヤマノイモ科 Dioscoreaceae は草本またはつる植物で、全世界の熱帯~亜熱帯を中心に3属630種あまりが分布し、日本にはヤマノイモ属だけが分布しています。本記事ではヤマノイモ科の植物を図鑑風に一挙紹介します。基本情報は神奈川県植物…

最大の特徴は俗に「芋」と呼ばれる担根体やムカゴを形成する場合があることで、4種のうち、日本に限ればヤマノイモとナガイモが食用にされます。

ナガイモの担根体はすりおろすことで「とろろ」として食用され、外食でちょっとお金を出してトッピングとしてそばや丼を食べる時は欠かせない存在となっているでしょう。

しかし、ヤマノイモとナガイモは極めて混同されています。どれくらい混同されているかというと、農林水産省の統計で2008年まで区別されていなかったほどです。この違いを明言しているサイトは少ないです。

また、自然下ではヤマノイモとオニドコロは混生することも多く、食用のヤマノイモを見分ける必要があります。

さらにニガカシュウの日本の個体は苦く、通常食用されないため、これも見分ける必要があります。

このように非常に似たグループですが、区別する必要に迫られることが多いです。

ヤマノイモ・ナガイモ・オニドコロ・ニガカシュウの違いは?

ヤマノイモ属は非常に多数の種類が知られるグループで、ここで全ての違いを書くのは難しいですが、比較的一般的な4種に絞って考えています。

葉に関しては、ヤマノイモとナガイモでは三角状卵形~三角状披針形であるのに対して、オニドコロとニガカシュウでは円心形(ハート形)であるという違いがあります。

ただし、ナガイモは特に変異が大きく、円心形に近いものもあるので、複数の葉を確認することが重要です。

ヤマノイモとナガイモに関しては、ヤマノイモでは基部側方は耳状に張り出さず、葉身の付根は緑色であるのに対して、ナガイモでは基部側方は耳状に張り出し、葉身の付根は赤紫色であるという違いがあります。

オニドコロとニガカシュウに関しては、オニドコロでは葉柄基部は平滑であるのに対して、ニガカシュウでは葉柄基部は托葉状に張り出し、茎のほぼ半分を抱くという違いがあります。

担根体やムカゴの有無や花の形では更に大きな違いがあります。後述の内容を確認してみてください。

ヤマノイモの葉序
ヤマノイモの葉序|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
ヤマノイモの葉上面:基部側方は耳状に張り出さず、葉身の付け根は緑色。
ヤマノイモの葉上面:基部側方は耳状に張り出さず、葉身の付け根は緑色。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
ヤマノイモの葉下面
ヤマノイモの葉下面|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
ヤマノイモの雄花:白色。ほぼアザミウマ媒。
ヤマノイモの雄花:白色。ほぼアザミウマ媒。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
ヤマノイモのムカゴ
ヤマノイモのムカゴ|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
ナガイモの葉:最も典型的なもので、基部側方は耳状に張り出し、葉身の付根は赤紫色。
ナガイモの葉:最も典型的なもので、基部側方は耳状に張り出し、葉身の付根は赤紫色。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
ナガイモの葉:円心形に近いが、葉身の付け根は赤色。
ナガイモの葉:円心形に近いが、葉身の付け根は赤色。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
ナガイモの葉:ほとんど三角形に近いもの。
ナガイモの葉:ほとんど三角形に近いもの。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
ナガイモのムカゴ
ナガイモのムカゴ|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
オニドコロの葉上面:円心形。
オニドコロの葉上面:円心形。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
オニドコロの葉下面
オニドコロの葉下面|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
オニドコロの雄花:直立し、黄色。ほぼヌカカ媒。
オニドコロの雄花:直立し、黄色。ほぼヌカカ媒。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
オニドコロの雌花:下垂し、黄色。
オニドコロの雌花:下垂し、黄色。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
オニドコロの果実
オニドコロの果実|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
ニガカシュウの葉;円心形。
ニガカシュウの葉;円心形。|By Vengolis – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=41833128
ニガカシュウのムカゴ:葉柄の付け根は膨らむ。食用の品種ではもっと肥大化する。
ニガカシュウのムカゴ:葉柄の付け根は膨らむ。食用の品種ではもっと肥大化する。|By Dinesh Valke from Thane, India – Aerial Yam, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=51491997
ニガカシュウの雄花:白色~紫色。ほぼ受粉なしか風媒。
ニガカシュウの雄花:白色~紫色。ほぼ受粉なしか風媒。|By Dinesh Valke from Thane, India – Ambali Genasu (Kannada: ಅಮ್ಬಲಿ ಗೆಣಸು), CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=51711344
ニガカシュウの果実
ニガカシュウの果実|By Dinesh Valke from Thane, India – Kaacchil (Malayalam: കാച്ചില്), CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=51567551

ヤマノイモ・ナガイモ・オニドコロ・ニガカシュウの利用方法の違いは?

4種の利用方法は4種の器官の発達状態や味によって大きく異なっています。

利用される場合は普通は食用で、通常野生下に多いヤマノイモと栽培品種が多いナガイモの2種です。日本のナガイモの分布は諸説あり、一説では在来種であるかは怪しく、中国から渡来し、縄文時代後期には穀類やイネに先立って栽培されていた可能性があります(吉田,2019)。平安時代中期に作られた辞書『和名類聚抄わみょうるいじゅしょう』に既に登場して利用していた様子が伺えます。

食用としては長らく2種が区別されることが少なく、農林水産省の作物調査統計でも2008年まで区別されることがないという状態でしたが、2007年以降では「ヤマノイモ」として流通しているものの大半がナガイモであることが判明しています。

ヤマノイモとナガイモでは地下には円柱状で多肉質の「担根体たんこんたい」(別名塊根、英名 tuber、いわゆる「芋」)が1本あり、日本では2種の担根体をまとめて「とろろ芋」と呼び、ヤマノイモでは「自然薯」とも呼ばれます。ナガイモはより太い形をしています。

ただし、ヤマノイモの園芸品種であるツクネイモやヤマトイモ(大和芋)は丸い形をしています。

この部分を棒状に切ってオクラと和え物にしたり、すり下ろして白醤油や出汁などを加えたものがあの粘り気のある「とろろ」で、「とろろ蕎麦」や「とろろうどん」や「麦とろご飯」として食べるのが一般的です。粘り気はムチレージ(一部論文ではムチンとも)によるもので、生食できるのが特徴的です。

ヤマノイモのとろろをナガイモのとろろと比較すると遥かに粘り気が強いとされています。

通常飲食店で使用されるのは栽培されたナガイモの方ですが、江戸時代以前はヤマノイモもおそらく利用され、現在でも食感の違いからあえてヤマノイモが使用される場合もあります。

更にヤマノイモ・ナガイモ・ニガカシュウでは葉腋に「零余子むかご」を形成します。

ムカゴとは「珠芽」とも呼ばれ、芽の部分が繁殖用の栄養を含むように発達したものです。

ムカゴもまた芋のような食感がするため、ヤマノイモとナガイモでは食用にされ、ご飯とともに炊き「むかごご飯」にしたり、居酒屋で酒のつまみとして、塩で炒ったものや「むかごの素揚げ」や「むかご天ぷら」として提供されることがあります。やはり普通はナガイモの方です。

その他、野山薬や土山薬と呼ばれ、生薬として利用されることもありました。

一方、ニガカシュウは担根体とムカゴはあるものの、どちらも苦みが強く普通は食用しません。これは和名通りです。しかし、世界的には栽培品種に関しては茹でることで苦味を除くことができることから食用も普通で、西アフリカでは人気があります。日本でも「宇宙イモ」や「エアーポテト」の名で販売されています。

オニドコロに至っては担根体とムカゴがどちらも存在しませんので、普通は食用にしません。ただし、担根体の代わりに根茎(rhizome)を形成します。

他に似た種類はいる?

ヤマノイモ属は非常に広大なグループなのでここで全てを上げることはできませんが、日本の野生下で見られるオニドコロに似た種類としては、キクバドコロ・カエデドコロ・タチドコロ・ヒメドコロ・ウチワドコロなどが知られており、注意が必要です。

世界的には食用になるヤマノイモ属は「ヤムイモ」と総称され、ダイジョ Dioscorea alata やキッコウリュウ(ツルカメソウ) D. elephantipes などもあります。

ヤムイモは食物繊維・デンプン・糖類などの炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含み、熱帯地域の3億人の人々に1人あたり1日約200カロリーを提供しており、世界で最も重要な主食の根菜および塊茎作物の1つとなっています(Obidiegwu et al., 2020)。

繁殖方法は?なぜムカゴによる繁殖と受粉による繁殖を行う?

繁殖方法は種類によって大きく異なります。

ヤマノイモ・ナガイモ・ニガカシュウはムカゴによるクローンの無性生殖と虫媒花による他の株の遺伝子を取り入れる有性生殖を行います。

ムカゴの生殖ではムカゴを重力によって下に落とす、または水に流される、またはドングリのようにネズミに運ばれて地下に貯蔵された(貯食された)もののうち、ネズミに忘れられたものが芽を出すことによって繁殖します(Mizuki & Takahashi, 2009)。

ムカゴは地下茎や匍匐枝・走出枝による無性生殖に比べると、空間的に離れた生育に適した環境に移動できる点や、撹乱地(水辺環境や道路脇など環境が激しく変わる場所)に強い点で有利だと考えられています(井上,2007)。

一方、オニドコロではムカゴはなく、虫媒花による有性生殖のみです。

なぜヤマノイモ・ナガイモ・ニガカシュウはムカゴを追加した2種類の方法で繁殖を行うのでしょうか?

一般的には2つのメリットが説明されます(高橋・井上,2005;Mizuki & Takahashi, 2009)。

1つ目は、ムカゴは乾燥重量にして種子の100倍程度あり、暗環境下でも発芽・成長できるので、子個体の生存率は種子よりムカゴの方が高いというメリットです。

2つ目は、生物は可能なら自分の遺伝子を全て伝達したいので、クローンであるムカゴを作れば雌親の遺伝子が種子の2倍伝えられるというメリットです。

ただそうすると逆になぜ虫媒花による有性生殖を行っているのかの方が気になってくるかもしれません。

これにも2点のメリットが考えられています。

1つ目は、有性生殖を行った方が、様々な遺伝子の効果で、子供が病害虫や病原菌や自然環境の変化に強くなるというメリットです。

2つ目は、ヤマノイモ属に特有のもので、ヤマノイモ属は果実が風を受けやすい「翼」を持つ蒴果で、種子に関しても円形で周りに薄い翼があります。これらで効率的に種子散布(風散布)を行っているので、ムカゴよりも遠くに子供を飛ばすことによって、子供同士の競争(栄養の奪い合いなど)のリスクを減らすというメリットです。

なお、ムカゴも一応ネズミによって母個体から遠くに移動することができるのですが、種子に比べるとその移動距離は短いことが分かっています。

以上からヤマノイモ・ナガイモ・ニガカシュウは無性生殖と有性生殖の良い部分を取り入れ、その効率を増していると言えるでしょう。

しかしそれでも疑問が残ります。それならなぜオニドコロは無性生殖を行わないのでしょうか?

これに関してはまだ調べられていません。オニドコロもヤマノイモに遜色ないほどによく繁殖している種類で、上述のようなメリットを失うことで大きな損害を受けているようには感じられません。

ただ1つの可能性としては、アフリカの D. sansibarensis という種類ではムカゴの浮力が強く、水流に乗って広がり、谷に広く分布しています(Chen et al., 2022)。更にダイジョ D. alata は雨期に土壌が湿るとムカゴを形成することが知られています(Hamaoka et al., 2023)。

ムカゴは種子とは異なり、水域でも繁殖しやすい方法であることが予測され、オニドコロは陸地に特化した種類で、ムカゴを作る必要がないのかもしれません。

実際、水域に多いニガカシュウはムカゴを持っています。しかし、これは推測の域を出ません。

受粉方法は?種類によってやってくる昆虫が全く異なっていた!?

花は4種いずれも雌雄異株なので、雄花だけを咲かせる雄株、雌花だけを咲かせる雌株が存在します。共通で6枚の花被片があり、雄花では6本の雄しべを持ちます。

上述のように虫媒花なので、昆虫による受粉に頼っています。しかし、他の虫媒花に比べると非常に地味という印象を持ちます。どのような昆虫がやってくるのでしょうか?

実は花のサイズにあった非常に小型の特別な昆虫が訪れることが分かっています。

ヤマノイモでは雄花序は葉腋から直立し、雌花序は垂れ下がり、花被片は白くあまり開かないという特徴がありますが(林ら,2013)、この花やってくる昆虫を427個体集めたところ、97%がアザミウマ目という非常に小さな花粉食の昆虫が訪れていました(Mizuki et al., 2005)。

ナガイモでも雄花序が垂れ下がる以外ヤマノイモとほぼ同じ特徴で、中国での研究ですが Ernothrips lobatus というアザミウマの一種のみが訪れることが分かっています(Li et al., 2014)。このアザミウマは花内で産卵・幼虫の発育も行っており、生活史レベルで密接に関係しています。ただし、アザミウマは短距離移動しかできず、雌雄が近接していないと受粉できません。

一方、オニドコロでは雄花序は葉腋から直立し、雌花序は垂れ下がり、花被片は淡緑色で平開するという特徴がありますが(工藤ら,2021)、この花にやってくる昆虫を389個体集めたところ、タマバエ科が57%で、ヌカカ科が11.6%でしたが、花粉を実際に運んでいたのはヌカカ科がほとんどでした(Mochizuki et al., 2025)。

更に、ニガカシュウは雄花序も雌花序も垂れ下がり、花被片は白から紫色に変わるという特徴があるにも関わらず、中国での研究では2年間で一度も訪花した昆虫の記録がなく、ほとんどムカゴによる無性生殖に頼っており、ごく一部が風媒されていると考えられています(Li et al., 2014)。日本でもほとんど結実しません(神奈川県植物誌調査会,2018)。

このようにヤマノイモやナガイモではアザミウマが、オニドコロでは小さなハエが訪れ、ニガカシュウでは昆虫が訪れないという対照的な結果が出ており、非常に見た目は類似した仲間ですが、繁殖戦略が全く異なると言えるでしょう。

種子散布方法は?

4種の果実は共通で蒴果で、風を受けやすい翼を持ち、更に種子にも翼を持っています(神奈川県植物誌調査会,2018;Chen et al., 2022)。

上述のように、これは風散布という種子散布を行うためで、これによりムカゴ以上に遠くの距離に子個体を飛ばすことに成功しています。

引用文献

Chen, M., Sun, X., Xue, J. Y., Zhou, Y., & Hang, Y. (2022). Evolution of Reproductive Traits and Implications for Adaptation and Diversification in the Yam Genus Dioscorea L. Diversity, 14(5), 349. https://doi.org/10.3390/d14050349

Hamaoka, N., Moriyama, T., Taniguchi, T., Suriyasak, C., & Ishibashi, Y. (2023). Bulbil formation on water yam (Dioscorea alata L.) is promoted by waterlogged soil. Agronomy, 13(2), 484. https://doi.org/10.3390/agronomy13020484

林弥栄・門田裕一・平野隆久. (2013). 山溪ハンディ図鑑 1 野に咲く花 (増補改訂新版). 山と渓谷社. ISBN: 9784635070195

井上みずき. (2007). 散布型クローナル成長(ムカゴ・殖芽など)植物における分散と空間構造―非散布型クローナル成長(地下茎・葡匐枝・送出枝)植物との比較. 日本生態学会誌, 57(2), 238-244. https://doi.org/10.18960/seitai.57.2_238

神奈川県植物誌調査会. (2018). 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会. ISBN: 9784991053726

工藤葵・杉原優・太田敦士・寺内良平. (2021). 直立するオスと下垂するメス―雌雄異株植物オニドコロにおける花形質と訪花数の雌雄差. 日本生態学会大会講演要旨集, 68, P1-061. https://esj.ne.jp/meeting/abst/68/P1-061.html

Mizuki, I., Ishida, K., Tani, N., & Tsumura, Y. (2010). Fine-scale spatial structure of genets and sexes in the dioecious plant Dioscorea japonica, which disperses by both bulbils and seeds. Evolutionary Ecology, 24(6), 1399-1415. https://doi.org/10.1007/s10682-010-9396-z

Mizuki, I., Osawa, N., & Tsutsumi, T. (2005). Thrips (Thysanoptera: Thripidae) on the flowers of a dioecious plant, Dioscorea japonica (Dioscoreaceae). The Canadian Entomologist, 137(6), 712-715. https://doi.org/10.4039/n05-003

Mizuki, I., & Takahashi, A. (2009). Secondary dispersal of Dioscorea japonica (Dioscoreaceae) bulbils by rodents. Journal of Forest Research, 14(2), 95-100. https://doi.org/10.1007/s10310-008-0106-4

Mochizuki, K., Elsayed, A. K., & Kawakita, A. (2025). Pollination by biting midges in Dioscorea tokoro and Vincetoxicum aristolochioides with a secondary contribution of gall midges: Pollination by biting midges in Dioscorea tokoro and Vincetoxicum aristolochioides with a secondary contribution of gall midges. Arthropod-Plant Interactions, 19(3), 41. https://doi.org/10.1007/s11829-025-10142-4

Li, M. M., Yan, Q. Q., Sun, X. Q., Zhao, Y. M., Zhou, Y. F., & Hang, Y. Y. (2014). A preliminary study on pollination biology of three species in Dioscorea (Dioscoreaceae). Life Science Journal, 11(2), 436-444. https://www.lifesciencesite.com/lsj/life1102/060_B00049life110214_436_444.pdf

Obidiegwu, J. E., Lyons, J. B., & Chilaka, C. A. (2020). The Dioscorea Genus (Yam): An appraisal of nutritional and therapeutic potentials. Foods, 9(9), 1304. https://doi.org/10.3390/foods9091304

高橋明子・井上みずき. (2005). ヤマノイモの種子とムカゴの散布距離の比較―風・重力・ネズミ. 日本生態学会大会講演要旨集, 52, 528. https://doi.org/10.14848/esj.ESJ52.0.528.0

吉田宗弘. (2019). 日本人とイモ. 食生活研究, 39(5), 235-248. ISSN: 0288-0806, https://ku-food-lab.com/wp/wp-content/uploads/2019/07/2774f33ed7e947fb03c1d40880e92a23.pdf

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