ムスカリ・ブドウムスカリ・ルリムスカリの違いは?似た種類の見分け方を解説

植物
Muscari armeniacum

ムスカリ・ブドウムスカリ・ルリムスカリはいずれもキジカクシ科(クサスギカズラ科)ムスカリ属に含まれる多年草で、早春の3~4月になると総状花序についた青い壺型の花を多数下向きに咲かせ、可愛いためか園芸では観賞用にとても人気な仲間です。ところが、ムスカリ類に関しては、日本ではきちんとした種類の区別方法を記載したものは少なく混乱が生じているようです。アメリカ合衆国の植物図鑑を確認すると区別方法が記載されており、これによれば花序あたりの花の数と花の色を確認することで区別できることが分かります。本記事ではムスカリ属の分類・形態について解説していきます。

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ムスカリ・ブドウムスカリ・ルリムスカリとは?

ムスカリ Muscari neglectum は別名ムスカリ・ネグレクタム、ブドウヒヤシンス(葡萄風信子)。地中海沿岸のヨーロッパ・北アフリカ・西アジア・コーカサスに分布し、道端・野原・森・放棄された庭園に生える多年草です。観賞用に日本を含む世界中で栽培され、イギリス・北アメリカなどに帰化しています。

ブドウムスカリ(葡萄ムスカリ) Muscari armeniacum は別名オオルリムスカリ、ムスカリ・アルメニアクム、ムスカリ・アルメニアカム。ユーゴスラビア・ブルガリア・ギリシャ・コーカサス・トルコに分布する多年草です。観賞用に日本を含む世界中で栽培され、西ヨーロッパ・北アメリカなどに帰化しています。

ルリムスカリ(瑠璃ムスカリ) Muscari botryoides は別名ムスカリ・ボトリオイデス。フランスからウクライナまでのヨーロッパに分布し、道端・野原・森・放棄された庭園に生える多年草です。観賞用に日本を含む世界中で栽培され、イギリス・北アメリカなどに帰化しています。

いずれもキジカクシ科(クサスギカズラ科)ムスカリ属に含まれる多年草で、早春の3~4月になると総状花序についた青い壺型の花を多数下向きに咲かせ、可愛いためか園芸では観賞用にとても人気な仲間です。街を歩くと庭などに必ず見かけると言っても過言ではないでしょう。

ところが、ムスカリ類に関しては、日本ではきちんとした種類の区別方法を記載したものは少ない上に『Google画像検索』で海外の写真を検索しても間違っているものが多いです。『日本語版Wikipedia』も間違っているようです。ムスカリの区別には正しい情報が少なく、多くの人が苦戦しているのかもしれません。

ムスカリ・ブドウムスカリ・ルリムスカリの違いは?

これら3種には比較的はっきりした違いがあることがアメリカの植物図鑑に記されています(Flora of North America Editorial Committee, 2002)。

まず、総状花序としてつく花に関して、ムスカリとブドウムスカリでは20~40個であるのに対して、ルリムスカリでは12~20個という違いがあります。

要するにムスカリとブドウムスカリの方が沢山花がついているということです。これは「ブドウムスカリ」という名前の由来にもなっており、花序がブドウの果序(房)のように見えるということなのでしょう。

また、葉に関してもムスカリとブドウムスカリでは幅が2~4mmであるのに対して、ルリムスカリでは幅が3~8mmであるという違いがあります。ややルリムスカリの方が葉が太いことが多いということです。

このようにルリムスカリの区別は簡単ですが、ムスカリとブドウムスカリの違いの方は少なく花冠の色の違いだけであるとされています。

具体的には、ムスカリでは花冠の色が黒みがかった青色であるのに対して、ブドウムスカリでは綺麗な青色~空色です。園芸品種ではブドウムスカリは白色になることもあります。

このように色の違いが主であるため、乾燥標本での区別は難しいとされています。

日本国内では真の意味での「ムスカリ」を筆者はほとんど見かけることはなく、多くはブドウムスカリかルリムスカリであると思っています。

ムスカリの花:花序あたりの花は20~40個、明らかに花冠が黒みがかった青色|By Fabrizio Tampieri – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=103888105
ブドウムスカリの葉
ブドウムスカリの花:花序あたりの花は20~40個、花冠は明るい青色
ルリムスカリの花:花序あたりの花の数は12~20個

他に似た種類はいる?ラベンダーとの違いは?

ムスカリ属には他にも多数の種類が知られていますが、日本国内では稀なので省略します。

ハネムスカリ(羽根ムスカリ) Muscari comosum という種類は別名ムスカリ・コモスムで、花序上部の花の花柄が非常に長く、羽根突きの「羽根」を思わせるような形をしており、上記の3種と混同することはまずありません。

『Google検索』ではラベンダーとの違いもよく検索されているようです。確かにラベンダーはムスカリと同様に青い花序を作りますが、ラベンダーはシソ科であり、葉に毛や匂いがある点、花冠は上向きになる点など同じ部分を見つけるほど異なっています。別記事の写真と比較してみてください。

ハネムスカリの花|By Robert Flogaus-Faust – Own work, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=118261779

引用文献

Flora of North America Editorial Committee. 2002. Flora of North America, Vol. 26: Liliidae. Oxford University Press, ‎Oxford. 752pp. ISBN: 9780195152081

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