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【実体験】トコジラミ(南京虫)の見つけ方と完全駆除の全手順|噛み跡の特徴・卵・生態まで徹底解説

トコジラミ(南京虫)の見つけ方と完全駆除の全手順 動物
トコジラミ(南京虫)の見つけ方と完全駆除の全手順

先日私が住んでいるマンションの自室にトコジラミが発生しました。

トコジラミ(床虱・ナンキンムシ・南京虫) Cimex lectularius はカメムシ目トコジラミ科トコジラミ属に含まれる屋内害虫です。日本では第二次世界大戦後、有力な殺虫剤の普及で一度絶滅状態になりましたが、DDTの使用禁止やインバウンドの増加から2000年を過ぎたあたりからまた増加し始めています(平尾,2010)。

まさか昆虫を仕事にしている私がトコジラミの被害に遭うとは思わず、トコジラミの写真が沢山とれたという意味では幸運でしたが(?)、手の甲から腕までと首を毎晩6~10箇所ほど噛まれまくり、その上体調も崩し風邪も引いたため、非常に苦しい思いをしました。

そこでここでは実際の発生から駆除までの体験談とともに改めてトコジラミの生態を文献つきで整理しようと思います。

結論から言うと自力駆除には限界があり、早期解決を考えるならペストコントロール業者に頼むのが一番だと思います。掃除好きの半ミニマリストのような生活をしている私でもそうだったので、おそらく例外はないと思います。

その理由は洗濯や市販殺虫剤(ピレスロイド系を除く)は有効ではあるものの、液体のスプレーまたは気体の燻製では物が多い実際の家屋では十分に全体に広まらないことと、卵は殺虫剤が効かないため、孵化後を狙い撃ちして継続的な殺虫が必要だからです。

業者では会社によりますがこれらに加えて、高温や低温による殺虫・殺虫薬の塗布・隙間の封鎖・トラップ・目視での検査なども併用する場合も多く、質的にまったく異なります。

駆除費用は広告とは異なり10万超えが普通でかなり高額にはなりますが、確実性や時短を考えるなら十分に価値がある支払いだと考えています。

自力駆除は長い時間戦うことが覚悟できる人に限られると思います。

本記事ではトコジラミの発見から駆除までの実体験レビューと生態についてまとめていきます。

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※当サイトは日本語が原文です。他言語は自動翻訳されたものであり、学名や専門用語が間違っている可能性があります。

最初の異変:噛み跡・症状から「トコジラミかも」と気づくまで

最初に気づいた体の異変

最初にトコジラミの症状が出たのは4月中旬のことでした。大人数で知人宅に遊びに行った後ぐらいから手首周りにやや痒みのある赤い斑点ができ、最初はウイルス性の風邪のせいかも…。と考えていました。以前に同じようなウイルス性の風邪で斑点を出したことがあり、しかもその後に実際に悪寒が始まり風邪を引いたため、「これは人にあった後の風邪のせいだな…」と確信していました。

この風邪はかなり長引いて鼻水・咳・くしゃみが止まらず、味覚低下まで発生し、検査結果はコロナウイルスやインフルエンザではありませんでしたが、治った後も咳喘息がおこるほどこじらせていました。

風邪が治った後は咳喘息を除けばなんとか体調がよくなったのですが、なぜか斑点については治まるどころか増え続けていました。

このタイミングでようやく「これってもしかして風邪じゃなくて虫のせいなのでは…?」と考えるようになりました。

これは事前に知識があったためです。大学院時代に保健所でトコジラミが増えているということが話題になっているという話を人伝てに聞き、私も少し調べたことがありました。

もしやと思い、いつも使っているマットレスをめくってメッシュ部分を観察したところ非常に小さな蠢くものを発見。普段使っているピンセットでつまみだし双眼実体顕微鏡で確認したところ…発見しました。やはりトコジラミでした。

トコジラミ幼虫1齢:双眼実体顕微鏡で撮影。マットレスのメッシュの内部に居た。
トコジラミ幼虫1齢:双眼実体顕微鏡で撮影。マットレスのメッシュの内部に居た。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda

このようにあっさりと私は発見し写真まで撮影しましたが、実際にはそうはいきません。

よくメディアでは成虫になった姿がフォーカスされ、これは大きく茶色で比較的目立ちますが、卵から生まれたての1齢幼虫は1mmほどしかなく、白い背景の中で1齢幼虫を発見できるのは非常に慣れてる目がいい人だけです。大抵の人は見えずに見過ごしてしまいます。

更に巧妙なことに昆虫では共通の特徴ですが、トコジラミは振動などから発見されたと感じると静止します。ヒトを含む哺乳類は動かないものを見つけるのが非常に難しいです。

加えて、通常ピンセットや双眼実体顕微鏡は持っていないと思いますから1齢幼虫を捕まえてトコジラミであると断定にまでたどり着かないでしょう。

その点で早期に発見できたのはかなり幸運であったと思います。

普通の人は噛み跡の症状から怪しむのが賢明だと思います。

噛み跡の特徴とダニとの違い

トコジラミの場合、腕・脚・首を集中的に狙い、ノミ・シラミ・カ・ダニとは異なり、噛まれた赤い斑点が3~5個近い場所で直線またはジグザグに並ぶことが多いです(Akhoundi et al., 2023)。このようなパターンは「朝食・昼食・夕食」と呼ばれます。実際は夜間しか動かないのであくまでイメージの命名です。

このようなパターンになる理由については諸説あるのでここでは省略します。詳しくは Doggett et al.(2012)を読んでみてください。

斑点は隆起したり、水疱になることもあり、痒みは幼虫の成長具合や個人差がありますが、蚊に刺されたくらいの痒みから、掻かないと我慢できないのほどの痒みまでのグラデーションがあります。

私は当時長袖長ズボンで寝ていたためか、噛まれる範囲が制限されており、手の甲・手首・首の前側が中心でした。露出している場所が毎朝規則的に噛まれているのを確認したら強くトコジラミであることが疑えるでしょう。ただし、私の場合、長袖であるにも関わらず、前腕から肘のあたりまで潜り込んで刺されていたことも多かったです。

トコジラミの手の甲の噛み跡(刺し跡):業者による駆除前日ぐらいの状態。13か所くらいを同日に刺されており赤く腫れ痒みが強い。
トコジラミの手の甲の噛み跡(刺し跡):業者による駆除前日ぐらいの状態。13か所くらいを同日に刺されており赤く腫れ痒みが強い。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
トコジラミの前腕内側の噛み跡(刺し跡):8か所くらいを同日に刺されており赤く腫れ痒みが強い。
トコジラミの前腕内側の噛み跡(刺し跡):8か所くらいを同日に刺されており赤く腫れ痒みが強い。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda

困ったことにトコジラミは夜行性で、蚊のように刺咬時に麻酔薬を注入するため、刺されたことにはまず気づくことはなく、朝には物陰に隠れてしまい痕跡はほとんどありません(Akhoundi et al., 2023)。

夜間人間は寝返りも打っており、いつ潰されてもおかしくないようにも思えますが、普通トコジラミが潰れている様子は全く見られません。

これは移動速度も早いことに加えて非常に平べったい姿になっているためだと考えられます。生物学を学んだ私としてはある意味「進化すごすぎでしょ!」と関心してしまいましたが、厄介な特性があると言えます。

噛み跡自体については通常自然に治まり、治療しなくても1~2週間以内に治癒するため、心配する必要はありません(Akhoundi et al., 2023)。蚊のように危険な感染症を媒介する証拠も今のところ見つかっていません。

噛まれること自体は非常にストレスですが、冷静に石鹸と水で洗い、外用ステロイド薬や抗ヒスタミン薬を塗って対処しましょう(Akhoundi et al., 2023)。掻きむしるのが一番よくありません。私は重症ではなかったので薬を使わずに乗り切りました。日本ではリンデロンVs軟膏やムヒなどになるのではないかと思います。

本来なら病院にいって診てもらうことを勧めたいですが、病院に行ってもトコジラミに必ずしも詳しいお医者さんがいるとも限らず(Doggett et al., 2012)、最終的に業者を呼ぶにしても証拠として実際の虫の採取か、写真撮影が不可欠になってきます。分からない場合は病院よりペストコントロール業者に直接見てもらう方が確実ではないかと考えています。

家のどこに潜んでいる?自宅でできる「トコジラミの見つけ方」完全ガイド

トコジラミを駆除するにしても、駆除を依頼するにしても、まずトコジラミが日中どこに潜んでいるかが分からないと話になりません。

文献で示される潜伏場所

トコジラミはやはり夜間血を吸う関係から寝室を中心に広がっていきます。

研究では寝室の中でも潜伏率はベッドで85%、寝具で52%、巾木(幅木)やカーペットで37%、スタンドや鏡台などの家具で26%、ソファ・椅子で25%、壁や天井で14%、衣類で6%という結果が出ています(平尾,2010)。

重度の場合、コンセント・配管・空気ダクトに侵入することがありますが、稀です(Delaunay, 2012)。電化製品に侵入する可能性もゼロではないですが、普通は少なく優先順位は低いです。

実際に自宅で確認できた潜伏場所

私が肉眼で確認できたのは最終的に折りたたみマットレスのメッシュの内部・カーテンの上部と中部・マットレスとカーテンの間にあるフローリングの隅・マットレスの隣りにあるベンチスツールの内部でした。

つまり寝床周りだけで、逆にデスク周り・キッチン・浴室・トイレでは見かけませんでした。このまま放置していれば別の部屋に広がっていた可能性は高かったと思います。

浴室に関しては水に弱くつるつるして登りにくい浴室やシャワールームはトコジラミは侵入しにくいとされています(Delaunay, 2012)。

まずは寝具周りを徹底的に調べるのが良いと思います。幼虫は黄色みが買った乳白色、成虫は茶色なので、背景色によっては見つけづらい上に1齢幼虫は非常に小さいです。スマホのライトで照らす方がわかりやすいです。

もう一つのシグナルは血糞と呼ばれる排泄物で、悪質なことにあなたの血の消化した後の糞を部屋の隅につけていることがあります。これも確認してみましょう。

トコジラミはカメムシの仲間であるため、攻撃されると酸っぱい臭いを出します。重度の場合、この臭いが強く残っている場合があります(Delaunay, 2012)。

まずやった応急処置:洗濯・乾燥機・掃除の効果

トコジラミを発見したらまずは応急処置として洗濯・乾燥・掃除を徹底していきましょう。文献でも有用性が指摘されています(平尾,2010)。しかしこれで全滅することを期待しないでください。

洗濯と乾燥の効果

洗濯については60℃のお湯で洗い、40℃以上で最低30分回転乾燥をかけるか、ドライクリーニングで成虫・幼虫・卵が全て死亡することが確認されています(平尾,2010)。

これは家庭のドラム式洗濯乾燥機かコインランドリーで行うのが良いでしょう。乾燥機のみの場合はエビデンスが不足していますが、トコジラミ駆除業者には高温設定で40分処理することを勧められました。

普通の常温での洗濯でも卵以外には効果があるとされ、乾燥機にかけられないカーテンを洗濯した際には大型のトコジラミの干からびた死体がでてきました。

掃除機・天日干しの実際

掃除機による掃除は数を減らすには効果があり、単に吸い取るだけでなく吸引の衝撃で物理的にトコジラミを殺すことになります。

成虫の97.4%は1週間以内で死亡し、残りも8日後までにすべて死亡することが確認されています。幼虫でも1日以内で100%が死亡することが分かっています(田中・田中,2017)。

しかし私はクイックルワイパーしか持っていなかったのでこの効果は期待できませんでした。クイックルワイパーでも肉眼で幼虫を拭き取っていることが確認できましたが、吸引には劣ると思います。

天日干しも効果があり、黒いビニール袋に包んで両面が日に当たるように裏返しながら天日干しをすると、80℃を超え殺虫できることが分かっていますが、かなり手間ではあります。

自力駆除に挑戦:殺虫剤スプレーの効果と限界

ただ、洗濯乾燥と掃除だけでは限界があります。実際これだけでは居なくなりませんでした。

そこでできれば使いたくないという躊躇もありましたが、まずは試してみようと思い、殺虫剤を使用しました。

市販殺虫剤の成分と効果

市販されているトコジラミに使用される殺虫剤の有効成分としては4種類あり、ピレスロイド系・有機リン系・カーバメート系・メタジアミド系(ブロフラニリド)です。

ただし、ピレスロイド系のメジャーな殺虫剤はたとえ「トコジラミ対応!」と書いてあったとしても現在のトコジラミに使っても僅かな効果しかありません。具体的にはレックの「バルサン ワンタッチ 煙タイプ」やアース製薬の「医薬品トコジラミゴキブリアース」などです。

日本に再侵入したトコジラミはピレスロイド系殺虫剤を解毒する耐性があり、「スーパートコジラミ」と呼ばれる個体群だからです。まるで『鬼滅の刃』の童磨のように化け物じみた進化が起こっていますが、このような進化は実は多くの昆虫で発生しており、大量の屍の先に得た能力で、自然選択(人為選択)の結果です。

実際の実験でもピレスロイド系燻製剤では72時間経っても30%以下、スプレー剤でも60%以下の致死率にとどまっています(倉島,2024)。

有機リン系とカーバメート系については従来有効で、3週間後に駆除率100%と言われていました(武藤,2015)。

ところが現在では有機リン系・カーバメート系に抵抗性を示すトコジラミが国内外で確認されており、今後は効かなくなる可能性が指摘されています(數間,2022)。2026年の今のところ効くかもしれませんが、その効果は年々低減していくかもしれません。

ブロフラニリドは新規薬剤のため今のところは問題なく使用できます。ある研究では2週間後に駆除率が95%以上という実験結果があります(倉島,2024)。

そのため、必ずラベルの有効成分を確認して殺虫剤は購入してください。多くの人がピレスロイド系を購入し、効かずに苦しんでいます。

私が今回使用したのはこちらのアース製薬の「ゼロノナイト ゴキブリ・トコジラミ用 1プッシュ式スプレー 60回分」です。

これはブロフラニリド(商品名:テネベナール)を有効成分として含むものです。

こちらの商品を1週間ほど、毎日空間に3プッシュ、今までにトコジラミを発見した局所に3プッシュほどしていきました。メーカーの推奨はもっと少ないので自己責任でお願いします。

その結果、瀕死のトコジラミを毎日3~5個体ほど見かけるようになりました。着実に数を減らす役割はあったと思います。

トコジラミ3齢幼虫:ブロフラニリド殺虫剤でほとんど瀕死。腹部に見える赤黒いものは私の血液。
トコジラミ3齢幼虫:ブロフラニリド殺虫剤でほとんど瀕死。腹部に見える赤黒いものは私の血液。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda

更に掃除をしているとおそらくこの部屋に侵入した全ての幼虫の親であると思われる成虫が瀕死の状態で発見!

トコジラミ雌成虫の背面:ブロフラニリド殺虫剤で瀕死状態。
トコジラミ雌成虫の背面:ブロフラニリド殺虫剤で瀕死状態。|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda
トコジラミ雌成虫の腹面
トコジラミ雌成虫の腹面|© 2021-2026 生態情報 Kenichi Ikeda

掃除をしていると、クイックワイパーに数匹1齢幼虫がついていました。拭き掃除をすると薬剤が拭き取られてしまうので、必ず掃除の後にもう一度プッシュしてください。

他に候補としてはレックの「バルサン 待ち伏せスプレー」(カーバメート系)やアース製薬の「ゼロノナイトG ゴキブリ・トコジラミ用 くん煙剤 6~8畳用」(ブロフラニリド)もあるでしょう。今回は試していないので、状況によってはこれらの方が良い場合があるかもしれません。

殺虫剤使用の注意点

ただし、これらの薬剤は人間にとってもノーリスクというわけではありません。おそらくこれらの薬剤ではないと思われますが、海外ではトコジラミの薬剤による死亡事故も起きていますし(Laborde-Castérot et al., 2024)、現在はこれらの薬剤は試験も行われ問題ないものとして使用されていますが長期暴露の知見はなく、将来は分かりません。

DDTという殺虫剤はかつて無害とされて「奇跡の薬」として乱用されてきました。トコジラミもこのDDTによって数を減らし(Akhoundi et al., 2023)、日本でも絶滅寸前になりました。しかしDDTは現在では発がん性が確認され、ごく一部の地域を除いて使用されなくなりました(Le Couteur & Burreson, 2003)。

絶対に無害の薬はないものとして肝に銘じて適量を使用しましょう。

それでも消えない…再発で気づいた「素人駆除の落とし穴」

このようにできそうな複数の防除を組み合わせましたが、結論から言うと2週間ほどでは自力駆除はできませんでした。殺虫剤使用後も何箇所も刺される日々を過ごしていました。

原因としては色々と考えられます。

別の場所に退避して再発する問題

まず、洗濯乾燥や掃除では数を減らすことはできますが、同時に行わなければ別の場所に退避していたトコジラミがまた同じ場所に戻ってきます。

実際私もカーテンやレースカーテンを一度洗濯しましたが、しばらくするとまたカーテンやレースカーテンでトコジラミを観察するようになりました。高温での乾燥はできなかったので卵が残っていた可能性もあります。

何度も洗濯すれば頑張れなくもないですが、かなり根気がいります。

また、マットレスの内部やエアコンの内部のようにどう頑張っても洗濯乾燥や掃除ができない部分もあります。ここに退避されたらお手上げです。

家屋構造と卵の大量産卵による長期化

殺虫剤に関しても上述の100%駆除というのはあくまで実験での結果です。実際の家屋は複雑に入り込んでいたり、家財も多く、入り込む隙間が沢山ありそんなに簡単に部屋に浸透していないのかもしれません。

それに通常民家では頻繁に掃除もするため、薬剤は拭き取られてしまいます。逆に汚部屋の方が薬の効きがよいのではないかという考察があるほどです(倉島,2024)。

更に市販の薬剤の濃度が控えめである可能性もあります。

もっと大事なこととして、昆虫の神経系に作用するこれらの殺虫剤は動かず殻に守られている卵にはほぼ効きません。実験では直接様々な殺虫剤を噴霧してもいずれも生存率が80%を超えています(Hinson et al., 2016)。

しかもトコジラミの雌は生涯で平均131.9〜155.7個も卵を産みます(Polanco et al., 2011c)。別の文献では200~500個ともされます(Akhoundi et al., 2023)。これを1回ではなく、吸血する度に少しずつ産卵し、1日に約5個の卵を産みます。

そのため、私のように部屋で成虫に産卵されてしまった場合は例え孵化後の個体に薬が効いていたとしても、長期の戦いは確定することになります。

業者に相談してわかったプロの駆除方法と費用相場

以上の結果から私はペストコントロール業者(駆除業者)に頼むことにしました。

業者に頼むことを決めた理由としては、スプレー殺虫剤は効果はあったものの、事態の長期化を防ぐことと、完全防除の確証が得られないと思ったからです。

ただ、一番の決め手は親に「ペットがいるのでトコジラミが居なくなるまで実家に帰らないでほしい」と言われたね(笑)。

トコジラミはペットからも日和見的に血を吸います。つまりヒトの血のように主食にはならないものの、機会があればイヌ・ネコ・ウサギ・ニワトリなどの鳥類の血を吸っている明確な証拠があります(Black et al., 2021)。

本来、実家で法事の予定があったのですがトコジラミのせいで帰れなくなってしまいました。この先同じように他の人にトコジラミをうつして迷惑をかけてしまうリスクがあるな、と思うとやはり業者に頼むというのが正解だったと思います。

見積もりで分かった費用と施工内容

業者は数社に頼み、相見積もりしてもらった方が良いのではないかと思います。私は大手企業と中小企業の2社に見積もりを頼みました。

大手企業の方はメール返信自体は早かったのものの、実際に家に来て状態を見ることもなく見積もりを出したのに対して、中小企業の方ではその日のうちに家に来て状態を診ていただいて見積もりを作成していただきました。結果としては中小企業の方が見積もり時点の価格は高かったものの、こちらの方にお願いすることにしました。

トコジラミ駆除で大失敗ないと信じたいですが、値段だけでなく、一般的に考えて口だけではなく行動が早いか、実際に家で1齢幼虫を発見できるか、ペストコントロール全般だけでなくトコジラミの駆除が得意だと謳っているかといったことは考慮に入れてよいのではないかと思います。

なお、価格はインターネットで調べると一人暮らし部屋で4万円~などと謳っている業者がありますが、まずこの値段にはなりません。

というのもほぼ確定で1回目の駆除の2週間後に2回目の駆除も行うからです。これは標準的駆除方法で上述のように卵の間は薬剤が効かないので、孵化後の個体に対しての処理が必要だからです(Campbell & Miller, 2017)。卵が孵化するまでは4~12日です(Akhoundi et al., 2023)。これがない業者はむしろ信用できません。

グレーゾーンの有利誤認の広告のようにも思えますが、普通の業者でも(おそらく価格競争で)行っているのでこの価格だけで業者の良し悪しは判断しないほうが良いかもしれません。

私は最終的には保証も含めて14万円ほどで駆除してもらいましたが、一人暮らしであればもう少し価格は調整できる可能性はあります。ただ早くしてもらいたかったため私はこれで妥協しました。いずれにせよ10万超えは確定だと思います。

業者ごとの駆除方法の違い

駆除方法は業者によって異なります。薬剤だけのところもあれば、様々な駆除方法をミックスしたところもあります。これも保証期間がある企業であればどれを選んでも問題ないと思いますが、薬剤の使用に対して抵抗があるのであれば、薬剤少なめを謳っている企業が良いのではないかと思います。

以下業者で行われる代表的な駆除方法です。

  • 熱処理:高温スチームで殺虫する。
  • 冷却処理:ドライアイスなどで殺虫する。
  • 吸引処理:強力な掃除機でトコジラミを吸い取る。
  • 薬剤処理:薬剤を塗布する。燻製やスプレーだけではなく、液体を部屋の隅に塗りつけることが多い。
  • 封鎖処理:部屋の隅にある小さな隙間を固まる樹脂で封鎖する。
  • 捕獲処理:トコジラミトラップ(トコジラミホイホイ)を部屋の隅に設置し、直接捕殺と再侵入防止を行う。

保証期間については業者によって様々で、2回目の施工から3か月・6か月・1年といったものが多いと思います。

トコジラミの生態を考えると、卵が孵化するまでが4~12日で(Akhoundi et al., 2023)、卵から成虫になるまで約1.2〜1.3か月(Polanco et al., 2011a)、生活環が2か月なので(Izri et al., 2020)、理論上は3か月で十分かもしれません。

しかし、また外から持ち込んだり、家財に隠れていて何かの拍子にそこから出てきて数か月後にまた刺してくるというシチュエーションもないわけでないので、6か月ぐらいが安全かもしれません。

トコジラミはよくインターネットで「血を吸わずに1年以上生きていられる!」と言われますが、ある研究では1齢幼虫は平均13.8~36.3日、5齢幼虫と成虫は平均41.5~142.6日という結果で盛られ過ぎでは?という指摘もあります(Polanco et al., 2011b)。別研究でも同じような結果です(Akhoundi et al., 2023)。

この数字を鵜呑みにするなら半年出なければ出なさそうです。

業者駆除当日までの流れと、完全駆除までにかかった日数

施工開始までは数日中に行ってもらえると思います。私の場合は最初の連絡から当日に調査してもらい、5日後に1回目の駆除をしてもらいました。2週間後に2回目の駆除の予定を入れました。つまり連絡から完全駆除まで19日ですが、1回目の駆除の後である6日後には刺されなくなりました。

施工前の準備

業者が来る当日までには自分でもやることがある場合があります。

よくあるパターンでは大型家具・家電を除いて家財を袋詰めしなければなりません。これはトコジラミを部屋から隔離するためです。トコジラミはつるつるするポリ袋は登ることができないと考えられています。

しかし、トコジラミは薄いビニールであれば突き破って、出てきてしまうと言われているので、0.04mm以上の分厚い30Lまたは45Lの透明ポリ袋が必要です。この作業がなかなか大変。ほとんど引っ越しと同じです。

このポリ袋は普通のスーパーでは見当たらず、ホームセンターなどで購入できる場合があります。私はコーナンで厚さ0.05mmで30枚入りの45L透明厚手ごみ袋を購入しましたが、別途割高料金を払えば業者の方で用意してもらえるのであまり考えたくない人はこれで良いと思います。もともとプランに含まれている業者もあるかもしれません。

この袋詰めは2週間後の2回目施工で駆除完了まで戻すことができません。つまり2週間以上は袋詰め生活になる覚悟はしておいてください。

また、洗濯乾燥が可能な衣類はコインランドリーの洗濯乾燥やクリーニングを行うように促されました。

ここから先は私が頼んだ業者の手法なので業者によって異なるかもしれません。

1回目と2回目の施工内容

施工1回目は本人は外出し、部屋全般に対して上述の薬剤塗布や散布、隙間封鎖などが行われます。半日ほどかかかるとの話でしたが、私の場合は部屋が小さく3時間ほどで終了しました。これはプロの速さですね。

外出する際のリュックやカバンも駆除対象となりますが、こちらは目視でのチェックと薬剤塗布をしてもらいました。また普段よく使う物が入った袋はそのときに薬剤をかけてもらいます。

施工1回目の夜はまだ数か所噛まれているような気がしましたが、その翌日の夕方帰宅すると3匹の死体を確認しました。これは部屋の隅に塗られた薬剤が効いたのだと思います。それ以降は噛まれることはありませんでした。

施工2回目は部屋にトコジラミが残っている場合は1回目と同じ部屋への作業も行われますが、袋の中にトコジラミが残っていないかの確認も行われます。

2回目施工は私はまだ進行形で行ってもらっていないので完了後にまたレポートします。

二度と発生させないための再発防止策

侵入経路として考えられる要因

私の家でトコジラミが発生してしまった原因についてはまだよく分かっていません。

トコジラミは単為生殖ではないため必ず交尾する必要があるため、1匹の幼虫が家に入って繁殖するということは考えにくく、一番可能性が高いのは交尾済みの雌成虫が家に侵入したパターンです。

家では雌成虫を一匹しか確認できなかったので今のところこのパターンを考えています。刺される症状は5月ごろからでしたが業者からは12月くらいに侵入したものではないかと言われました。

ただ侵入経路について心あたりが多く確定できないでいます。

一般的にはホテル・列車・航空機・船舶など、あらゆる宿泊・移動手段で発生が報告されています(Delaunay, 2012)。

私の場合は考えられる可能性としては2パターンあります。

1つは旅行先に居たトコジラミを持って帰ってしまったパターンです。私はわりと狭くても平気なので一人旅のときはカプセルホテルを愛用していたのですが、インバウンドで海外からの旅行者も多く、私も無警戒だったのでリュックや上着にトコジラミの成虫が侵入してしまったのかもしれません。1月ぐらいに東京のカプセルホテルを利用していました。『Bed Bugs Map Japan』を調べるとここでは2年前ほどにトコジラミが出たことがあったようです。

もう1つは荷物に紛れ込んだパターンです。私は仕事柄ダンボールで標本サンプルを自宅に送ってもらっていて、その上Amazonなどのネット通販での購入も頻繁に行っているのでそのなかにトコジラミの成虫が混じっていたのかもしれません。

ホテル・荷物での対策

個人でできる再発防止策はあるのでしょうか?ホテルについては研究では以下の方法が指摘されています(Delaunay, 2012; Hentley, et al., 2017)。

  • 到着したらライトを使って寝具まわりをざっと確認し、怪しいサインがあればその部屋は使わない。
    • マットレスの縫い目やパイピングのチェック。
    • ベッドフレームの角のチェック。
    • カーテン上部のチェック。
    • 枕やソファの隙間のチェック。
    • 黒い点(血糞)・血痕・卵・幼虫を確認。
    • トコジラミはカメムシの仲間であるため酸っぱい臭いを出すため強い臭いがしないかチェック。
  • ベッドから離れた場所(浴室など)に荷物を置く。水に弱くつるつるして登りにくい浴室やシャワールームはトコジラミは侵入しにくいとされている。ない場合は壁沿いではない部屋の中央の椅子などに置く。
  • 荷物は大きなポリ袋に密閉する。つるつるしたポリ袋はトコジラミは登りにくい。
  • 露出部にはディート(DEET)などの蚊よけスプレーを使用する。日本ではアース製薬の「サラテクト」など。
  • 服を着て寝る。布越しには噛まれにくい。
  • 寝間着(パジャマ)は別のポリ袋に保存する。
  • 着た服をむき出しで置かない。汚れた衣類は人間の臭いが染みつき、トコジラミを惹き寄せ、「移動用の足場」になりうることが実験で示されている。脱いだ服はすぐポリ袋へ入れる。
  • 帰宅後はすぐ洗濯、疑わしい衣類を高温洗濯か高温乾燥を行う。上述のように卵を含めた殺虫効果あり。
  • スーツケースは家の中に直行させない。可能なら浴室で洗浄する。

その他にそもそもトコジラミが出た記録のあるホテルを避けるということも考えられます。『Bed Bugs Map Japan』ではトコジラミの出現記録をエビデンスつきでGoogleマップにまとめられています(Bed Bugs Map Japan, 2026)。ホテル側の態度も含めて参考にはなるかもしれませんが、あくまで参考程度でここにないホテルに出る可能性も十分あります。

ただ以上を踏まえても、完璧な侵入防止策は難しいのではないかと思います。ホテル側もきちんと駆除するところもあると思いますが、見て見ぬふりをするパターンも考えられ、社会的な対策が必要かもしれません。

現在のトコジラミ駆除の価格帯では低所得層が頼むことが難しくなり、そのことが拡散を招いてしまう可能性があります。

家に入り込んでしまった後は清掃だけでは繁殖は防げません。私はかなり物が少なく、掃除もわりと好きで頻繁にする方でしたが繁殖してしまいました。

まとめ:トコジラミは早期発見と正しい判断がすべて

トコジラミは当然ながら血を吸えば吸うほど成長していきます。

放置すれば1匹の雌だけでも1日に約5個ずつ、平均131.9〜155.7個も部屋に卵を産みつけられ、自分の個室ならあなたの血だけでこの子どもたちが育っていくことになります。

これは放置していても絶対に居なくならず、それどころか近親交配が可能なので、次世代も育っていきます(Fountain et al., 2014)。研究でもコロニーは1匹の雌成虫が創始者となることがあり、遺伝的多様性が非常に低いことが分かっています。

全く駆除がなく順当に餌を得ると、卵と幼虫が指数関数的に増加し、飢餓状態にし毎日雌が卵を産まないという過酷な仮定をしても13日ごとに2倍になるというシミュレーションもあります(Polanco et al., 2011a)。

最初は蚊に刺されたようなものと割り切ることもできますが、成虫にまで成長すれば今度は倍々ゲーム(ねずみ算)で収集がつかなくなります。

そうなる前に何らかの対策を打ちましょう。

おすすめは優良なペストコントロール業者に頼むことですが、どうしても難しい場合は、洗濯乾燥・掃除機の使用・ピレスロイド以外の殺虫剤の使用など複数の手法を徹底しましょう。

本記事がトコジラミの被害で苦しむ人の何らかの参考になればと思います。

引用文献

Akhoundi, M., Zumelzu, C., Sereno, D., Marteau, A., Brun, S., Jan, J., & Izri, A. (2023). Bed bugs (Hemiptera, Cimicidae): a global challenge for public health and control management. Diagnostics, 13(13), 2281. https://doi.org/10.3390/diagnostics13132281

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