【種子植物図鑑 #069】イヌサフラン科の種類は?写真一覧

種子植物図鑑
Colchicum autumnale

イヌサフラン科 Colchicaceae は多年草。球茎または根茎をもちます。葉は互生、対生、輪生し、茎の基部に集まることもあります。花を単生させるか、総状や集散状の花序をもち、多様です。ふつう両性花をつけます。花被片は離生または合生し、6個。子房は上位。蒴果をもつものが多いが、チゴユリ属は液果です。世界に15属約275種があり、アフリカ南部に多く、中南米以外の熱帯~温帯に分布します。日本にチゴユリ属1属4種があります。チゴユリ属は液果をもち、鱗茎をもちませんが、APG体系では1属からなる科となっています。

本記事ではイヌサフラン科の植物を図鑑風に一挙紹介します。

基本情報は塚本(1994)、神奈川県植物誌調査会(2018)に基づいています。写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。

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No.0314 イヌサフラン Colchicum autumnale

多年草。初秋に淡藤桃色の花が1~4個伸び、高さ15~20cmになります。葯は黄色で花柱は白色、葉は披針形で長さ20~30cmで春に出現します。古くから薬用植物として栽培され、乾燥した球茎および種子から劇薬であるコルヒチンというアルカロイドが得られ、コルヒチンは古来、痛風の妙薬として用いられてきました。コルヒチンは染色体の倍数化作用があることから、育種によく利用されています。ヨーロッパ、北アフリカに分布し、牧草地に生えます。

イヌサフランの花
イヌサフランの花

No.0315 チゴユリ Disporum smilacinum

多年草。茎はふつう分枝せず、高さ15~40cm。4~5月、白い花を横向きまたは斜め下向きに開きます。花被片は長さ1~1.5cm。北海道、本州、四国、九州;朝鮮、中国に分布します。分枝するものをエダウチチゴユリ var. ramosum と言います。

チゴユリの葉
チゴユリの葉
チゴユリの花
チゴユリの花

No.0317 ホウチャクソウ Disporum sessile

多年草。高さ30~60cm。茎は単純のものから数個分枝するものまであります。葉身は顕著な3脈があり、形は変化が多く、幅の広いものから狭いものまであり変異が多いです。4~5月、筒状、緑白色の花を下垂します。花被片は上半部が緑で下半部は白い。果実は球形、径1cmほど、黒色に熟します。北海道、本州、四国、九州;朝鮮、中国、サハリンに分布します。海岸から山地の林内に生えます。

ホウチャクソウの葉上面
ホウチャクソウの葉上面
ホウチャクソウの葉下面
ホウチャクソウの葉下面
ホウチャクソウの茎
ホウチャクソウの茎
ホウチャクソウの花
ホウチャクソウの花

No.0317.1 ホソバホウチャクソウ Disporum sessile f. stenophyllum

ホウチャクソウの葉身の幅2~3cmより狭い品種。南関東、東海、四国、九州にありますが、特にフォッサ・マグナ地域に多いです。狭義ホウチャクソウとの中間形もあります。以下個体の葉身は未計測です。

ホソバホウチャクソウの葉上面
ホソバホウチャクソウの葉上面
ホソバホウチャクソウの葉下面
ホソバホウチャクソウの葉下面
ホソバホウチャクソウの葉序
ホソバホウチャクソウの葉序
ホソバホウチャクソウの果実
ホソバホウチャクソウの果実

引用文献

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

塚本洋太郎. 1994. 園芸植物大事典 コンパクト版. 小学館, 東京. 3710pp. ISBN: 9784093051118

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