ゲンノショウコ・アメリカフウロ・ミツバフウロ・コフウロの違いは?花と果実の構造は?

フウロソウ科
Geranium thunbergii f. thunbergii

ゲンノショウコ・アメリカフウロ・ミツバフウロ・コフウロはいずれもフウロソウ科フウロソウ属で、花も葉もよく似ており、同定に迷うことがあるグループです。日本には18種類以上も確認されているので、全てをここで紹介することはできませんが、平地で確認される4種に限れば葉の切れ込みや腺毛の状態を確認することで区別できます。花は花弁5枚で白~赤色です。果実は蒴果で、5分果に分かれ、熟すると種子をはじき飛ばします。本記事ではフウロソウ属の分類・形態について解説していきます。

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ゲンノショウコ・アメリカフウロ・ミツバフウロ・コフウロとは?

ゲンノショウコ(現の証拠) Geranium thunbergii は日本の北海道、本州、四国、九州;朝鮮、台湾に分布し、市街地の空き地や路傍から山地の草原まで草原的な環境に広く生える多年草です(神奈川県植物誌調査会,2018)。

アメリカフウロ(亜米利加風露) Geranium carolinianum は北アメリカ原産で日本では1932年に京都で発見されて以来、全国的に広がりました。山地を除く各地に極めて普通に見られ、市街地の路傍や空地にも生える一年草です。

ミツバフウロ(三葉風露) Geranium wilfordii は日本の北海道、本州、四国、九州;中国大陸周辺に分布し、山地の草地に生える多年草です。

コフウロ(小風露) Geranium tripartitum は日本の本州、四国、九州;朝鮮(済州島)に分布し、山地の林縁から樹林内に生える多年草です。

いずれもフウロソウ科フウロソウ属で、花も葉もよく似ています。フウロソウ属は種類が多い上に、種類による違いが出にくく、かなり慎重に判断する必要があり、同定に迷うことがあるグループであると言えるでしょう。

ゲンノショウコ・アメリカフウロ・ミツバフウロ・コフウロの違いは?

フウロソウ属は日本在来種は12種で、更に6種以上の帰化種が確認されているので、これら全ての区別方法をここで挙げるのは難しいです(神奈川県植物誌調査会,2018)。

ただ比較的よく平地で確認される4種に限れば区別できます。

まず、ゲンノショウコ・ミツバフウロ・コフウロでは葉身が3~5裂するのに対して、アメリカフウロでは葉が5~7深裂という違いがあります。アメリカフウロの方が細かく別れているということです。

また、アメリカフウロでは葉にしばしば赤い縁取りが入りますが、他種ではそれがありません。

残り3種に関しては、ゲンノショウコでは萼片や花柄などに腺毛を持ち、葉身が3~5中~深裂するのに対して、ミツバフウロとコフウロでは植物体に腺毛はなく、葉身が3深裂または3全裂するという違いがあります。毛がないというわけではないので注意して下さい。

ミツバフウロとコフウロに関しては、ミツバフウロでは葉は対生し、3深裂するのに対して、葉は互生し、3全裂するという違いがあります。つまりコフウロでは葉が完全に分かれるということです。

以上で区別できるでしょう。また後述のように花期も異なり、アメリカフウロは春、その他の種類は夏~秋に咲きます。

この他、オトメフウロ Geranium dissectum はアメリカフウロに似ますが、果体には短毛のみで花は濃紅色です(アメリカフウロでは果体に長い剛毛と短毛が生え、花は淡紅色から白色)。葉がより深く切れ込み、特に上部の葉では裂片が糸状になる点も異なります。

チゴフウロ Geranium pusillum は雄しべは5本のみが葯を持ち、残りの5本は葯を欠きます(他種では全てに葯があります)。

ベニバナゲンノショウコの葉
ベニバナゲンノショウコの花
ベニバナゲンノショウコの未熟果
ベニバナゲンノショウコの果実
アメリカフウロの葉
アメリカフウロの花
アメリカフウロの果実
ミツバフウロの葉:葉は対生し、3深裂
Alpsdake – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=43985878による
ミツバフウロの花柄:腺毛はない
Alpsdake – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=43985886による
ミツバフウロの花
Alpsdake – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=43985880による

ゲンノショウコの品種は?

ゲンノショウコにはいくつか変種が知られています。

ベニバナゲンノショウコ f. thunbergii は花が紅色の品種です(基準品種)。

シロバナゲンノショウコ f. pallidum は花が白色の品種です。

ヤエザキゲンノショウコ f. plenum は花が八重咲きの品種です。

シロバナゲンノショウコの葉上面
シロバナゲンノショウコの葉下面
シロバナゲンノショウコの花
シロバナゲンノショウコの未熟果

花の構造は?

花の構造はフウロソウ科共通です。花弁と萼片は一般には5枚で、雄しべは5本ずつ1~3重に並び、雌しべは1個で、花柱の先は5裂し、子房は上位につき、ふつう5室に分かれます。

ゲンノショウコは花期が7〜10月(林ら,2013)。花は長い花柄の先に2個つき、紅紫色または淡紅色、白色で直径1〜1.5cm。東日本は白い花、西日本には紅紫色の花が多いです。花弁と萼片は5個。花柱は5裂します。

アメリカフウロは花期が5〜6月(清水ら,2001)。花期が葉腋に花柄を出し、直径5mmほどの淡紅色の5弁花を数個つけます。

ミツバフウロは花期が7~10月(佐竹ら,1999)。長い花柄の先端に直径1~1.5cmで薄紫色の1~2個の花を上向きに付けます。花柄と小花柄には下向きの屈毛と圧毛が密生します。花弁と萼片は5枚。雄しべは10本で、長さ約6mm。

コフウロは花期が8~9月。花は茎頂や枝先に2個ずつつき、直径約1cmで白色~淡紫紅色の花をつけます。萼の外側には腺毛でなく、長い開出毛が密生します。

果実の構造は?

果実はフウロソウ科共通で蒴果です。5分果に分かれ、各分果は上方に中軸に沿った長い嘴をもち、熟すと裂開し、種子を放出します。ただし、ヒメフウロのような例外もあります。

ゲンノショウコの蒴果は長さ約1.5cmで短毛と腺毛が多いです。心皮の上部がくちばし状にのび、その下端に種子があります。熟すと5裂し、裂片は種子を1個ずつ巻き上げます。

アメリカフウロの蒴果は約2cmの角果で、5つの分果に弾けます。

ミツバフウロの朔果は花柱分枝と共に長さ約2cm。果体には開出する長毛と細毛が密生し、嘴には細毛が密生します。花柱分枝は長さ4.5~2mm。果実は熟すと下方から裂開し、種子をはじき飛ばします。

コフウロの朔果は分果で5個、長さ約1.5cm。果体には開出する長毛と短毛があり、嘴には細毛が密生します。

引用文献

林弥栄・門田裕一・平野隆久. 2013. 山溪ハンディ図鑑 1 野に咲く花 増補改訂新版. 山と渓谷社, 東京. 664pp. ISBN: 9784635070195

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・冨成忠夫. 1999. 日本の野生植物 草本 2 離弁花類. 平凡社, 東京. 318pp. ISBN: 9784582535020

清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七. 2001. 日本帰化植物写真図鑑 plant invader 600種 改訂. 全国農村教育協会, 東京. 553pp. ISBN: 9784881370858

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