シュロソウ科 Melanthiaceae は多年草。ふつう根茎を持ちます。葉は互生または輪生します。花を単生させるか、総状または穂状の花序をつけます。両性花または単性花をつけます。花被片は離生し、基本的に6個でありますが、一部の花被片を退化させるものがあります。子房は上位。蒴果をもつもの(シュロソウ属、ショウジョウバカマ属)も、液果をもつもの(エンレイソウ属、ツクバネソウ属)もあります。世界に17属約180種があり北半球の温帯に多いです。日本に7属約13種があります。液果をもつ旧キジカクシ亜科 Asparagoideae のうちエンレイソウ、ツクバネソウなど輪生葉をもつものもシュロソウ科として分類されることになっています。
本記事ではシュロソウ科の植物を図鑑風に一挙紹介します。
基本情報は門田(2013)、神奈川県植物誌調査会(2018)に基づいています。写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。
No.0306 ショウジョウバカマ Heloniopsis orientalis
多年草。根生葉は多数ロゼット状につき、倒披針形で長さ5〜20cm、しばしば葉先に小苗ができきます。花茎は高さ10〜30cm、鱗片葉が数個つきます。茎頂に短縮した総状に数個の花を横向きにつけます。花は雌性期から雄性期に移ります。花披片は淡紅色〜濃紅紫色、まれに白色で、長さ1〜1.5cm、基部はややふくらみ、花後も緑色になって残ります。雄しべは6個、花糸は花被片と同長かやや長いです。葯は紅紫色。花茎は果期に伸長して高さ50〜60cmに達します。さく果は3つに深くくびれます。内側中央の縫合線から2裂します。種子は線形で両端に糸状の付属体がつきます。花期は4〜5月。北海道〜九州の山地の谷沿いや林野の湿ったところに生えます。
No.0307 シライトソウ Chionographis japonica
多年草。地下茎は短い。葉は根生し、倒披針形または長楕円形、鈍頭、基部は葉柄となり、ふちは細波状、長さ8〜14cm、両面無毛。花茎は高さ25〜65cm、無毛、線形の葉がつきます。花は多数、穂状花序につき、両性花と雄花とがあります。花被片は6、長さ不等、上部のものはへら状線形、長さ7〜9mm、下部のものは雄ずいより少し長いかまたは短いです。雄ずい6、長さ1mm内外、花糸は平たく、葯室は2、離生。雌ずいは子房上位、花柱は3、少し反り返り、内面に柱頭があります。さく果は長楕円形、長さ3〜4mm、種子は狭長楕円形、長さ2.5〜3mm。花期は5〜6月。韓国と日本に分布し、日本では関東・北陸以西〜九州の山林の中に生えます。
No.0307.a チャボシライトソウ Chionographis koidzumiana
多年草。草丈12~40cm。根出葉は卵形~狭卵形、柄も含めての長さ2~8cmと小型。花は花茎の先にややまばらにつき、花披片は白色~緑白色~帯紫色で、上方の3~4個の花被片は糸状で長さ9~15mmと長く、下方の2個は退化します。雄しべは6個、花糸は短く、葯はやや球形。子房は上位で球形、葯室は上方が合着し1室になります。果実(蒴果)は長さ3~4mm。日本固有種で本州(愛知県、和歌山県)、四国、九州に分布し、山地の明るい林床や岩上に生息します。
No.0310 エンレイソウ Trillium apetalon
多年草。茎は高さ20〜40cm、葉は卵状菱形で長さも幅も6〜17cm、先は急に短くとがり、基部は広いくさび形。花は茎頂に1個、やや横向きにつきます。花柄は長さ2〜4cm、外花被片は緑色または褐紫色、卵状長楕円形で長さ12〜20mm。花後も落ちません。内花被片はふつうないが、まれにあるものもありません。雄しべは6個、葯は長楕円形で花糸よりやや短い。柱頭は3裂し、ごく短い。液果は3稜のある球形で、径1〜2cm、緑色〜黒紫色。種子は湾曲した長楕円形。花期は4〜5月。サハリン(樺太)、南千島、日本に分布し、日本では北海道〜九州の山地の林内のやや湿ったところに生えます。
引用文献
門田裕一・永田芳男・畔上能力. 2013. 山に咲く花 増補改訂新版. 山と溪谷社, 東京. 616pp. ISBN: 9784635070218
神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726