ニセフジロアツバ(京都府RDB要注目種)の舞鶴市初記録を報告!(『月刊むし』掲載論文)

動物
Adrapsa subnotigera Owada, 1982

本記事では以下の雑誌にて公表した「京都府におけるニセフジロアツバの訪花記録」の報文の下書きを掲載します。

引用方法:池田健一. 2020. 京都府におけるニセフジロアツバの訪花記録. 月刊むし 598: 48. ISSN: 0388-418X

京都府RDB要注目種ニセフジロアツバの初生態報告を想定して執筆したものです。

微細な表現などに変更が加わっている可能性はありますが、引用文献などは同様です。より正確なものをお求めな場合は雑誌よりご参照ください。

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ニセフジロアツバとは?国内の分布状況

ニセフジロアツバ Adrapsa subnotigera Owada, 1982 は本州(東海地方と紀伊半島),四国,九州,南西諸島,国外では,台湾,中国南部に分布する種として知られている(大和田,2011),京都府が分布の北限とされてきたが(京都府企画環境部環境企画課,2002),近年では,茨城県(林ら,2012),千葉県(斉藤,2015)でも記録がある。京都府レッドデータブック(京都府自然環境保全課,2015)では要注目種となっており,京都大学芦生演習林での記録などはあるものの(井上・鴨脚,2001),記録は多くないと思われる。

筆者の発見状況と訪花記録

筆者は2014年7月8日21時半頃,京都府舞鶴市字余部下の民家付近の空き地にてニセフジロアツバがハナガサギク Rudbeckia laciniata L. ‘Hortensis’ に訪花している様子を撮影したのでここに報告する。

1ex. (写真), 京都府舞鶴市字余部下, 8. VII. 2014, 筆者撮影.

京都府産ニセフジロアツバがハナガサギクに訪花
京都府産ニセフジロアツバがハナガサギクに訪花

本種の生態は不明とされ(京都府自然環境保全課,2015),訪花記録についても知られていないものと思われる。ただし,ハナガサギクはオオハンゴンソウの品種で特定外来生物に指定されており(環境省,2018最終更新),本記録においてもハナガサギクは観賞用または野生化したものと思われ,本来の訪花先ではないと思われるが,夜間におけるヤガ科を含む蛾類の訪花はよく知られており(池ノ上・金井,2010),本種においても夜間類似した花にも訪花している可能性はある。

引用文献

林恵治・佐藤和明・鈴木雷太,2012.チョウ目(ガ類).茨城県自然博物館総合調査報告書 2011 年 茨城県の昆虫類およびその他の無脊椎動物の動向: 59-62.ミュージアムパーク茨城県自然博物館,坂東.https://www.nat.museum.ibk.ed.jp/assets/data/materials/research/sougou/Insect12.pdf

池ノ上利幸・金井弘夫,2010.夜間における蛾の訪花活動.植物研究雑誌 85.4: 246-260.https://doi.org/10.51033/jjapbot.85_4_10230

井上宗二・鴨脚慶夫,2001.京都大学芦生演習林の蛾類.日本鱗翅学会第48回大会講演要旨: 31.

大和田守,2011.ヤガ科クルマアルバ亜科.岸田泰則(編) ,日本産蛾類標準図鑑III: 221-235.学研教育出版,東京.

京都府企画環境部環境企画課,2002.京都府レッドデータブック2002 上巻.京都府企画環境部環境企画課,京都.

京都府自然環境保全課,2015.京都府レッドデータブック2015 第1巻.京都府自然環境保全課,京都.

環境省,2018最終更新.特定外来生物等一覧.https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list.html

斉藤修,2015.清澄山系でニセフジロアツバ,ビロードキリガを採集.房総の昆虫 56: 60.

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