ハタケニラとニラモドキはいずれもヒガンバナ科ハタケニラ属に含まれ、日本では外来種ですが今では道傍のコンクリートの間などに非常に一般的に生えています。しかし極めて混同されています。これら2種を区別する場合は葉と花を確認する必要があります。花に関しては色、葉に関しては幅を記録しましょう。本記事ではハタケニラ属の分類・形態について解説していきます。
ハタケニラ・ニラモドキとは?
ハタケニラ(畑韮) Nothoscordum gracile は北アメリカ南部~熱帯アメリカ原産の多年草です(神奈川県植物誌調査会,2018)。日本では明治年間の中頃に渡来したとされ、関東地方以西に帰化しています。
ニラモドキ(韮擬き) Nothoscordum bivalve は北アメリカ東部原産の多年草です。日本では鑑賞用に栽培され、一部逸出し野生化している多年草です。
いずれもヒガンバナ科ハタケニラ属に含まれ、日本では外来種で、元々は観賞用に栽培されていましたが、今では道傍のコンクリートの間などに非常に一般的に生えています。
しかし、これら2種は極めて類似しており、かつては植物図鑑でも混同されていたほどでした。そのため、区別方法がわからない人は多いかもしれません。
ハタケニラとニラモドキの違いは?
ハタケニラとニラモドキを区別するには葉と花を確認する必要があります(神奈川県植物誌調査会,2018)。
まず、花に関しては、ハタケニラでは花被片の基部は緑色で、中脈(花被片の中央の縦線)がピンクを帯びるのに対して、ニラモドキでは花被片の基部は黄色で、中脈に色がないという違いがあります。これが最も重要な違いです。
『神奈川県植物誌2018』では、「ハタケニラでは花が10~15個、ニラモドキでは花は5~12個」という違いも挙げられています。しかし、ハタケニラでは花の数が多い傾向にあると思われますが、実際に野外で観察すると10個以下のことも多くあまり参考にはならないかもしれません。
葉に関しては、ハタケニラでは幅が4~10mmであるのに対して、ニラモドキでは幅が2~4mmであるという違いがあります。
この2点から区別しましょう。現状は野生化しているニラモドキの個体はかなり少数で、街に生えている殆どはハタケニラだと思われます。
他に似た種類はいる?
ヒガンバナ科の他の属にはハナニラやニラが含まれていますが、これらと混同する人も多いかもしれません。
これらとの区別方法は別記事を御覧ください。
引用文献
神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726