オケラ(白朮)・ホソバオケラ(蒼朮)・コウヤボウキの違いは?似た種類の見分け方を解説

植物
Atractylodes ovata

オケラ(白朮)とホソバオケラ(蒼朮)はいずれもキク科オケラ属の多年草で、薬草としても有名で、根茎を乾燥させた生薬は「朮」と総称されます。形態としては葉は鋸歯が目立ち、花はキク科らしく頭状花序(頭花)となり、筒状花のみから構成される点は大きな共通点でしょう。そのため、この2種の区別がつかない人がいるかもしれません。しかし、葉の長さ・鋸歯・葉柄などを確認すれば違いがわかるでしょう。その他にもいくつかオケラ属は知られています。コウヤボウキとの違いもインターネットではよく検索されているようですが、葉の形も花の形も全く異なります。本記事ではオケラ属の分類について解説していきます。

スポンサーリンク

オケラ・ホソバオケラとは?

オケラ(朮) Atractylodes ovata は日本の本州、四国、九州;朝鮮、中国(東北部)、ロシア極東に分布し、乾いた明るい夏緑林やススキ草原などに生える多年草です(神奈川県植物誌調査会,2018)。根茎は生薬「白朮(びゃくじゅつ)」の1種で、健胃・整腸・止汗・利尿などに効果がある薬草として知られます。また若芽は山菜として食用されます。

ホソバオケラ(細葉朮) Atractylodes lancea は朝鮮、中国(東部)、ロシアに分布し、草原、森林、藪、岩の隙間に生える多年草です(Wu et al., 2011)。根茎は生薬「蒼朮(そうじゅつ)」の1種で、発汗・鎮静・抗けいれん・抗真菌・血糖降下・利尿・健胃整腸などの効果がある薬草として知られ、日本では江戸時代の享保年間に渡来し、一部野生化しています(西原,2023)。特に佐渡島で多く栽培されたことがあることから別名サドオケラ(佐渡蒼朮)と呼ばれます。現在の日本では生薬使用量上位5位に含まれますが、中国からの輸入に100%依存しています(松野,2022)。

いずれもキク科オケラ属の多年草で、薬草としても有名で、根茎を乾燥させた生薬は「朮」と総称されます。

形態的には葉は鋸歯が目立ち、花はキク科らしく頭状花序(頭花)となり、筒状花のみから構成されます。冠毛は羽毛状で総苞は魚骨状の苞葉にかこまれるというのは、オケラ属の大きな特徴です。

またオケラ属の中でもこの2種は上部の葉は幅広の単葉で葉柄がなく、下部の葉は奇数羽状複葉で葉柄があるという共通点があります。

そのため、この2種の区別がつかない人がいるかもしれません。

オケラとホソバオケラの違いは?

しかし、オケラとホソバオケラには明確な違いがあります。

そもそも、オケラは自生しますが、ホソバオケラは普通栽培されているもののみで、佐渡島のようにかつて栽培されていた一部の地域のみで野生化が見られるという点は抑えておきましょう。

形態的にはオケラでは葉が幅広で、鋸歯が密で短いのに対して、ホソバオケラでは葉が細長く、鋸歯がまばらで長いという違いがあります。これは和名の通りです。

鋸歯というのは葉についたトゲトゲのことです。

また、オケラでは中部および下部の茎葉の葉柄は長さ5~8cmですが、ホソバオケラでは0.5〜8cmという違いもあります。そのため、ホソバオケラではほとんど葉柄がないように見える葉が見られるでしょう。

なお、用途の違いとしては胃腸機能の改善には白朮が、また体表部に停滞している水分を除く作用は蒼朮がすぐれているとされています。

オケラの葉上面
オケラの葉下面
オケラの花
オケラの果実
ホソバオケラの葉上面
ホソバオケラの葉下面
ホソバオケラの花
ホソバオケラの果実

他の「朮」の種類は?

シナオケラ Atractylodes lancea var. chinensis はホソバオケラの変種ですが、中国の文献では区別されていません。根茎は蒼朮の1種です。

オオバナオケラ Atractylodes macrocephala はホソバオケラに似ますが、花冠が紫がかった赤色で約1.7cmです(ホソバオケラは花冠は白または黄色で1.3cmまで)。根茎は白朮の1種です。

チョウセンオケラ Atractylodes koreana は他種の違って葉柄が上部~下部まで全てありません。根茎は朝鮮蒼朮と呼ばれますが、生産は限られた地域で、産出量は極めて少ないです。

オケラとコウヤボウキの違いは?

インターネットではオケラとコウヤボウキの違いもよく検索されているようです。花期が秋で、頭花が少し似ているからかもしれません。

しかし、コウヤボウキ(高野箒) Pertya scandens は葉が全て単葉で複葉になることはなく、葉脈は三行脈(葉の基部から掌状に3本の主脈が走る葉脈)となっています。

花冠もコウヤボウキでは先端がカールしていますが、オケラはそうなっていません。

明らかに異なった2種と言えるでしょう。

コウヤボウキの葉
コウヤボウキの頭花

引用文献

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

松野倫代. 2022. 高知県におけるホソバオケラの栽培研究. やまとぐさ 4: 43-53. ISSN: 2189-2423, https://www.makino.or.jp/img_data/PAGE_science-report_23.pdf

西原正和. 2023. 昭和期以降の佐渡におけるホソバオケラの状況. 薬史学雑誌 58(1): 10-17. https://doi.org/10.34531/jjhp.58.1_10

Wu, Z. Y., Raven, P. H., & Hong, D. Y. 2011. Flora of China Volume 20-21 (Asteraceae). Science Press, Beijing & Missouri Botanical Garden Press, St. Louis. ISBN: 9781935641070

タイトルとURLをコピーしました