マメアサガオとホシアサガオはいずれもヒルガオ科サツマイモ属に含まれ日本では野生化した外来種で、小さな花冠と上から見ると星形という点で共通しています。町中でも見かけますが混同されることがあるかもしれません。しかし、花の色という分かりやすい違いに加えて、花序柄の出方も区別に使えます。それでも区別が難しい場合は細かい部分を確認する必要があります。本記事では小型で赤色の花以外のサツマイモ属の分類・形態について解説していきます。
マメアサガオ・ホシアサガオとは?
マメアサガオ(豆朝顔) Ipomoea lacunosa は別名ヒラミホシアサガオ。アメリカ合衆国東部原産で、世界中で帰化する一年草です。日本では第二次世界大戦後の輸入穀類に混ざって渡来したと言われ、関東地方以南の道ばたなどに生えます。
ホシアサガオ(星朝顔) Ipomoea triloba は中央アメリカ・南アメリカ北部原産で、世界中で帰化する一年草です。日本では第二次世界大戦後に渡来したとされ、関東地方以南の道端などに生えます。
いずれもヒルガオ科サツマイモ属に含まれ日本では外来種で野生化しサツマイモ属の中でも道端でよく見かける一年草です。花柱が1個、柱頭が分枝せず球状というサツマイモ属共通の特徴に加えて、2種では葉が有毛で浅く3~5 裂する程度、漏斗形の合弁花の花冠は直径2cm以下で上から見ると星形という共通点もあります。
そのため区別がつかない場合があるかもしれません。
マメアサガオとホシアサガオの違いは?
2種の区別は典型的なものでは比較的簡単です。
マメアサガオでは花が白色で、花序柄は基部からでる葉柄よりずっと短く1花序あたりふつう1~3個程度しか花をつけないのに対して、ホシアサガオでは花の外側が淡紅色で中心が紅紫色で、花序柄は基部から出る葉柄より長く1花序あたり3~10個を咲かせるという違いがあります。
「花序柄」というと分かりにくいですが、花序(花の集まり)をまとめる細い部分のことを指しており、ホシアサガオではこれが長く上に突き出してかつ花の数が多いという程度の理解で大丈夫です。
この2点で殆どの場合区別できると思っていますが、植物図鑑では「花色や1花枝の花数については判断しがたいものもあり、識別には注意を要する。」という指摘もあります。
そのような場合は、マメアサガオでは花柄にはいぼ状突起が密生し、種子は肥厚するのに対して、ホシアサガオでは花柄のいぼ状突起は散生し、種子は肥厚せず三角形であるという点で区別します。
普通はここまで確認する必要はないのではないかと思います。



他に似た種類はある?
サツマイモ属には多数の種類が含まれていますが、葉が有毛で、花が小型で白色または紫色というのは日本では他に知られていません。「アサガオ」とつきアサガオと同じ属ではありますが品種などではなく全くの別種です。
別のサツマイモ属については別記事を御覧ください。
引用文献
神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726