クズウコン科 Marantaceae は常緑性の多年草で形態はカンナ科やショウガ科に類似します。地下茎から地上に短い茎を出し基部に葉をつけます。花は総状花序。葉は中心脈から両側に葉脈を分岐し、幅広い。オーストラリアを除く世界の熱帯・亜熱帯に30属400種ほどを産します。日本には本来自生しないが、亜熱帯地域に野生化したものがあります。経済的にはそれほど重要でないですが、クズウコンが澱粉の材料として熱帯各地で栽培され、また観葉植物として栽培されるものもあります。
本記事ではクズウコン科の植物を図鑑風に一挙紹介します。
写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。
No.0644.a ミズカンナ Thalia dealbata
多年草(Flora of North America)。全体に粉をかぶり白色を帯びます。葉は根生し、長さ17~55cm、幅7~22cmの卵形、全縁、硬い紙質、基部は円形、先は尖り、長い柄があります。花期は7~10月(日本)。長さ50~190cmの茎の先に長さ7~18cmの集散花序を出し、紫色の花を10~30個ほどつけます。花軸の節間は2~3mm。苞は長さ0.8~1.5cm、赤褐色~赤紫色、著しく粉をかぶり白色に見えます。萼片は長さ1.5~2.5cm。カンナの花とやや似ており、暗紫色の花弁のように見えるのは仮雄蕊が変形したものです。果実は長さ8~12mmのほぼ球形~広倒卵形。種子は長さ7~9mmのほぼ球形~惰円形、暗褐色~黒色。北アメリカのみで見られ、熱帯地方では見られないという不思議な分布を示す科の中では唯一の種です。近縁種の Thalia multiflora は南米に分布するためこれらの個体群から進化した可能性があります。そのためか自殖性があります。湿地、小川、道端の溝、および池の海岸平野に生息します。