ニチニチソウ・ツルニチニチソウ(ビンカ)・ヒメツルニチニチソウの違いは?似た種類の見分け方を解説

植物
Vinca major

ニチニチソウ・ツルニチニチソウ・ヒメツルニチニチソウはいずれもキョウチクトウ科で日本では観賞用に栽培され、町中でも頻繁に見かける草本です。プロペラ状に5裂する先端をもつ合弁花を咲かせることが面白く人気の仲間ですが、名前が似ており、特にツルニチニチソウとヒメツルニチニチソウの花は殆どそっくりで区別がつかないかもしれません。ニチニチソウとツルニチニチソウ・ヒメツルニチニチソウの違いは大きく茎の状態や花の色で簡単に区別できます。しかし、ツルニチニチソウとヒメツルニチニチソウはかなりそっくりです。「ビンカ」と総称されることも多く、花は殆ど同じと言っていいでしょう。大きさにも違いがないこともないですが、それよりも葉の形や萼の毛を確認することが最も正確な区別方法となるでしょう。観察するときは花だけでなくこれらも必ず記録しておきましょう。本記事ではニチニチソウ・ツルニチニチソウ・ヒメツルニチニチソウの分類について解説していきます。

スポンサーリンク

ニチニチソウ・ツルニチニチソウ・ヒメツルニチニチソウとは?

ニチニチソウ(日々草) Catharanthus roseus はアフリカのマダガスカル原産で、世界中で栽培されたものが熱帯各地に野生化している一年草です(RBG Kew, 2023)。日本でも観賞用に栽培されます。

ツルニチニチソウ(蔓日々草) Vinca major は別名ビンカ・マジョール。ヨーロッパ南部(フランス・イタリア・アルバニア・ブルガリア)・中東(トルコ・レバノン・シリア)、コーカサス原産で、世界中で栽培されたものが野生化している多年草です。日本でも観賞用に栽培されます。

ヒメツルニチニチソウ(姫蔓日々草) Vinca minor は別名ビンカ・ミノール。ヨーロッパ、コーカサス原産で、世界中で栽培されたものが野生化している多年草です。日本でも観賞用に栽培されます。

いずれもキョウチクトウ科で日本では観賞用に栽培され、町中でも頻繁に見かける草本です。最も特徴的なのはキョウチクトウ科共通のプロペラ状に5裂する先端をもつ合弁花を咲かせることで、栽培のしやすさに加えて、このような面白い花を咲かせる点も人気の理由でしょう。

しかし、これら3種は名前が似ており、特にツルニチニチソウとヒメツルニチニチソウの花は殆どそっくりで区別がつかないかもしれません。園芸では学名である「ビンカ」と総称されることも多いです。そのため、「ヒメツルニチニチソウ」という植物の存在自体認識されていないことも多いようです。

ニチニチソウ・ツルニチニチソウ・ヒメツルニチニチソウの違いは?

ニチニチソウはキョウチクトウ科の中でもニチニチソウ属であるのに対して、ツルニチニチソウとヒメツルニチニチソウはツルニチニチソウ属です(Wu & Raven, 1995)。

そのため、ニチニチソウとツルニチニチソウ・ヒメツルニチニチソウの違いはかなりはっきりしています。

具体的には、ニチニチソウでは匍匐茎が無いのに対して、ツルニチニチソウとヒメツルニチニチソウでは匍匐茎があります。

匍匐茎とは植物の地際から出て地面に水平に伸びる茎のことで、これは「つる」という和名の通りの特徴を持っています。地面に這っている茎を見かけたらツルニチニチソウかヒメツルニチニチソウのどちらかです。

また、花の色に関しても、ニチニチソウでは花冠がピンクまたは白色であるのに対して、ツルニチニチソウとヒメツルニチニチソウでは紫色であるという違いがあります。ほぼ例外はないと思います。

ツルニチニチソウとヒメツルニチニチソウの区別は難しいですが、主に葉の形や萼の毛に決定的な違いを発見することができます。

葉に関しては、ツルニチニチソウでは基部が切形~ハート形であるのに対して、ヒメツルニチニチソウでは基部が楔形という違いがあります。つまりヒメツルニチニチソウの方が一般的な葉の形をしていると言えるでしょう。

萼に関しては、ツルニチニチソウでは微毛が生え、先端が糸状になるのに対して、ヒメツルニチニチソウでは無毛で、先端が鈍いという違いがあります。蕾の時が一番分かりやすいでしょう。

その他、ツルニチニチソウでは花柄が3~5cmであるのに対して、ヒメツルニチニチソウでは1~1.5cmで、ややツルニチニチソウの方が花冠も多いという違いもありますが、変異もあるので参考程度で良いでしょう。

ニチニチソウ(赤色花型)の全形:つる状にはなっていない
ニチニチソウ(白色花型)の全形
ツルニチニチソウの全形
ツルニチニチソウの葉上面:基部は切形~ハート形、先端は尖るものから丸いものまである
ツルニチニチソウの茎
ツルニチニチソウの葉下面
ツルニチニチソウの萼:微妙が毛が生え先端は糸状になる
ツルニチニチソウの花
ヒメツルニチニチソウの葉:基部は楔形|By William Coville – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=115158617
ヒメツルニチニチソウの萼:毛はなく、先端は鈍い|By Krzysztof Ziarnek, Kenraiz – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=104027590
ヒメツルニチニチソウの花|By Cbaile19 – Own work, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=88805390

ツルニチニチソウの品種は?

ツルニチニチソウには品種が知られています。フイリツルニチニチソウ ‘Variegata’ はほぼツルニチニチソウと変わりませんが、葉縁に斑が入っており、白くなっているものです。

フイリツルニチニチソウの花

引用文献

RBG Kew. 2023. The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants. Plants of the World Online. http://www.ipni.org and https://powo.science.kew.org/

Wu, Z. Y., & Raven, P. H. 1995. Flora of China. Vol. 16 (Gentianaceae through Boraginaceae). Science Press, Beijing, and Missouri Botanical Garden Press, St. Louis. 479pp. ISBN: 9780915279333

タイトルとURLをコピーしました