コウヤボウキ・ナガバノコウヤボウキ・カシワバハグマはいずれもキク科コウヤボウキ属に含まれ、頭花の中心の筒状花が2唇形の花冠をもつことが、膨大なキク科の中でも判別できる大きな特徴となっており、林内では普通に見られます。しかし3種の頭花は似ており区別がつかない人がいるかもしれません。3種は主に生活型と葉の形で区別することができます。葉の付き方は枝の成熟具合によって異なるのでこの点は識別の際には注意が必要です。本記事ではコウヤボウキ属の分類・形態について解説していきます。
コウヤボウキ・ナガバノコウヤボウキとは?
コウヤボウキ(高野箒) Pertya scandens は日本の本州(関東地方以西)・四国・九州;中国に分布し、シイ・カシ帯とブナ帯下部の乾いた林と林縁に生える落葉低木です。
ナガバノコウヤボウキ(長葉の高野箒) Pertya glabrescens は日本の本州・四国・九州に分布し、コウヤボウキより高いところの乾いた林と林縁に生える落葉低木です。
カシワバハグマ(柏葉白熊) Pertya robusta は日本の本州・四国・九州に分布し、シイ・カシ帯~ブナ帯下部の乾いたモミ林やクヌギ-コナラ林などに生える多年草です。
いずれもキク科コウヤボウキ属に含まれ、頭花の中心の筒状花が2唇形の花冠をもつことが、膨大なキク科の中でも判別できる大きな特徴となっており、林内では普通に見られます。
しかし、3種の頭花は似ており区別がつかない人がいるかもしれません。
コウヤボウキ・ナガバノコウヤボウキ・カシワバハグマの違いは?
3種は主に生活型と葉の形で区別することができます。
まず、コウヤボウキ・ナガバノコウヤボウキとカシワバハグマで大別することができます。
コウヤボウキ・ナガバノコウヤボウキでは一見草本にも見えますが茎は木化し硬めの枝になっており、葉は小型で鋸歯も小さいのに対して、カシワバハグマでは完全な草本で、葉は大型で荒い鋸歯が目立つという違いがあります。
この違いは明らかで、迷うことは少ないでしょう。
コウヤボウキとナガバノコウヤボウキに関しては少し複雑です。前提としてコウヤボウキとナガバノコウヤボウキでは花枝(成熟して花がつく枝)の葉と当年枝(その年に新しく成長中の枝)の葉では葉形や葉序が異なるということを抑えておく必要があります。
コウヤボウキでは花枝の葉は互生し有毛で葉は短く、当年枝の葉は5対以上の突起状鋸歯があるのに対して、ナガバノコウヤボウキでは花枝の葉は輪生状で無毛で葉は長く、当年枝の葉は2対の突起状鋸歯があるという違いがあります。
これは和名の由来となっており、葉が長めでかつ輪生状の葉を見かけたらナガバノコウヤボウキだと考えてよいでしょう。
しかし、コウヤボウキであっても当年枝の葉では比較的長めの葉も存在することは注意が必要です。








他に似た種類はいる?
コウヤボウキ属は種類が少なく、他に混同されるものはありません。
しかし、カコマハグマ Pertya x hybrida は別名オオバコウヤボウキの、コウヤボウキとカシワバハグマの雑種が存在し、コウヤボウキとカシワバハグマが混成する地域で稀に見られるもので、はカシワバハグマに似ているが,葉が分散してつき,頭花は茎の先に集まることから区別されます。
他にはオケラと混同されることもあるようですが、全く異なります。詳しくは別記事をご覧ください。

引用文献
神奈川県植物誌調査会. (2018). 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会. ISBN: 9784991053726, https://flora-kanagawa2.sakura.ne.jp/efloraofkanagawa.html
