アレチノギク・オオアレチノギク・ヒメムカシヨモギ・ケナシヒメムカシヨモギの違いは?花と果実の構造は?

キク科
Erigeron bonariensis

アレチノギク・オオアレチノギク・ヒメムカシヨモギ・ケナシヒメムカシヨモギはいずれもキク科アズマギク属に含まれ、アメリカ大陸から世界に広がる1〜越年草です。日本でも乾燥した畑~都市部で頻繁に見られます。慣れないうちは区別が難しいかもしれませんが、茎の高さや毛の状態、総苞の大きさを確認することで確実に区別することができるでしょう。キク科らしい頭花をつけますが、舌状花の花冠部分が退化しています。果実は痩果で冠毛があります。本記事ではアレチノギク・オオアレチノギク・ヒメムカシヨモギ・ケナシヒメムカシヨモギの分類・形態について解説していきます。

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アレチノギク・オオアレチノギク・ヒメムカシヨモギ・ケナシヒメムカシヨモギとは?

アレチノギク(荒地野菊) Erigeron bonariensis は南アメリカ原産で世界に広がる1〜越年草です(林ら,2013;神奈川県植物誌調査会,2018)。日本では明治の中期頃に渡来し、オオアレチノギクより都市的環境に見られ、乾いた礫などの多い地温が高くなるところを生えます。田園的環境には生えません。

オオアレチノギク(大荒地野菊) Erigeron sumatrensis は南アメリカ原産で世界に広がる1~越年草です。日本では大正時代に渡来し、畑、都市空閑地などに生えます。

ヒメムカシヨモギ(姫昔蓬) Erigeron canadensis は北アメリカ原産で、日本では各地の道ばたや荒れ地に生える1〜越年草です。

ケナシヒメムカシヨモギ(毛無し姫昔蓬) Erigeron pusillus は北アメリカ原産で、日本では1926年に和歌山県新宮市で見いだされ、西日本に多く、ヒメムカシヨモギより温度の高い乾いた環境に見られる1~越年草です(清水ら,2001;神奈川県植物誌調査会,2018)。

いずれもキク科アズマギク属に含まれ、アメリカ大陸から世界に広がる1〜越年草です。日本でも乾燥した畑~都市部で頻繁に見られる仲間です。

アズマギク属の中でも舌状花は小さく、総苞片よりわずかに長い程度である点、頭花は径3mmである点など類似点が多く、見た目も地味であるためその区別はなれないうちは難しいでしょう。

アレチノギク・オオアレチノギク・ヒメムカシヨモギ・ケナシヒメムカシヨモギの違いは?

アレチノギク・オオアレチノギク・ヒメムカシヨモギ・ケナシヒメムカシヨモギの違いを知るためには細かい部分を確認していく必要があります(吉岡・日下部,2018;神奈川県植物誌調査会,2018)。

まず、名前から予想されるように2つのグループに大別されます。

アレチノギクとオオアレチノギクでは茎には細かい毛と粗い毛が密生し、総苞の長さは4~5mmと大型であるのに対して、ヒメムカシヨモギとケナシヒメムカシヨモギでは茎には粗い毛のみが生えるか無毛で、総苞は長さ3.5~4mmと小型であるという違いがあります。

毛の様子は中々分かりにくいと思いますが、ヒメムカシヨモギとケナシヒメムカシヨモギの方が明らかに総苞(花序を保護するキク科に特有の苞葉のこと、ようするに花の下で葉のようなものが重なっている部分)が小さいです。

アレチノギクとオオアレチノギクに関しては、アレチノギクでは主茎の高さが30~50cmと低めで、総苞は樽形であるのに対して、オオアレチノギクでは主茎の高さが100~180cmでヒトの高さほどあり、総苞は卵形~短い筒形であるという違いがあります。

ヒメムカシヨモギとケナシヒメムカシヨモギに関しては、ヒメムカシヨモギでは茎と総苞片は有毛で、総苞片の上端に紫色はなく、花序の枝は下の方から花がつき、葉には2~4対程度の鋸歯があるのに対して、ケナシヒメムカシヨモギでは茎と総苞片が無毛で、総苞片の上端に紫点があり、花序の枝は先にだけ花がつき、葉にはほとんど鋸歯がないという違いがあります。

これらを確認すれば確実に区別がつくでしょう。

アレチノギクの葉と頭花:総苞は樽形
オオアレチノギクの葉:茎はヒトの背丈ほどある
オオアレチノギクの花と果実:総苞は卵形~短い筒形
ヒメムカシヨモギの頭花:総苞小型、茎と総苞に毛あり、総苞に紫点なし
ケナシヒメムカシヨモギの頭花:総苞小型、茎と総苞に毛なし、総苞に紫点あり

花の構造は?

アズマギク属は多くのキク科と同様に「頭花(頭状花序)」をつけます。頭花とはキク科に多く見られ、他の植物における花が集合している花序(=花の並び)のことです。その証拠にそれぞれの花に雄しべと雌しべの構造があり、特別に「小花」と呼ばれることもあります。普通の人は頭花のことを「花」と呼びますが、本来は異なります。

キク科の小花には花冠の先端が片方に大きく伸びて広がる「舌状花」と花冠が筒状になっている「筒状花(管状花)」の2種類があり、キク科の種類によって異なる組み合わさり方をしていますが、これら4種では全て舌状花です。しかし、花冠は非常に小さくなってしまっています。これは同じアズマギク属のヒメジョオンやハルジオンとは対照的でしょう。

アレチノギクは花期は4〜6月。頭花は総状につき、球形で総苞は長さ5mm。舌状花は多数あるがごく小さく目立ちません。

オオアレチノギクは花期は7〜10月。茎の上部に小さな頭花を円錐状に多数つけます。頭花は長さ約5mm。舌状花は舌状部が小さく、総苞に隠れてほとんど目立ちません。総苞は卵形または短い筒形です。

ヒメムカシヨモギは花期は8〜10月。茎の上部に小さな頭花を円錐状に多数つけます。頭花は直径約3mm。筒状花のまわりに白い舌状花が多数並びます。舌状部は小さいものの、はっきり見えます。総苞は筒形。総苞片は淡緑色の線形で、3〜5列に並びます。

ケナシヒメムカシヨモギは花期が夏〜秋。花序のつく枝はまばらでその下部には頭状花をつけません。頭状花の総苞片は無毛で上部に暗紫色の斑点があります。

果実の構造は?

果実はアズマギク属共通で多くのキク科のように痩果です。痩果は果皮が堅い膜質で、熟すと乾燥し、一室に1個の種子を持ちます。この痩果を「種」と呼ぶことがありますが、厳密にはこれは果実です。この痩果の内部に「種」、すなわち「種子」があります。

アレチノギクの痩果は長さ約1.5mm。冠毛は1列で帯紅褐色です。

オオアレチノギクは痩果は長さ約1.5mm。冠毛は長さ4mmです。

ヒメムカシヨモギは痩果は長さ約1mm。冠毛は淡褐色で長さ約2.5mmです。

引用文献

林弥栄・門田裕一・平野隆久. 2013. 山溪ハンディ図鑑 1 野に咲く花 増補改訂新版. 山と渓谷社, 東京. 664pp. ISBN: 9784635070195

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七. 2001. 日本帰化植物写真図鑑 plant invader 600種 改訂. 全国農村教育協会, 東京. 553pp. ISBN: 9784881370858

吉岡俊人・日下部智香. 2018. ヒメムカシヨモギとオオアレチノギク―放浪種としての生存戦略―. 草と緑 10: 44-53. ISSN: 2185-8977, https://doi.org/10.24463/iuws.10.0_44

キク科植物
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