アキチョウジ・セキヤノアキチョウジ・ヤマハッカはシソ科ヤマハッカ属に含まれ、林内で見かけ、シソ科の中でも花冠がかなり長めで目立つ花をつける多年草です。識別に迷うことがあるかもしれませんが、花冠と葉に注目すれば概ね識別できます。ヤマハッカかどうかの識別は日本にヤマハッカ属8種もいるので慎重になる必要がありますが、花冠が著しく長いのはアキチョウジとセキヤノアキチョウジだけです。本記事ではヤマハッカ属の分類・形態について解説していきます。
アキチョウジ・セキヤノアキチョウジ・ヤマハッカとは?
アキチョウジ(秋丁字) Isodon longitubus は日本の岐阜県以西〜九州の山の木陰に生える多年草です(北村ら,1957)。
セキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字) Isodon effusus は日本の本州中部の太平洋側(栃木県~愛知県)に分布し、シイ・カシ帯~ブナ帯までの丘陵~山地の樹林内や林縁に生える多年草です(神奈川県植物誌調査会,2018)。和名は関所の見張りの番人がいる小屋である「関屋」のことで、神奈川県の箱根関(江戸時代にあった関所の1つ)の標本を元に記載されたことが由来です。
ヤマハッカ(山薄荷) Isodon inflexus は日本の北海道・本州・四国・九州;朝鮮半島・中国(中部~東北部)に分布し、シイ・カシ帯~ブナ帯までの沖積地~山地の草地・樹林内・林縁などに生える多年草です。
いずれもシソ科ヤマハッカ属に含まれ、林内で見かけ、シソ科の中でも花冠がかなり長めで目立つ花をつける多年草です。
具体的には、花冠上唇は強く反り返り、4浅裂し、下唇はボート形で分裂せず、雄しべは下唇に沿って伸びるという特徴があります。
しかし、3種の区別に迷う場合があるかもしれません。
アキチョウジ・セキヤノアキチョウジ・ヤマハッカの違いは?
ヤマハッカ属は日本国内だけで8種類も知られているので、ここで全ての判別方法をあげることはできませんが、3種に限った区別方法を考えていきます。
アキチョウジ・セキヤノアキチョウジとヤマハッカの違いは?
まず最大の違いは花冠で、アキチョウジとセキヤノアキチョウジでは花冠は長さ16~20mmで筒部が著しく長いのに対して、ヤマハッカでは花冠は長さ6~7mmで筒部が短いという違いが挙げられます。
花冠が著しく長いのはヤマハッカ属の中でもアキチョウジとセキヤノアキチョウジだけです。
また、アキチョウジとセキヤノアキチョウジでは花冠上唇に濃紫色の小点はないですが、ヤマハッカでは花冠上唇に濃紫色があるという違いがあります。
他にも、アキチョウジとセキヤノアキチョウジでは萼は2唇形で上唇は3裂して2裂する下唇よりも短いのに対して、ヤマハッカでは、萼はほぼ等しく5裂するという違いもありますが、この点を確認するのは大変かもしれません。
葉に関しては、アキチョウジとセキヤノアキチョウジでは葉先が尾状に伸びるのに対して、ヤマハッカでは伸びないという違いがあります。


アキチョウジとセキヤノアキチョウジの違いは?
アキチョウジとセキヤノアキチョウジは非常によく似ているので識別は難しいです。
ただ、大前提として、アキチョウジは日本の岐阜県以西〜九州に分布するのに対して、ヤマハッカは本州中部の太平洋側(栃木県~愛知県)に分布するという違いがあります。
そのため、地域で識別するのが一番簡単ではあります。
形態的な違いとしては、アキチョウジでは花柄が長さが10mm以下と短く、萼の先が鈍いのに対して、セキヤノアキチョウジでは花柄が長さ10~25mmと長く、萼の先が尖るという点が挙げられます。
葉での区別はおそらくできないと思われます。





引用文献
神奈川県植物誌調査会. (2018). 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会. ISBN: 9784991053726, https://flora-kanagawa2.sakura.ne.jp/efloraofkanagawa.html
北村四郎・村田源・堀勝. (1957). 原色日本植物図鑑 草本編 1 (改訂版). 保育社. ISBN: 9784586300150

