ペチュニア(ツクバネアサガオ)とカリブラコアはいずれもナス科に含まれ、元々カリブラコア属はツクバネアサガオ属に含まれていましたが、現在では別属として扱われています。2種は非常に近縁で分類学の識別は難しすぎますが、園芸品種に限れば葉の大きさや粘りなどで区別できそうです。しかし雑種も存在するので、100%区別できるかというと難しいかもしれません。本記事ではツクバネアサガオ属とカリブラコア属の分類・形態について解説していきます。
ペチュニア・カリブラコアとは?
ツクバネアサガオ(衝羽根朝顔) Petunia x atkinsiana は通称ペチュニア。古くから Petunia x hybrida という学名が使用され、日本の書籍およびウェブサイトではほとんどこの学名ですが、海外ではシノニムとして扱われています(Soares et al., 2025)。南アメリカ原産の Petunia axillaris とPetunia integrifolia の人工交雑によって生まれた園芸雑種で、世界中で観賞用に栽培される非耐寒性多年草(日本では通常一年草)です。
カリブラコア Calibrachoa x hybrida はカリブラコア(Calibrachoa)属に含まれる複数種をかけ合わせて生まれた園芸雑種で、日本ではサントリーが1990年代に最初の園芸種であるミリオンベル(Million Bells® Series)が出されたのが最初で、現在では非常に多くの園芸種が作り出されている非耐寒性多年草(日本では通常一年草)です。カリブラコアは属(グループ)の名前なので、本来はカリブラコア属に含まれる種類の総称で、ヒメツクバネアサガオ Calibrachoa parviflora のような種類も含まれますが、一般に園芸ではカリブラコアと呼ぶと雑種群を指しています。
いずれもナス科に含まれ、元々カリブラコア属はツクバネアサガオ属に含まれていましたが、現在では別属として扱われています(Fregonezi et al., 2013)。
美しい合弁花を咲かせ、比較的栽培が簡単なことから、2種は園芸では非常に人気があり、世界中で観賞用に庭などで栽培されています。
しかし、2種は非常に近縁で、花はよく似ており、違いが分からない人は多いかもしれません。
ペチュニアとカリブラコアの違いは?
結論から言うと、園芸で栽培されているペチュニア(ツクバネアサガオ)とカリブラコアは非常に識別が難しいです。
学術的には本来、ツクバネアサガオ属とカリブラコア属は染色体の数の違いから別属であるとされてきました。ツクバネアサガオ属ではn = 7、カリブラコア属ではn = 9となっています(Reis et al., 2002)。
他にも以下のような違いが発見されています。
| 形質 | ツクバネアサガオ(ペチュニア)属 | カリブラコア属 |
|---|---|---|
| つぼみの花被の重なり | 瓦重ね状(imbricate)。 | 二つ折り状(conduplicate)。 |
| 種子表面の細胞壁 | 波状。 | 直線的。 |
| 生活型 | 一年草・草本が多い。 | 多年草・半低木状が多い。 |
| 葉の維管束を囲む内鞘(endodermis) | 内鞘は発達した大きな柔細胞で構成され、周囲の葉肉(mesophyll)とは明確に区別できる。 | 内鞘はほとんど形態的な差異がなく、周囲の葉肉と区別しにくい。 |
| 匍匐性 | なし。 | あり。 |
しかし、野外でこのような点を確認するのは難しいでしょう。
実用的には、ペチュニアでは葉が大きく、ベトベトするのに対して、カリブラコアではペチュニアと比べて葉が小さく、ベタつきはないという違いがあります(The Garden Party, 2024)。
また、ペチュニアの方が花冠が大きい傾向にあります。
しかし近年はツクバネアサガオ属とカリブラコア属の雑種も増えているので100%区別はできないと考えられます。これはペチョア属 x Petchoa と呼ばれています。
本来ペチュニアには匍匐性がなく、カリブラコアにはあるはずですが、サフィニアというペチュニアの園芸品種では匍匐性があるためこの点も識別に使用できなくなっています。






似た種類はいる?
近縁種は他にはいませんが、合弁花の仲間で混同されることがあるようです。
ニチニチソウとペチュニアの違いはよく検索されているようですが、ニチニチソウはプロペラ状の花を咲かせ、全く見た目は異なります。

引用文献
Fregonezi, J. N., Turchetto, C., Bonatto, S. L., & Freitas, L. B. (2013). Biogeographical history and diversification of Petunia and Calibrachoa (Solanaceae) in the Neotropical Pampas grassland. Botanical Journal of the Linnean Society, 171(1), 140-153. https://doi.org/10.1111/j.1095-8339.2012.01292.x
Reis, C. D., Sajo, M. D. G., & Stehmann, J. R. (2002). Leaf structure and taxonomy of Petunia and Calibrachoa (Solanaceae). Brazilian Archives of Biology and Technology, 45, 59-66. https://doi.org/10.1590/S1516-89132002000100010
Soares, L. S., Stehmann, J. R., & Freitas, L. B. (2025). The genus Petunia (Solanaceae): Evolutionary synthesis and taxonomic review. Plants, 14(10), 1478. https://doi.org/10.3390/plants14101478
The Garden Party. (2024, June 25). 簡単!比べて納得♪ペチュニアとカリブラコアの違い!. The Garden Party-ザ・ガーデンパーティー-. https://gardenparty87.jp/apps/note/flower/petunia/t20210315

