【種子植物図鑑 #072】サルトリイバラ科にはどんな種類がいる?写真一覧

種子植物図鑑
Smilax china var. china

サルトリイバラ科 Smilacaceae は別名シオデ科。多年草か半低木。多くはつる植物。ふつうは短い根茎を持ちます。葉は互生し、葉柄に巻ひげを持ちます。花序はふつう散形。花被片はふつう離生し、外花被片と内花被片は同形同質で、各3個。子房は上位。液果を持ちます。世界に4属370種以上があり北半球の熱帯~亜熱帯に多いです。日本に2属9種がいます。本記事ではサルトリイバラ科の植物を図鑑風に一挙紹介します。

基本情報は神奈川県植物誌調査会(2018)に基づいています。写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。

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No.0318 サルトリイバラ Smilax china var. china

夏緑の蔓性低木。茎は硬く、ジグザグに伸び、まばらに刺があります。葉身は卵円形。花は3~4月、葉の展開とともに、黄緑色の小花を球形状の花序に開きます。果実は球形、径8~10mm、赤く熟します。北海道、本州、四国、九州;朝鮮、中国、インドシナに分布します。海岸から山地の林縁や林内に生えます。

サイトリイバラの葉上面
サイトリイバラの葉上面
サイトリイバラの葉下面
サイトリイバラの葉下面
サルトリイバラの茎
サルトリイバラの茎

No.0318.1 トゲナシサルトリイバラ Smilax china var. yanagitai

茎にほとんど刺のないサルトリイバラの変種。別名トキワサルトリイバラ。刺がないほか、果実はやや大きく、葉身は大型で幅広く、卵円形~腎円形、直径6~12cm。葉身の両端は円いかあるいは凹み、翌年の2月ごろに落葉します。本州(関東地方以西)、四国、九州、小笠原;台湾、インドシナに分布します。

トゲナシサルトリイバラの葉上面
トゲナシサルトリイバラの葉上面
トゲナシサルトリイバラの葉下面
トゲナシサルトリイバラの葉下面
トゲナシサルトリイバラの葉序
トゲナシサルトリイバラの葉序

No.0320 ヒメカカラ Smilax biflora

つる性落葉低木。高さ20~35cm。茎はよく分枝し、ややつる状になり、刺が多いです。葉は互生し、楕円形で、長さ5~15mm。縁は波打ち、巻きひげはないか、あってもごく短いです。花は散形状に1~3個つき、黄緑色で径約3mm。花期は4~5月。花柄は短い。果実(液果)は球形で径4~5mm、赤熟する。九州(屋久島)固有種、山地林縁に生息します。

ヒメカカラの葉
ヒメカカラの葉
ヒメカカラの果実
ヒメカカラの果実

No.0323 シオデ Smilax riparia

つる性草本。茎や葉は草質で柔らかい、葉身は卵状長楕円形、基部は心形、花は6~7月、淡緑色。果実は黒く熟します。北海道、本州、四国、九州;朝鮮、中国、ウスリーに分布する。県内全域に普通に見られ、林縁や林内に生えます。若い芽を食用にします。葉身の下面がざらつく1型をザラツキシオデ f. maximowiczii といい、基本種に混生します。

シオデの葉上面
シオデの葉上面
シオデの葉下面
シオデの葉下面
シオデの果実
シオデの果実

No.0324.a サツマサンキライ Smilax bracteata

つる性半低木。草丈は10m位にもなる。茎は太くて分枝し、滑らかで疎らに刺があるかない。葉は互生し、葉身は卵形~長楕円形、長さ5~10cm、幅3~13cm。先は急鋭尖頭で、厚くてややツヤがあります。花期は12~2月、花は雌雄異株で、葉腋から長さ5~8cmの花序枝を出し、散状花序に多数の花をつけ、時には分枝して2~3個の花序をつける場合もあります。花は黄橙色~帯黄色、雄花の花被片は線状長楕円形で、長さ約5mm、開花時には著しく反り返ります。雌花の花被片は卵形長楕円形で、長さ約2.5mmと小さいです。果実(液果)は楕円形で長さ5~7mm、黒熟します。九州(南部)~沖縄;台湾、インドシナ、フィリピン、ミクロネシアに分布、山地の林縁に生息します。

サツマサンキライの葉上面
サツマサンキライの葉上面
サツマサンキライの葉下面
サツマサンキライの葉下面

サルトリイバラ科の検索表

神奈川県を中心とした付近では以下の検索で区別できます。

  1. 草本、茎は冬に枯れる。茎には刺がない
    1. 茎はつる性で長く伸び、葉の下面は淡緑色で光沢がある。花は6~7月に咲き、葯は長楕円形で長さ1mm → シオデ
    2. 茎は花期には直立し、葉の下面は緑白色で光沢はない。花は5~6月に咲き、葯は線形で長さ1.5mm → タチシオデ
  2. 半低木のつる植物、茎は冬に枯れない。茎に刺があるか、またはない
    1. 茎は著しい刺をつける。葉身は硬く、薄い。果実は藍黒色に熟す → ヤマカシュウ
    2. 茎はまばらに刺があるかない。葉身は革質。果実は赤く熟す
      1. 茎はまばらに刺がある。葉身は卵形から長楕円形 → サルトリイバラ
      2. 茎はほとんど刺がない。葉身は円形~腎円形 → トゲナシサルトリイバラ

サツマサンキライはサルトリイバラに似ていますが、散状花序をつける点が異なります。

またヒメカカラは明らかに葉が他の種より小型です。

引用文献

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

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