ズイナ科 Iteaceae は常緑~半常緑(または落葉)の潅木(または亜低木・高木・つる性)(Flora of North America)。葉は互生し、単葉で、棘があり、葉柄があり、葉身の縁は切れ込みがなく、腺状で鋸歯状(または全体)です。花序は末端または腋のある総状花序(または円錐花序)。花は両性で、花被片と花序はほぼ低位置で育ちます(3/4が子房下位)。花被片は基部で子房に付着し、遠位では自由、萼片5枚、近位で結合、花弁5枚、蜜盤があります。雄しべ5本、萼の前にあり、花托縁に挿入されています。雌しべは1個で2裂し、子房はほぼ上側(下側3/4まで)で2個、中軸胎座、胚珠は倒生、二珠皮性、花柱は2本で先端が分かれているか繋がっています。柱頭は2本で末端で頭状になります。果実は莢状で、裂開したものは隔壁状。種子は20〜30個、暗褐色または黄褐色、房状または卵形、胚乳はまばらで多肉質。現在ではズイナ属 Itea と Pterostemon の2つの属があり、合計18種が知られており、北米南東部、アジア南東部、アフリカ南東部にばらばらに分布します。
本記事ではズイナ科の植物を図鑑風に一挙紹介します。
写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。
No.1353 ヒイラギズイナ Itea oldhamii
常緑小高木(佐竹,1999)。高さは6~10mにもなることがあります。若枝は淡い緑で、当初は微毛があります。葉は互生し、革質で硬くて厚く、無毛。葉柄は8~15mm、葉身は倒卵状長楕円形から楕円形、先端は尖るか、またはわずかに突き出して終わり、基部は次第に狭まります。成木では全縁、つまり滑らかな曲線を描きますが、若木では両側にはっきりと突き出し、先端が鋭く尖った鋸歯を4~6個ばかり出します。表面では中脈はわずかにくぼみ、裏面では側脈と共にはっきりと隆起しています。側脈は5~7対あり、先端の方は葉の先に向かって湾曲します。花期は3~5月。葉腋や枝先から多数の花をつけた長さ3~5cmの花茎を出し、花は総状花序をなします。花柄は3~5mm、狭い三角の苞があり、外面には微毛があります。花筒はお椀状、花弁は5枚あり、白く、長さ2.5~3mmと小さな花。蒴果は壺状で長さ6~10mm。日本の奄美大島、徳之島、沖縄島、石垣島、西表島と与那国島から知られ、台湾にも分布します。森林内に生えます。
引用文献
佐竹義輔. 1999. 日本の野生植物 木本1 新装版. 平凡社, 東京. 321pp. ISBN: 9784582535044