【種子植物図鑑 #128】ヤマモガシ科の種類は?写真一覧

種子植物図鑑
Banksia robur

ヤマモガシ科 Proteaceae はいずれも常緑で、ほとんどが木本、一部は草本。花は両性で、花被(がくと花弁の区別はない)は筒状で先が4裂し、それぞれに雄蕊が1つずつ付きます。雌蕊は1つで子房上位、堅果などの果実となります。花序は総状・穂状・頭状など。一部を除いて必須栄養素であるリンの欠乏に対して根を特殊な形状に変化させることで知られています。この根は土壌中に有機酸を分泌し植物が通常利用できない形態のリンを溶解し吸収しておりリンに乏しい環境でも生育できるようになっています。75~80属、1600種ほどからなります。現在は特に南アフリカとオーストラリアで多くの種が栄えています。日本にはただ1種、ヤマモガシ Helicia cochinchinensis が野生します。南米、南アフリカ、インド、オーストラリア、ニューカレドニア、ニュージーランドなどに分布しますが、これらはかつてのゴンドワナ大陸の一部です。またニュージーランド南島の白亜紀の石炭中から多くのヤマモガシ科の花粉が見つかっていることなどから、本科はゴンドワナ大陸で発展した(ゴンドワナ植物)と考えられています。

本記事ではヤマモガシ科の植物を図鑑風に一挙紹介します。

写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。

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No.1323.a ヒースバンクシア Banksia ericifolia

高木または低木(Spencer et al., 2002)。高さ5mほど。樹皮は平滑からコルク質。葉は互生し、混生、長さ1~2cm、幅約1mm、先端は鈍いか2本の鋸歯があり、葉縁は下に曲がり、全体が覆われます。穂状花序は長さ約22cm。花被は長さ1.5~3cm、金茶色、花期は晩秋~春。果実は長さ1.5~2cmのものが多数あります。オーストラリア(ニューサウスウェールズ州)に分布する。鳥媒でミツスイ科やメジロ科の鳥が訪花し受粉しますが、外来のセイヨウミツバチも訪れます(Paton & Turner, 1985)。オーストラリア大陸で頻発する山火事(ブッシュファイヤー)によって果実が種子を放出します(Bradstock & Myerscough, 1981)。

ヒースバンクシアの葉
ヒースバンクシアの葉
ヒースバンクシアの花
ヒースバンクシアの花

No.1323.b インテグリフォリアバンクシア Banksia integrifolia

学名通り読めばバンクシア・インテグリフォリア。低木(Spencer et al., 2002)。樹高は15m以上になり、成長が早く、長寿。樹皮は細かく裂け、葉は3~5個が渦巻き状に並び、狭卵形楕円形で、多くは全体的に、ときおり不規則な鋸歯があり、下面は白毛が生えます。花期は1~6月頃。穂状花序は主に長さ5~10cm、幅6~7cm。花弁は淡黄色で、花柱は湾曲または直立。果実は多数あり、長さ約1.5cmになります。オーストラリア(クイーンズランド州沿岸部、ビクトリア州、タスマニア州)に分布し、岬の風衝地に生えます。ミツスイ科の鳥とミナミハナフルーツコウモリ Syconycteris australis に送粉を頼っていますが、夜に蜜と葯が裂開することにより花粉を生成することからコウモリが重要だと考えられています(Woodside & Pyke, 1995)。また別の研究では飛行しないもののフクロヤマネ Cercartetus nanus も送粉者として考えられています(Evans & Bunce, 2000)。他のバンクシアと異なりブッシュファイヤーとは関係なく種子は夏の終わりに成熟すると自然に放出されますが、理由は不明であるものの、ブッシュファイヤーがないと大幅な個体群の低下が確認されており、やはり本種にとってもブッシュファイヤーが必要です(Price & Morgan, 2003)。

インテグリフォリアバンクシアの葉上面
インテグリフォリアバンクシアの葉上面
インテグリフォリアバンクシアの葉下面
インテグリフォリアバンクシアの葉下面
インテグリフォリアバンクシアの花
インテグリフォリアバンクシアの花

No.1323.c スワンプバンクシア Banksia robur

開潅木(Spencer et al., 2002)。高さ3mほど。樹皮は滑らか。葉は互生し、多くは広楕円形で長さ15~30cm、幅5~15cm、下に毛があり、葉縁は下に少し曲がり、多くの小鋸歯があります。花期は1~7月。穂状花序は円筒形で長さ10~15cm、幅6cmほど。花被は長さ約2.5cm、鮮やかな緑色から黄金色に変化します。花柱はまっすぐ。果実は長さ1~1.5cmで多数つきます。オーストラリア(クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州)に分布します。鳥媒でメジロキバネミツスイ Phylidonyris novaehollandiae、ハイガシラミツスイ Anthochaera chrysoptera、サメイロミツスイ Lichmera indistincta、カレハミツスイ Gliciphila melanops、キミミミツスイ Meliphaga lewinii、ヒメハゲミツスイ Philemon citreogularis などのミツスイが訪花し受粉します(Taylor & Hopper, 1988)。チョウ、ガ、ミツバチ、ハチ、アリ、タマムシなどの昆虫も訪れます。オーストラリア大陸で頻発する山火事(ブッシュファイヤー)によって果実が種子を放出します(Usher, 2011)。

スワンプバンクシアの葉
スワンプバンクシアの葉
スワンプバンクシアの花
スワンプバンクシアの花

引用文献

Bradstock, R. A., & Myerscough, P. J. 1981. Fire effects on seed relaease and the emergence and establishment of seedlings in Banksia ericifolia. Lf. Australian Journal of Botany 29(5): 521-531. https://doi.org/10.1071/BT9810521

Evans, K. M., & Bunce, A. 2000. A comparison of the foraging behaviour of the eastern pygmy-possum (Cercartetus nanus) and nectarivorous birds in a Banksia integrifolia woodland. Australian Mammalogy 22(1): 81-86. https://doi.org/10.1071/AM00081

Paton, D. C., & Turner, V. 1985. Pollination of Banksia ericifolia Smith: birds, mammals and insects as pollen vectors. Australian Journal of Botany 33(3): 271-286. https://doi.org/10.1071/BT9850271

Price, J. N., & Morgan, J. W. 2003. Mechanisms controlling establishment of the non-bradysporous Banksia integrifolia (Coast Banksia) in an unburnt coastal woodland. Austral Ecology 28(1): 82-92. https://doi.org/10.1046/j.1442-9993.2003.01252.x

Spencer, R., Molyneux, B., Mathews, D. 2002. Proteaceae. In: Spencer, R. Horticultural Flora of South-eastern Australia. Volume 3. Flowering plants. Dicotyledons. Part 2. The identification of garden and cultivated plants. University of New South Wales Press, Sydney. ISBN: 9780868406602, https://hortflora.rbg.vic.gov.au/taxon/ad97b024-5340-11e7-b82b-005056b0018f

Taylor, A., & Hopper, S. 1988. The Banksia Atlas (Australian Flora and Fauna Series Number 8). Australian Government Publishing Service, Canberra. 258pp. ISBN: 9780644071246

Usher, A. V. 2011. Complex and dynamic hybridization between Banksia robur and Banksia oblongifolia is revealed by genetic and morphological surveys and experimental manipulations. University of Wollongong. https://ro.uow.edu.au/theses/4031/

Woodside, D. P., & Pyke, G. H. 1995. A comparison of bats and birds as pollinators of Banksia integrifolia in northern New South Wales, Australia. Australian Mammalogy 18(1): 9-18. https://doi.org/10.1071/AM95009

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