【種子植物図鑑 #045】トチカガミ科の種類は?写真一覧

種子植物図鑑
Limnobium laevigatum

トチカガミ科 Hydrocharitaceae は1年生または多年生の淡水または海水中に生育する水生植物。形態は極めて多様です。葉の基部は葉鞘になることが多く、葉鞘内に2~10またはそれ以上の小さな鱗片をもちます。雌雄同株または異株で、花序は1~2枚の苞鞘片で包まれ、花は両性または単性。受粉に際し、雄花が親植物体から切り離されるものや、水中で受粉(水中媒)を行うものがあります。新しい分類体系ではイバラモ科 Najadaceae がトチカガミ科に含まれています。世界に18属約120種ありその内3属が海草。日本には12属があります。スブタ属やクロモなどのいくつかの在来種の絶滅が心配される一方で、オオカナダモなどの外来種は分布を拡大する傾向にあり、アマゾントチカガミが外来種として新たに加わっています。多くの外来種が観賞用植物(アクアリウムプランツ)として栽培されており今後も逸出・帰化する可能性があります。

本記事ではトチカガミ科の植物を図鑑風に一挙紹介します。

基本情報は神奈川県植物誌調査会(2018)に基づいています。写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。

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No.0225.a アマゾントチカガミ Limnobium laevigatum

別名アマゾンフロッグピット。葉は葉柄が長さ0.5~8.5cm、葉身はふつう円形で基部は心形に切れ込まない、直径2~5cm、下面に気嚢があります。雄花は雄しべ6個あり2輪生します。雌花は子房3~6心皮、柱頭3~6個。果実は長さ約9mm、直径約4mmで、多数の小さな種子を含みます。南アメリカ原産のアクアリウムプランツで、日本各地で逸出が確認されています。環境省の生態系被害防止外来種(重点対策外来種)に選定されています。

アマゾントチカガミの葉
アマゾントチカガミの葉

No.0231 クロモ Hydrilla verticillata

茎の直径0.5~1mm。葉は5~7輪生することが多く、長さ0.5~1.5cm、幅1~1.5mm。オオカナダモやコカナダモに比べて葉の鋸歯が目立ちます。2n=16(箱根町)。北海道、本州、四国、九州;旧世界に広く分布し、アメリカに帰化しています。湖沼、河川、ため池、水路などに生育します。

クロモの外観
クロモの外観

No.0232 オオカナダモ Egeria densa

常緑多年草。茎の直径2~3mm。葉は4輪生することが多く、長さ1.5~2.5cm、幅2~5mm。コカナダモやクロモに比べて植物体が大きいです(特に茎の太さ)。花は5~9月。2n=46(鎌倉市)。南アメリカ原産の帰化植物で、日本には雄株だけが帰化。本州、四国、九州;世界各地に帰化。環境省の生態系被害防止外来種(重点対策外来種)に選定されているほか、日本生態学会の「日本の侵略的外来種ワースト100」にも選定されています。

オオカナダモの外観
オオカナダモの外観

No.0240 イトトリゲモ Najas gracillima

葉は5輪生状になり、長さ1~2cm、小さな鋸歯があります。葉鞘の先は切形。果実は節に2個つくことが多く、長楕円形で長さ2~2.5mm、種子表面の模様は縦長。2n=12(座間市)。北海道、本州、四国、九州、琉球;東アジア、イタリア(帰化)に分布します。『国RDB15』では準絶滅危惧とされています。北アメリカに分布する N. gracillima と同種とする見解があり(平凡新野生1)、この場合、N. japonicaN. gracillima の異名になります。

イトトリゲモの外観
イトトリゲモの外観
地上に取り上げたイトトリゲモ
地上に取り上げたイトトリゲモ
イトトリゲモの葉
イトトリゲモの葉
イトトリゲモの種子
イトトリゲモの種子

引用文献

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

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