【種子植物図鑑 #043】オモダカ科の種類は?写真一覧

種子植物図鑑
Sagittaria trifolia cv. Caerulea

オモダカ科 Alismataceae は沈水性または湿地性の草本。葉はすべて根生し、葉脈は平行脈のほかに網状脈があります。花は両性または単性。花序は総状または円錐状で、各節に3個ずつ、花または枝を輪生します。萼片、花弁は3個で白色、萼は宿存します。雄しべは3~多数。雌しべは多数。果実は痩果。世界に広く分布し、15属約90種があります。日本には3属8種が自生し、1種が帰化しています。

本記事ではオモダカ科の植物を図鑑風に一挙紹介します。

基本情報は神奈川県植物誌調査会(2018)に基づいています。写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。

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No.0218 クワイ Sagittaria trifolia ‘Caerulea’

オモダカは沈水葉は線形。水面上に出る葉は長い柄があり、葉身は3角状矢じり形。アギナシの葉とよく似ていますが、側裂片の先は鋭く尖って終わります。花は8~10月。秋に匐枝を出し、その先に塊茎をつけ越冬します。北海道、本州、四国、九州、琉球;アジアの温帯~熱帯に広く分布。池の縁や水田に普通に生えます。葉が細い型がホソバオモダカ f. longiloba でありますが、変異は連続しています。走出枝の先の塊茎が直径3~5cmになるものをクワイ ‘Caelulea’ といい、稀に栽培され、ときにそれが放置されています。原産地は中国で、渡来時期は不明で奈良時代には渡来。日本では特に「芽(目)が出る」につながる縁起の良い食物と評され、煮物にしておせち料理などで食べられます。

クワイの葉
クワイの葉

No.0223 サジオモダカ Alisma plantago-aquatica var. orientale

多年草。湿生植物、または抽水植物。葉身は変化が多く、狭披針形~楕円形で、平行脈は3~7本、基部はしだいに細くなって葉柄に続きます。花は7~9月。円錐花序は各輪に3~数本の枝を出します。花の各部分はトウゴクヘラオモダカよりも小さく、萼は長さ約1.5mm、花弁は長さ約3mmで先は波状縁、葯は黄緑色で長さ0.5mm、花糸は長さ1mm、子房は長さ0.8mm、幅1.2mm、柱頭は長さ0.5mm。痩果は背面に深い溝が1本あり、長さ約2.5mm。オモダカのような越冬用の塊茎はつくりません。北海道、本州、四国、九州、琉球;朝鮮、中国に分布。水田や湿地などの浅い水中に生えます。葯の色が褐紫色で、葉が細く3脈しかないものをホソバヘラオモダカ var. harimense として区別されています。

サジオモダカ
サジオモダカ

No.0224 マルバオモダカ Caldesia parnassifolia

浮葉性または挺水性の多年草(レッドデータブックあいち2020)。茎は短く、葉は束生し、長い葉柄があります。葉身は卵円形または腎形、直径5~10cmで、先はとがらず、基部は心形、辺縁は全縁です。花期は8~9月、花茎は水の深さによって異なりますが長さ30~100cmになり、その上部に枝を3個ずつ輪生する大きな円錐花序をつくります。花はそれぞれの枝に3~5個ずつ輪生し、両性、がく片は3個、花弁は3個で白色、卵円形で長さ約4mm、上部の辺縁には小さい歯牙状の欠刻があります。水中にある花序にはむかごができ、これが脱落して栄養繁殖と越冬のための器官となります。日本、中国大陸、インド、オーストラリア、マダガスカルなどに分布し、水の綺麗なため池や湖沼に生育します。環境省RDB絶滅危惧II類。受粉はアジアミツバチ、コハナバチ科、アシナガバチ亜科、ハナアブ科などの送粉者に頼っており、自家受粉や隣家受粉による結実率は他家受粉に比べて低下します(Robert et al., 2003)。

マルバオモダカの葉序
マルバオモダカの葉序
マルバオモダカの抽水葉
マルバオモダカの抽水葉

引用文献

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

Robert, G. W., Qing-feng, W., Yong, W., & You-hao, G. 2003. Reproductive biology and prospects for conservation of Caldesia parnassifolia (Alismataceae)—A threatened monocot in China. Wuhan University Journal of Natural Sciences A 8(1): 117-124. https://doi.org/10.1007/BF02902079

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