【種子植物図鑑 #074】ラン科にはどんな種類がいる?写真一覧

種子植物図鑑
Cattleya labiata cv. Irene Finney 'Spring Best'

ラン科 Orchidaceae は地生、着生、岩生、菌従属栄養性の多年草。茎は単軸性(単茎性)または仮軸性(複茎性)で長い茎があるか、根茎または肥大した偽球茎があります。葉は多くは偏平で、基部に筒状の鞘があり、ときに鱗片状に退化します。花は左右相称、苞があり、穂状・総状花序、稀に単生するものもあります。萼片と花弁は各3枚が基本ですが、側萼片が合着している種もあります。萼片3枚はほぼ同形。側花弁2枚は同形ですが、中央の1枚は唇弁と呼び、形、大きさ、色彩が顕著で、その基部にときに距があります。多くは雄しべと雌しべが合着してずい柱を形成し、先端の上面に葯、下面に柱頭があります。一般に柱頭の一部は変形して小嘴体をつくります。葯は通常2室、葯の中には蝋質性または粉質性の花粉の集合体である花粉塊が2~8個あり、基部は普通粘着体に着いています。果実は多くは蒴果で3裂し、種子はきわめて微細です。全世界に広く分布し、世界に約860属26,000種、日本に約86属320種が知られています。

本記事ではラン科の植物を図鑑風に一挙紹介します。

基本情報は塚本(1994)、神奈川県植物誌調査会(2018)に基づいています。写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。

スポンサーリンク

No.0373 ウチョウラン Hemipilia graminifolia var. graminifolia

夏緑性多年草。根茎は楕円状球形、少数のひげ根があります。茎は生育環境によって直立または斜上し、高さ5~20cm、葉は2~4枚つき茎を抱きます。花期は7~8月。花は茎の頂部に3~12個が普通一方を向いて咲き、通常紅紫色であるが、花色は個体変異が多いです。苞は狭披針形。背萼片は卵形、側萼片と側花弁は斜卵形。背萼片と側花弁は先が接してかぶと状になる。唇弁は萼片より長く深く3裂し、距は太く先は細まらずやや湾曲します。蒴果は円柱形。本州、四国、九州;朝鮮に分布します。山地のやや湿った岩場に生えます。

ウチョウランの葉
ウチョウランの葉

No.0374.a オキナワチドリ Hemipilia lepida

多年草。草丈10~15cm。茎は細い匐枝の先端につく楕円形の塊根から出ます。葉は根元に2~4個つき、長楕円形でやや幅広く、長さ4~8cm、幅1.5~2.5cm。花期は2~4月。花は淡紅色で、茎の先に数花つき、淡紅紫色で唇弁は長さ8~10mm、3深裂しさらに中央裂片が2つに裂けます。萼は長楕円形で長さ4~6mm、側花弁は萼片よりやや短い。距は長さ4~5mmで子房よりやや短い。日本固有種で、九州(南部)~沖縄に分布し、海岸の湿った岩上の隙間や草地に生息します。

オキナワチドリの葉
オキナワチドリの葉

No.0386 サギソウ Habenaria radiata

多年草。茎は単立して高く伸び、15~50cmに達し、先端近くに1-3輪の白い花をつけます。花期は7~8月。花の径は3cmほどで、唇弁は大きく、深く3列し、中裂片は披針形、両側の側裂片は斜扇形で側方に開出てその縁は細かく裂けます。この唇弁の開いた様子がシラサギが翼を広げた様に似ていることが和名の由来です。側花弁は白色でゆがんだ卵形。距は3~4cmの長さに垂れ下がり、先端は次第に太くなり、この末端に蜜が溜まります。花の香りはほとんどありませんが、稀に芳香を確認できる個体も混在します。2個の葯室は平行し各室に黄色い卵形の花粉塊が入ります。苞は長さが5mmほどで、卵状披針形。3枚の萼片は緑色で、背萼片が広卵形、両側の側萼片は長さ8mmほどのゆがんだ卵形。地下には太い根が少数つきます。また根によく似た太い地下茎が何本か伸び、この先端が芋状に肥大してこの部分だけが年を越します。翌年その球根から地下茎を出します。茎の下部に3~4枚の根出葉がつき、その上部に少数の鱗片葉がつきます。葉は互生し、下部のものほど大きく、長さ5~10cm、幅3~6mmの細長い線形。朝鮮半島・極東ロシア・中国東部・日本(北海道・本州・四国・九州)に分布し、やや湿った場所に生息します。

サギソウの花
サギソウの花

No.0422 コウシラン Vanilla planifolia

一般名バニラ。つる性多年草・常緑着生ラン。吸着根をもちます。蔓(茎)は樹木やその他のものに絡んで成長していきます。長いときは60mを超えます。葉腋から総状花序を伸ばし、春~初夏に、花径6cmの肉厚で黄緑色をした位置に花を数個咲かせます。花には芳香はありません。花後に成る果実は細長い円筒形の朔果です。果実は最初、緑色ですが、熟すと光沢のある紫褐色になります。鞘の中には非常に微細な黒色の種子が無数に含まれています。種子は香料の原料となりますが、収穫した種子鞘には香りはありません。ここから発酵・乾燥を繰り返すキュアリングを行う事によって初めて独特の甘い香りがするようになり、次第に甘美な香のするバニラビーンズが出来ます。この匂いは主にバニリンによるものです。バニラビーンズの成分を抽出し溶剤で溶かすと、バニラエッセンスや、バニラオイルが出来ます。これらはヒステリーや鎮静薬等の薬用、チョコレート、アイスクリーム、菓子などの香付けに利用されます。メキシコ、中央アメリカが原産。高温多湿の熱帯気候で栽培されます。カカオを原料としたショコラトルと呼ばれる飲み物に加えるため、メキシコの東沿岸に住むトトナコ族によって栽培が始められたと考えられており、15世紀にトトナコ族を征服したアステカ族がバニラを手に入れ、やがてアステカ族を征服したスペイン人の手に渡りました。征服者エルナン・コルテスがヨーロッパに持ち帰ったとする説もあります。元はチョコレートの香味料でしたが、17世紀初め英女王エリザベス1世の薬剤師ヒュー・モーガンが砂糖菓子に利用し、女王が珍重しました。現在でも生産に時間がかかるため、需要に対して供給が追いつかず、世界で2番目に高価なスパイスで、市場の99%は合成バニラです。中央アメリカの固有種のハリナシバチなどが訪花するため、この地域以外では受粉できませんでしたが、1841年インド洋に浮かぶフランス植民地レユニオン島で、12歳の奴隷の少年エドモンド・アルビウスがバニラの人工授粉の方法を編み出しました(Odoux & Grisoni, 2010)。

バニラの葉
バニラの葉

No.0433 ネジバナ Spiranthes sinensis subsp. australis

別名モジズリ。茎は高さ10~40cm。葉は広線形で2~3枚を基部に互生します。花期は5~8月。花は茎の上部に通常らせん状に多数つき淡紅色。萼片と側花弁は披針形。唇弁は白色で倒卵形、先は下方に反曲し、縁に鋸歯があります。蒴果は楕円形。北海道、本州、四国、九州、琉球、小笠原;サハリン以南のアジア、オーストラリア、タスマニア、ニュージランドに分布します。日当たりの良い草地、芝生を好んで生えます。全域の草地、芝生、道路脇に生え野生ランの中では最も普通に見られます。品種として秋に咲くアキネジバナ f. autumnus、花色の白いシロネジバナ(シロバナモジズリ)f. albescens 等が知られています。『Ylist』の学名を採用。花序がねじれることにより、訪花昆虫であるハキリバチによる隣花受粉を防ぐことができる一方で、ハチへのアピール力を失うという効果があることが分かっています。このためハキリバチ類が生息している個体数によってねじれ具合には差があります(早川・末次,2017)。

ネジバナの花
ネジバナの花

No.0433.a ナンゴクネジバナ Spiranthes sinensis subsp. sinensis

多年草。丈20~50cm。葉は2~3個つき、広線形で長さ5~20cm、幅0.3~1cm。先は鋭頭で、基部は鞘となります。花期は3~5月。花は淡紅色でネジバナに似ていますが、花序に毛が生えていません。八丈島、青ヶ島、南西諸島(奄美諸島以南)~熱帯アジア、オーストラリアに分布します。草地、芝地に生えます。『Ylist』の学名を採用。

ナンゴクネジバナの花
ナンゴクネジバナの花

No.0439.a ヤクシマシュスラン Goodyera hachijoensis var. yakushimensis

多年草。草丈10~25cm。茎は基部が長く這い、上部は立ち上がります。葉は3~4個つき、葉身は斜卵状楕円形~狭卵形、長さ4~8cm。中肋に沿って白斑が帯状に入ります。花期は10月。花は茎頂に総状花序になり、密に多数つき、淡紅色。苞は線状披針形で鋭尖頭。背萼片は卵形、側萼片は長卵状卵形、長さ約4mm。側花弁は倒披針形、萼片とほぼ同長。唇弁は広卵形、基部の胞状にふくれた部分が白色になります。葉の中肋に白班が入るなどハチジョウシュスランに似ていますが、葉が長さ4~8cm程度とやや長く、唇弁基部の膨らんだ部分が黄色でなく白色であることが異なるとされます。九州(南部、屋久島)に分布。常緑広葉樹林下に生息します。

ヤクシマシュスランの葉
ヤクシマシュスランの葉
ヤクシマシュスランの花
ヤクシマシュスランの花

No.0442 シラン Bletilla striata

夏緑性多年草。偽球茎はやや偏平で地表面に連ねます。葉は披針状長楕円形で長さ20~30cm、幅2~5cm。花茎は葉の展開とともに鞘状の中心から生じ長さ30~70cm。花期は4~5月。花は紅紫色で3~7個つけます。苞は披針状楕円形で早落性。唇弁はくさび状倒卵形、先は3裂し、側裂片は内巻きしてずい柱を囲み、中裂片は円形で縁がちじれ、内面に不規則な5隆起線があります。蒴果は紡錘形。本州(福島県以西)、四国、九州、琉球;朝鮮(南部)、中国、台湾に分布します。日当たりの良いやや湿った草地や斜面に生えます。湿った斜面林や崖地に稀に自生しますが、庭先などでごく普通に栽培されているため、逸出品が多いです。

シランの葉上面
シランの葉上面
シランの葉下面
シランの葉下面
シランの花
シランの花

No.0442.1 シロバナシラン Bletilla striata f. gebina

花色の白いシランの品種。野生でも園芸でも見られます。

シロバナシランの葉上面
シロバナシランの葉上面
シロバナシランの葉下面
シロバナシランの葉下面
シロバナシランの花
シロバナシランの花

No.0445 コクラン Liparis nervosa

地上生多年草。偽球茎は円柱形で節は2~3個あり、高さ6cm前後。葉は広楕円形で2~3枚を頂きに接近してつけます。花茎は高さ15~30cm。花期は6~7月。花は花茎に5~10個つけ暗紅紫色。苞は膜質で3角形。萼片は狭長楕円形。側花弁は倒披針状線形。唇弁はくさび状倒卵形で縁に微鋸歯があり、中央に浅い溝があります。上半分は反曲し、基部内面の両側に尖った突起があります。ずい柱はやや前方に曲がり、長さ3mm。蒴果は棍棒状紡錘形。本州(福島県以南)、四国、九州、琉球;朝鮮(済州島)、中国、台湾、東南アジアに分布します。常緑広葉樹林の林床に生えます。

コクランの葉上面
コクランの葉上面
コクランの葉下面
コクランの葉下面

No.0456 エビネ Calanthe discolor

常緑性多年草。偽球茎は卵形で地表近くをじゅず状に連なります。葉は2~3枚、楕円形で根生し無毛。花茎は高さ20~40cm、披針形の鱗片葉が1~2枚つき短毛があります。花期は4~5月。花は花茎の上半部に5~20個つけ通常暗褐色~淡紫褐色(花形、花色は分布域によって変異が多い)。苞は披針形。萼片は狭卵形で平開し、側花弁は萼片より幅が狭い。唇弁は扇形で3裂し、中裂片は先が浅く2裂します。また、中央部に3隆起線があります。距は長さ5~10mm。蒴果は倒卵形。北海道(西南部以南)、本州、四国、九州、琉球;朝鮮(南部)、中国に分布します。山野の樹林内に生え、良好な生育地では群生することが多いです。土地開発や乱獲などにより激減し少なくなっています。

エビネの葉
エビネの葉
エビネの花
エビネの花

No.0461.a カクチョウラン Phaius tankervilleae

多年草。草丈60~120cm。根元に卵状円錐形の偽球茎があります。葉は偽球茎の上に4~6個つき、葉身は長楕円状披針形~長楕円形、長さ40~80cm、幅6~15cm。先は鋭尖頭、厚い草質で、やや光沢があり、縦ジワが多い。花期は4~6月。花は茎頂に4~10個、総状花序につきます。苞は倒披針形、開花後脱落します。萼片と側花弁は平開し、長さ5cm、幅1~1.5cm、外側は白く、内側は赤褐色。唇弁は長方形状楕円形で筒状に巻き、長さ4~5cm、基部は白く上半部は暗紅紫色、先は浅く3裂し、裂片は円く、縁は波状。距は円柱状、長さ約1cm、蕊柱は長さ約2cm。日本の九州(種子島以南)~沖縄、中国南部、台湾、熱帯アジア、オセアニアに分布。常緑樹林下の林縁に生息します。

カクチョウランの葉
カクチョウランの葉

No.0462 サイハイラン Cremastra variabilis

多年草。偽球茎は地下浅くやや離れて横に連なります。葉は革質で長楕円形、基部は細まった柄となり、3本の主脈が目立つ。開花後に葉は一時枯れ秋には新葉が出て越冬します。花茎は偽球茎頂部脇より生じ、高さ30~50cm。花期は5~6月。花は8~20個を偏側的につけ、花色は変異が多く淡緑色~紅紫色。萼片と側花弁は線状披針形。唇弁は長さ3cm、鮮やかな紅紫色の斑紋がはいります。基部は膨らみ、ずい柱を囲みます。側裂片は披針形で小さく、中裂片は長楕円形で大きく反曲します。ずい柱は長さ2.5cmで先端はやや太いです。蒴果は長楕円形。北海道、本州、四国、九州、琉球;サハリン(南部)、朝鮮、中国、台湾、インドシナ、タイ、ヒマラヤに分布します。山地や丘陵の樹林内に生えます。従来、本種にあてられていた C. appendiculata は別の種とされます。『Ylist』では C. appendiculata var. variabilis

サイハイランの葉上面
サイハイランの葉上面
サイハイランの葉下面
サイハイランの葉下面

No.0465 セッコク Dendrobium moniliforme

常緑多年草。茎は叢生し、細長い円柱形、高さ5~30cm。葉は披針形で基部は葉鞘となって節間を包みます。花期は5~6月。花は前年の落葉した茎の節から花序が生じ、1~2個つき、白色~淡紅色と変異が多いです。萼片は披針形。側花弁は萼片と同形でやや短い。唇弁は卵状3角形で基部の縁は上方に外曲し、ずい柱を囲みます。また、中央から基部にかけて淡紫色の斑点と腺毛があります。腺毛は基部に行くほど長くなります。ずい柱はごく短い。蒴果は倒卵状披針形。本州(岩手県以南)、四国、九州、琉球;朝鮮(南部)、中国、台湾に分布します。日当たりの良い樹幹や岩上に群生して着生。特に目立つ場所に着生したものは園芸採取によって失われることが多く、急峻な沢筋の高所などにわずかに残っています。

セッコクの葉上面
セッコクの葉上面
セッコクの葉下面
セッコクの葉下面
セッコクの茎
セッコクの茎
セッコクの花
セッコクの花

No.0468 ヒノデラン Cattleya labiata

別名カトレア、カトレヤ。着生植物。花茎は茎頂から直立し、1~30花をつけます。花は大きく美しいです。萼片、側花弁は離生し、側花弁は萼片より幅広い。唇弁は離生し多くは3裂し、基部は筒状に巻いて蕊柱を包み、中央裂片は大きく開張します。蕊柱はほとんど棒状です。花粉塊は4個です。ブラジル北西部・アマゾン川河口大西洋岸の山脈の標高500~1000mの地帯に分布。低木や草がわずかに生えている固い花崗岩の岩場などに生息します。William Swainsonによって一度発見され、植物園に贈呈され園芸では欠かせない存在となりましたが、正確な採集地点がわからなくなり、再発見された経緯があります。一般に「カトレア」と呼ばれる園芸個体群は属間雑種を含みます。以下の個体はIrene Finney ‘Spring Best’とされる品種のようですが、元々「’」で囲む品種名の中に更に「’」を用いられており、正統な品種名なのかは筆者は知りません。

ヒノデランの花
ヒノデランの花

No.0472.a オガサワラシコウラン Bulbophyllum boninense

多年草。草丈15~20cm。着生。根茎は長く伸び、節に3~4cm間隔に偽球茎をつけます。偽球茎は長さ1.3~2cm、幅0.6~1cm。葉は偽球茎の先に1個つき、葉身は長楕円形、長さ7~12cm、幅1.8~2.7cm。革質で、光沢があります。花期は6~7月。花は基部から下垂する長さ15~20cmの花茎の先に3~5個つき、縦長で長さ約2.5cm、淡黄色で中心部に暗紅紫色の斑紋があります。背萼片は広卵形、先は短く尖って半巻し、長さ約1cm、側萼片は広卵形で鈍頭、先半分が癒合し、長さ約3cm。側花弁は縁が浅く細裂し、長さ約7mm。唇弁は5字状、基部に関節があります。唇弁と花弁は濃赤紫色。蕊柱の先に鎌状の白い付属体が1対あります。シコウランに似ていますが、根茎が伸び、硬くて太く、偽球茎が3~4cm離れてつくこと、側萼片は広卵形で鈍頭、先は癒合する、花の中心部に暗赤紫色の斑点があるほど長く伸びず、先端で癒合するなどが異なります。日本固有種で小笠原諸島に分布し、岩上や樹幹に着生します。

オガサワラシコウランの葉上面
オガサワラシコウランの葉上面
オガサワラシコウランの葉下面
オガサワラシコウランの葉下面

No.0474 シュンラン Cymbidium goeringii

別名ホクロ。常緑性の地上種。偽球茎は卵球形で小さい。葉は縁に細鋸歯があり、数枚が叢生します。花茎は直立し、高さ10~20cm、基部は膜状の鞘に包まれます。花期は3~4月。花は1個頂生し淡黄緑色。苞は披針形。萼片は倒卵形。側花弁は萼片と同形でやや短いです。唇弁は長楕円形で萼片より少し短く、肉質で浅く3裂し、白地に紫色の斑紋があります。側裂片は直立し、中裂片は楕円形で先は反曲します。ずい柱は長さ約15mm。生育地によって花形、花色に変異が多いです。蒴果は柱状楕円形。北海道(奥尻島)、本州、四国、九州、小笠原;朝鮮、中国、台湾に分布します。やや乾燥気味の樹林内に生えます。エビネと同じく人為的な絶滅に瀕し少ないです。

シュンランの外観
シュンランの外観
シュンランの花
シュンランの花

No.0476 カンポウラン Cymbidium dayanum

常緑多年草。葉は30~50cmで柔軟で草質。花は冬,株の基部から、膜質の鞘状葉を伴った長さ30cmの花序が出て、白から淡紅紫花が咲きます。花被片は長さ3cm位、内面中央に長い斑があります。和名の寒鳳蘭は寒中に咲く鳳蘭ということから。インドアッサムからマレー諸島にかけて分布します。南九州から琉球列島に本種の小形品が自生し、ヘツカランとして区別されることもあります。古くから日本に入り、少し栽培されています。

カンポウランの葉
カンポウランの葉
カンポウランの花
カンポウランの花

No.0478.a シュンラン属品種改良種 Cymbidium cv.

園芸における「シンビジウム」と呼ばれる個体群。園芸では一般に東南アジアに自生しているものを品種改良した洋ランに限定されます。原種はおそらく不明。ラン系のバルブを持ち、そこから根出状に細長い葉を伸ばします。花はバルブの基部から出る茎について、単独か総状に多数の花をつけます。花茎は立ち上がるかやや垂れ下がり、あるいは垂れて長く下向きに伸びます。

シンビジウムの花
シンビジウムの花

No.0478.b ムレスズメラン Oncidium sphacelatum

多年草。オンシジウム、オンシジュームと呼ばれるものの仲間。丈は10~70cm、着生植物で、時折、岩生植物として生育します。花期は9~10月。春には、成熟した仮根の葉鞘から、長さ180cm、横から垂直に短い枝を伸ばし、紫色の斑点がある花序を出し花を10~50輪付けます。萼と側花弁はほぼ同型で、唇弁より幅狭くて小さいです。派手で弱い香りのある花を咲かせます。花は唇弁が大きく広がり、これが花の大部分を占めます。果実は蒴果。果実は裂開せず、隙間から種子が出ます。中南米のメキシコ、グアテマラ、ベリーズ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、ベネズエラの標高1000m以下に分布します。以下個体は日本の園芸で流通する切り花であるため、別種や原種不明の品種である可能性があります。

オンシジウムの花
オンシジウムの花

No.0487.a ヒスイラン Vanda coerulea

別名バンダ。茎は長さ5~23cm、直径0.8~1.5cm(Flora of China)。葉身は長さ(7~)14~18×幅1.3~2(~3)cm、厚い革質、先は不均等に浅く2裂します。花序は1~3個つき、長さ20~42cm、まばらに花が(4~)6~14個つきます。大きな青色のモザイク模様の花を長くつけます。花序柄は長さ16~22cm。花序軸は弱くジグザグになり、長さ9~28cm。花の苞は広卵形で、長さ8~11mm×幅5~mm、先は鈍形~鋭形。花は質が薄く、大きく開き、直径は6~9cm。小花柄と子房は白色、青色を帯び、長さ45~60mm。萼片と花弁は空色で、モザイク状になります。萼片は等形、広倒卵形、基部は狭くなり短い爪部があり、先は円形。花弁は楕円状倒卵形、基部は狭くなり短い爪部があり、先は円形。唇弁は空色、萼片よりも短く、肉質、距があります。側裂片は直立し、狭いかま形、内側が白色、黄色の斑点があり、先はほぼ尖鋭形。中裂片は濃青色、舌形、基部に1対のカルス(calli)があり、先は切形で凹形、ディスク(disk:唇弁の下半部の側裂片との間の範囲)には3本の縦のうねがあります。距は短い筒状、わずかに円錐形、長さ5~7mm×幅2~3mm、先は頂点鈍形。花期は主に10~11月、インド北東部、ミャンマー、タイ北部に分布し、開けた森や川沿いの木の幹に生息します。園芸品種も多く、赤色や黄色など様々なハイブリッド種が作り出されています。

ヒスイランの葉
ヒスイランの葉
ヒスイランの花
ヒスイランの花

No.0488 コチョウラン Phalaenopsis aphrodite

樹木などに着生する単茎性ラン。着生ラン。茎はごく短く直立し、上には4枚程度の葉を密生し、下方からは多数の根を出します。根は太くて良く伸びます。葉は二列性で折り重なって生じ、楕円形から長楕円形、表面は緑。花茎は茎の側面から伸びて斜上して先端は枝垂れ、長さは50~80cm、時に分枝します。先端よりに十数個の花をつけます。花は白で径7cmほど、側花弁が幅広く、花全体が丸く見えます。唇弁は黄色を帯び、赤味のある斑紋が出ます。唇弁の先端は左右に突き出してまき鬚状になります。常緑性で、またCAM型光合成を行います。フィリピンや中国南部や台湾などの東南アジアや熱帯・亜熱帯地方に分布し、熱帯雨林などの高温多湿型で標高の高い地域の樹木に着生し風通しの良い環境に生息します。高級鉢物や切り花として大変人気があります。

コチョウランの葉
コチョウランの葉
コチョウランの花
コチョウランの花

引用文献

早川宗志・末次健司. 2017. ネジバナの形態変異と分類. 植調 51(4): 115-117. ISSN: 0289-8233, https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/kernel/90005098/90005098.pdf

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

Odoux, E., & Grisoni, M. 2010. Vanilla, Medicinal and Aromatic Plants – Industrial Profiles. CRC Press. 420pp. ISBN: 9781420083385

塚本洋太郎. 1994. 園芸植物大事典 コンパクト版. 小学館, 東京. 3710pp. ISBN: 9784093051118

error:
タイトルとURLをコピーしました