【種子植物図鑑 #103】ガマ科の種類は?写真一覧

種子植物図鑑
Typha latifolia

ガマ科 Typhaceae は池や湿地などに生える多年草。地下茎は太く横にはいます。葉は線形、直立または水面に浮かびます。花は単性で雌雄同株。花序は頂生し、円柱形または球形の花序をつけ、上部に雄花序、下部に雌花序をつけます。花被は糸状または鱗片状。雄花には1~8個の雄しべがあり、花糸は離生または合生。雌花には1個の雌しべがあります。APG体系ではミクリ科 Sparganiaceae がガマ科に統合されました。世界の熱帯~温帯に2属約35種があり、日本には2属13種があります。

本記事ではガマ科の植物を図鑑風に一挙紹介します。

基本情報は神奈川県植物誌調査会(2018)に基づいています。写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。

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No.0656 ガマ Typha latifolia

多年草。群生して大群落をつくります。茎は高さ1.5~2m。葉は長さ1~2m。花は6~8月。雄花穂は雌花穂より短く長さ7~12cm、花期には黄色の花粉が目だち、花後は軸のみが残ります。花粉は4個がつながっています。雌花穂は花時には幅6mm前後、熟すと幅23mm以上に達します。北海道、本州、四国、九州、琉球;北半球の温帯~熱帯、オーストラリアに広く分布。シイ・カシ帯の池、沼、湿地に生えます。

ガマの外観
ガマの外観
ガマの葉
ガマの葉
ガマの小穂
ガマの小穂

No.0658 ヒメガマ Typha domingensis

多年草。茎は高さ1.5~2m。花は7~8月。他種に似ますが、雄花穂と雌花穂が離れてつき、間に2~3cmの花のつかない緑色の軸があります。雄花穂は雌花穂と同長または長く、長さ10~20cm。花粉は単粒。雌花穂は長さ6~20cm、花期に幅4mm、果時には幅15mm。ガマ類ではもっとも深いところに生え水深50cm以上の所にも見られます。北海道、本州、四国、九州、琉球;世界の温帯~熱帯に広く分布。北アメリカでは南東部に分布の重点があります。シイ・カシ帯(~シラビソ帯)の池、沼、湿地に生えます。これまで学名に T. angustifolia が使われてきましたが、これは近似の別種で日本に普通に見られるヒメガマは T. domingensisi に相当します。すでに『琉球植物誌』などでは、この学名を使っています。

ヒメガマの葉
ヒメガマの葉
ヒメガマの小穂
ヒメガマの小穂

No.0663 ヤマトミクリ Sparganium fallax

多年草。抽水植物。流水域ではやや稀。泥中に走出枝をのばして先端に新芽をつくり、栄養繁殖します。走出枝はしっかりしており、ナガエミクリよりも太く硬い。全高50~120cm。葉は幅10~20mmで、背面に稜があり断面は3角状。花期は6~9月。花序は分枝しせず、上方に4~8個の雄性頭花が、下方に3~6個の雌性頭花が互いにやや離れてつき、雌性頭花の柄の全部または一部が主軸と合着する腋上性であります。合着する頭花柄が長いと、合着部が上の節まで達し、苞の反対側に頭花が付いているように見えます。また雄性頭花と雌性頭花は1cm以上離れてつきます。雌性頭花のつく部分は主軸がジグザグ状に屈曲していることが多い。果実期の雌性頭花の径は嘴状の柱頭部を除いて15~20mmになります。果実は紡錘形で長さ5~6mmで、中央部がくびれます。花序が枝分かれせず、雌性頭花には柄がありその一部または全部が主軸と合着して腋上性となる点で他種と区別できます。日本の本州(関東以西)・四国・九州;インド・ミャンマーに分布し、湖沼、溜池、河川、流れの緩い水路、湿地などに生育します。

ヤマトミクリの葉
ヤマトミクリの葉

引用文献

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

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