【種子植物図鑑 #121】アケビ科にはどんな種類がいる?写真一覧

種子植物図鑑
Akebia trifoliata

アケビ科 Lardizabalaceae は主につる性の木本で、まれに低木のものがあります。葉は3出複葉または小葉が5個の掌状複葉。花は単性で雌雄同株、総状花序につき、放射相称で3数性。萼片は花弁状。果実は楕円体の液果で果皮は多肉質。東アジア、インド、および南アメリカに9属約35種が知られます。日本に2属3種があります。

本記事ではアケビ科の植物を図鑑風に一挙紹介します。

基本情報は神奈川県植物誌調査会(2018)に基づいています。写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。

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No.1155 アケビ Akebia quinata

落葉つる性木本。葉はふつう小葉が5個の掌状葉。幼木の葉やつる先端の若い葉は縁が波状になっていることが多く、ゴヨウアケビと間違えやすい。花期は4〜5月。雄花は雌花の半分くらいの大きさで、萼片は紫色を帯びた黄白色、小花柄は長さ1~2cm。雌花は萼片が白味を帯びた赤紫色で長さ4~6cmの湾曲した小花柄で下垂します。液果は楕円形ないし長楕円形、長さ5〜10cm、径3〜4cm、紫色をおび、裂開します。果肉の部分は白色で甘く、食べられます(樹に咲く花)。本州、四国、九州;朝鮮半島、中国に分布。丘陵や山地の林縁で普通に見られます。雌花が雄花に擬態する「異性間擬態」を行っています(Kawagoe & Suzuki, 2002; 2003)。雌花は花粉媒介者に何の報酬も与えませんが、より送粉者に魅了的に見えるように雄花よりも大きくなっています。ハナアブは雌花と雄花の違いを見抜いて雄花ばかりに訪れるので盗蜜状態ですが、孤独性ハナバチではより魅了的に見える雌花に訪れた後、雄花に訪れます。これによって同個体内で雄花の花粉が雌花の柱頭に触れないようにすることで自分の自家受粉を防ぎ、他家受粉を促進しています。アケビは自家不和合性があるため、この他家受粉は近親交配の抑制ではなく、(自分の花粉による)繁殖干渉を回避する目的があると考えられています(Kawagoe & Suzuki, 2005)。果実は少なくともテンやタヌキによって利用されます(高槻,2017;2018)。ヌルヌルした種衣はケモノの歯をすりぬけることに適応していると考えられています(岡本,1999)。種子にはエライオソームがついており、野外でのトビイロケアリが集まっている観察例があります(楠井・楠井,1999)。また、アリの巣の近くに直接種子を置く実験ではクロヤマアリやトビイロシワアリが持ち去っています(藤井ら,2012)。果実は昔から山遊びする子供の絶好のおやつとして親しまれてきました。現在でも販売され、食べるときは、白い寒天質(胎座)をそのままほおばり、果肉を味わったあと、中の種子を吐き出します。

アケビの葉
アケビの葉
アケビの未熟果
アケビの未熟果

No.1155.1 シロバナアケビ Akebia quinata ‘leucantha’

アケビの白花の園芸品種。

シロバナアケビの葉上面
シロバナアケビの葉上面
シロバナアケビの葉下面
シロバナアケビの葉下面

No.1157 ミツバアケビ Akebia trifoliata

落葉つる性木本。小葉は3個で成葉の縁は波状になりますが、つる先端の若い葉は全縁のことが多い。花期は4〜5月。雄花は萼片が暗赤紫色で雌花に比べて小さく、小花柄は長さ1cm以下。雌花は萼片が赤紫色で、長さ2~4cmのまっすぐな柄でやや下垂します。果実は液果。長さ約10cmの長楕円形で、10月に熟します。熟すと紫色を帯び、裂開します。種子は黒褐色、長さ4〜5mm。北海道、本州、四国、九州;中国に分布。丘陵や山地の林縁に普通に見られます。

ミツバアケビの樹形
ミツバアケビの樹形
ミツバアケビの葉
ミツバアケビの葉
ミツバアケビの雄花
ミツバアケビの雄花
ミツバアケビの雌花
ミツバアケビの雌花
ミツバアケビの未熟果
ミツバアケビの未熟果

No.1158 ムベ Stauntonia hexaphylla

落葉つる性木本。別名トキワアケビ。葉柄は長く、小葉は楕円形で長い柄があり、革質で上面は光沢があり、下面は淡緑色で細かい網状の脈が目立つ。幼木では小葉が3~4個ですが成木では5~7個になります。雄花と雌花は似ており、花弁状の萼片は6個が2輪生し、外側の3個が披針形で、内側の3個が針形、先端はやや外側に反り、淡い黄白色で紫色の筋があり、内面は淡紫色を帯びます。雄しべは6個で互いに癒合します。雌花の心皮は3個あり、瓶形でその外側に6個の退化した雄しべがあります。果実は液果。長さ5〜8cmの卵円形、10〜11月に紫色に熟す。果肉は白く、長さ5〜8mmの黒色の種子が多数あります(樹に咲く花)。アケビと違って裂開しません。本州(関東地方南部以西)、四国、九州、琉球;朝鮮半島、中国に分布。海岸の常緑樹林内や林縁に生えます(樹に咲く花)。公園や個人宅の生垣として植栽されることも多い。本来は暖地海岸性の植物で、紀伊半島、四国、九州の海岸地帯の林縁部では、小葉が関東のものよりも厚く大型になることが多い。果実は少なくともテンとタヌキに利用されます(高槻,2017;2019)。アケビとは異なりエライオソームはありません(楠井・楠井,1999)。

ムベの葉
ムベの葉

引用文献

藤井真理・小坂あゆみ・増井啓治. 2012. アリに種子を運ばせる植物たち. 共生のひろば 7: 63-68. ISSN: 1881-2147, https://www.hitohaku.jp/publication/book/kyousei7_063.pdf

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

Kawagoe, T., & Suzuki, N. 2002. Floral sexual dimorphism and flower choice by pollinators in a nectarless monoecious vine Akebia quinata (Lardizabalaceae). Ecological Research 17(3): 295-303. https://doi.org/10.1046/j.1440-1703.2002.00489.x

Kawagoe, T., & Suzuki, N. 2003. Flower-size dimorphism avoids geitonogamous pollination in a nectarless monoecious plant Akebia quinata. International journal of plant sciences 164(6): 893-897. https://doi.org/10.1086/378659

Kawagoe, T., & Suzuki, N. 2005. Self-pollen on a stigma interferes with outcrossed seed production in a self-incompatible monoecious plant, Akebia quinata (Lardizabalaceae). Functional Ecology 19(1): 49-54. https://doi.org/10.1111/j.0269-8463.2005.00950.x

楠井晴雄・楠井陽子. 1999. テンが運ぶ温帯林の樹木種子. In: 上田恵介編. 種子散布 助けあいの進化論 2 動物たちがつくる森. 築地書館, 東京. ISBN: 9784806711933

高槻成紀. 2017. テンが利用する果実の特徴―総説. 哺乳類科学 57(2): 337-347. https://doi.org/10.11238/mammalianscience.57.337

高槻成紀. 2018. タヌキが利用する果実の特徴―総説. 哺乳類科学 58(2): 237-246. https://doi.org/10.11238/mammalianscience.58.237

岡本素治. 1999. 鳥と多肉果のもちつもたれつの関係. In: 上田恵介編. 種子散布 助けあいの進化論 1 鳥が運ぶ種子. 築地書館, 東京. ISBN: 9784806711926

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