【種子植物図鑑 #091】ツユクサ科にはどんな種類がいる?写真一覧

種子植物図鑑
Tradescantia ohiensis

ツユクサ科 Commelinaceae は1年草または多年草で、つる性のものもあります。葉には平行脈があり、基部は鞘(さや)になります。中央脈はやや太く目だちます。花は左右相称、または放射相称。6個の花被片のうち、外花被片3個は萼片状で、内花被片は花弁状であります。雄しべは6個、雌しべは子房上位。果実は蒴果で、種子には稜角があります。世界には40属660種があり、おもに熱帯に分布し、少数が温帯に見られます。日本に在来のものは5属13種あります。

本記事ではツユクサ科の植物を図鑑風に一挙紹介します。

基本情報は塚本(1994)、神奈川県植物誌調査会(2018)に基づいています。写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。

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No.0624 ヤブミョウガ Pollia japonica

多年草。細長い地下茎をもち、直立する茎は高さ50~100cm。葉は狭長楕円形で先端がとがり、長さ20~30cm、幅3~6cm、上面は濃緑色でざらつき、下面に細毛があります。下部の葉は退化してさや状。円錐状集散花序は頂生し、全長は20~30cm。8~9月に放射相称、径7~10mmの白色花をつける。外花被片は長さ5mm、内花被片は長さ7mm、内花被片は1日でしぼみますが、外花被片は残り、果実を包みます。雄しべは6個。蒴果は径5mmで裂開しません。照葉樹林の下に群生します。本州(関東地方以西)、四国、九州、琉球;台湾、中国南部に分布します。

ヤブミョウガの花
ヤブミョウガの花
ヤブミョウガの果実
ヤブミョウガの果実

No.0626 ムラサキツユクサ Tradescantia ohiensis

多年草。高さは50~90cmほどであります。葉は線状披針形で長さ30~45cmで粉白緑色であります。花は径2~2.5cmで、花色は青紫から淡紅色であります。萼片は無毛または先端に毛があります。雄しべは6個。花糸に紫色の毛が密集しており、この毛は数珠玉状に配列した1列の細胞からなり、細胞分裂や原形質流動などの生体観察の材料として利用されます。北アメリカ原産で、日本には1870年前後に渡来しました。庭に栽培され、ときに逸出しています。自生地は草原や林縁、道端、鉄道の土手などです。

ムラサキツユクサの花
ムラサキツユクサの花

No.0626.a ヌマムラサキツユクサ Tradescantia paludosa

多年草。直立または上昇し、まれに節で発根します。茎は15〜115cmで、節間はつやがあるか、ときに毛羽立ち、つやがあります。葉は螺旋状に並び、無柄で茎と鋭角をなし、円弧状。葉身は線形から線形披針形、0.4~4.5cm(遠位葉身は鞘を開いたとき鞘と同じかそれより狭く、平ら)で、頂部は尖り、通常光沢があり、鞘の近くに毛があることもあります。花序は末広がりで、しばしば腋下となります。花ははっきりした柄があり、柄は0.7~3cmで光沢があります。花托は光沢があり、4~15mmで光沢があるか先端に綿毛があります。莢は4〜6mm。種子は2~3mm。冬の終わりから秋にかけて開花しフロリダ州では2~9月。道端、鉄道沿線、畑、雑木林、林内、時には小川沿いに生息します。日本ではムラサキツユクサと混同されますが、わずかに青白い花で、葉は4~11cmと小さく、まっすぐで、茎とほぼ直角を形成することから区別されます(Flora of North America)。

ヌマムラサキツユクサの花
ヌマムラサキツユクサの花

No.0627.a ムラサキオオツユクサ Tradescantia pallida ‘Purpurea’

多年草。別名ムラサキゴテン。地上部全体が紫色をしており、葉は少し多肉。6~9月頃に紅紫色の花が咲きます。乾燥した日当たりの良い環境を好みます。メキシコ原産で、1955年頃に渡来しました。紫色が濃い’Purpurea’が主に栽培され、原種はほとんど栽培されることはありません。

ムラサキオオツユクサの花
ムラサキオオツユクサの花

No.0628.a ノハカタカラクサ Tradescantia fluminensis

多年草。別名トキワツユクサ。茎は斜上、または匍匐性で長くのび、節部より不定根を出します。葉は卵円形で長さ3~6cm、幅1.5~2cm。花期は4~8月。内花被片は白色、径1.5cm。外花被片は緑色で内花被片より短い。花糸は白色で、じゅず玉状細胞の並ぶ毛を密生します。南アメリカ原産で、日本には昭和初期に渡来しました。全国の暖地に帰化。重点対策外来種。葉が卵形でやや小さく、葉の下面が紫色を帯び、結実するタイプは園芸品種の ‘Tricolor’ または ‘Laekenensis’ の緑葉になったものと推定され、ミドリハカタカラクサに比べて野生化しにくいです。

ノハカタカラクサの葉上面
ノハカタカラクサの葉上面
ノハカタカラクサの葉下面
ノハカタカラクサの葉下面
ノハカタカラクサの花
ノハカタカラクサの花

No.0628.b ミドリハカタカラクサ Tradescantia fluminensis cv. Viridis

白い縦縞の出るノハカタカラクサの園芸品種シロフハカタカラクサ ‘Variegata’ の斑が抜けたもの。葉がやや大きく、葉の下面は緑色で、結実しないタイプ。

ミドリハカタカラクサの葉上面
ミドリハカタカラクサの葉上面
ミドリハカタカラクサの葉下面
ミドリハカタカラクサの葉下面

No.0630 ツユクサ Commelina communis

別名ボウシバナ。1年草。茎は下部で分枝し地上をはい、上部は斜上、高さ20~50cm。葉は卵状披針形、長さ5~8cm、幅1~2.5cm。苞は径約2cmの円心形、半折して花序を包みます。花は6~9月、1個ずつ苞の外に出て開き、1日でしぼみます。外花被片は3個、白色楕円形で長さ3~4mm。内花被片の2個は大きく、径1cm、青色円形、1個は白色披針形で長さ4~5mm。雄しべは6個のうち花糸の短いもの(X字形雄しべ)3個、中位のもの(Y字形雄しべ)1個、長いもの(O字形雄しべ)2個よりなり、受粉する真の花粉を出すのは長いもの2個のみ。蒴果には4個の種子があります。北海道、本州、四国、九州、琉球;朝鮮、中国、ウスリーに分布します。道端、畑、庭などに生えます。苞の外側に長白毛のある品種をケツユクサ(ヒメオニツユクサ)f. ciliat といいます。最近の遺伝学的研究によると、有毛型は2n=44または46、無毛型は2n=88の倍数異数体。また、花弁の白化品種をシロバナツユクサ f. albiflora 淡青色の品種をウスイロツユクサ f. caeruleopurpurascens といいます。栽培変種のオオボウシバナ var. hortensis は、全体に大型で花径4cm。花弁から青汁をとり友禅染の下絵を描くのに使われます。ツユクサは農耕文化に随伴して渡来した史前帰化植物であるといわれます。花は開花前から自家受粉を行い、自分の花粉による結実率は82.1%と自家受粉率は高いですが、一方で他家受粉も可能です(森田・濁川,1999)。X字形雄しべとY字形雄しべは花粉を形成しないとする記述もありますが、これは嘘で形成します。X字形雄しべについては形成するものの、果実を形成することがなく、訪花昆虫の食用としたダミーとされます(田中,1978)。ツユクサとケツユクサにはミツバチやハナアブが訪れ繁殖干渉が起こりますが、自家受粉によって繁殖干渉を軽減しています(Katsuhara, & Ushimaru, 2019)。

ツユクサの外観
ツユクサの外観
ツユクサの葉上面
ツユクサの葉上面
ツユクサの葉下面
ツユクサの葉下面
ツユクサの花
ツユクサの花

No.0632 イボクサ Murdannia keisak

1年草。別名イボトリクサ。茎は下部が分枝してはい、上部は斜上、高さ20~30cm。茎の片側に毛条があります。葉は狭披針形で、長さ3~7cm、幅5~10mm。花は9~10月に開く。外花披片は披針形、長さ4mm。内花披片は淡紅色で卵形、長さ5mm。内花被片は1日でしぼみますが、外花被片は残存して果実を包みます。雄しべは6個で、3個は完全、3個は仮雄しべになります。蒴果は楕円形で、長さ8~10mm。本州、四国、九州、琉球;朝鮮、中国に分布します。水湿地に生育。タマガヤツリ-イヌビエ群目の標徴種。

イボクサの葉
イボクサの葉
イボクサの花
イボクサの花

引用文献

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

Katsuhara, K. R., & Ushimaru, A. 2019. Prior selfing can mitigate the negative effects of mutual reproductive interference between coexisting congeners. Functional Ecology 33(8): 1504-1513. https://doi.org/10.1111/1365-2435.13344

森田竜義・濁川朋也. 1999. 花の性型の可塑性: 雄花を咲かせるツユクサの不思議な性表現. pp.227-242 In: 大原雅(編). 花の自然史. 北海道大学図書刊行会. ISBN: 9784832997516

塚本洋太郎. 1994. 園芸植物大事典 コンパクト版. 小学館, 東京. 3710pp. ISBN: 9784093051118

田中肇. 1978. ツユクサの受粉. 採集と飼育 40: 646-647.

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