【種子植物図鑑 #136】フウ科の種類は?写真一覧

種子植物図鑑
Liquidambar styraciflua

フウ科 Altingiaceae は樹木。風媒花(Ickert-Bond et al., 2007)。中央アメリカ、メキシコ、北アメリカ東部、地中海東部、中国、熱帯アジアに自生します。観賞用として栽培されることも多く、多くは貴重な木材を生産しています。頭状花序、托葉が葉柄に延着、花弁がないことが共有派生形質です。

本記事ではフウ科の植物を図鑑風に一挙紹介します。

写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。

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No.1335 フウ Liquidambar formosana

高木(Flora of China)。高さ30m以下、幹がときに直径1mになります。樹皮は灰褐色。小枝は有毛または無毛、ときに皮目があります。芽は卵形、長さ1cm、微軟毛があります。托葉は赤色、ほとんど離れまたは葉柄につき、長さ1~1.4cm、葉柄は長さ8~12cm、有毛。葉身は広卵形、掌状に3裂し、葉脈は3本、中央の裂片は大きく、下面は普通、乾いた灰白色、有毛または無毛、基部は円形、縁は腺のある鋸歯縁、先は尾状尖鋭形~心形~類心形~切形、葉脈は両面で明瞭。花期は3~6月。雄花序は短い穂状花序、総状花序につくこともあります。雌花序は花が24~43個、花序柄は長さ3~6cm、たまに皮目があり、腺はありません。雄花は雄しべが多数、花糸は不等長、葯は花糸よりわずかに短い。雌花は仮雄しべの歯が4~7個、針状、長さ4~8mm。子房は有毛。花柱は長さ6~10mm、普通、後ろ向きにコイル状に巻きます。果期は7~9月。果序は球形、幅3~4cm。蒴果は仮雄しべが宿存します。種子は多数、褐色。朝鮮、中国、台湾、ラオス、ベトナムに分布、日当たりの良い場所、村の近く、山地の森に生えます。日本を含む各国で観賞用に栽培され、主に西日本で街路樹、公園樹としてやや普通に見られます(林,2014)。

フウの樹形
フウの樹形
フウの葉
フウの葉

No.1336 モミジバフウ Liquidambar styraciflua

高木(Flora of North America)。高さ41m以下。托葉は線状披針形、長さ3~4mm、早落性、葉柄の基部近くの上面に2個の托葉痕が残ります。葉柄は長さ(44~)60~100(~150)mm。葉身は掌状に分裂し、主な裂片はときに再び、歯状分裂し、長さ7~19(~25)cm、幅4.4~16cm。若い葉は脈上に毛があり、基部の主脈脇に宿存する赤褐色の単毛を持ちます。これ以外は葉の表面が無毛。花期は春(3~5月)。雄花は花序柄がある密散花序、長さ3~6cmにつき、花被はありません。雄しべは花に4~8(~10)個、花托筒は盤状、盤の裂片の円の周りに5~8個の仮雄しべをもちます。子房は(1~)2室。花柱は2個。柱頭は内向きに曲がります。蒴果の果序は熟すと褐色になり、球形、直径2.5~4cm(硬化した花柱を含む)。種子は先に翼があり、長さ8~10mm、樹脂の導管の跡があります。未熟な種子は帯褐色、長さ1~2mm、翼が無く、不規則、おがくずに似ています。カエデ類に似ますが、互生で、葉に細かい鋸歯があります。北アメリカ、南アメリカに分布。日本を含む各国で観賞用に栽培され、街路樹、公園樹として都市部でも普通に見られます(林,2014)。多数の種子を含む硬い木質の果実はガムボールと呼ばれ、孔が開き、風に乗って翼のある種子を飛ばし、鳥や樹上性リス類 Sciurini 、シマリス類 Marmotini なども食べ、散布されます(Morris et al., 2008)。

モミジバフウの樹形
モミジバフウの樹形
モミジバフウの葉
モミジバフウの葉
モミジバフウの樹皮
モミジバフウの樹皮
モミジバフウの未熟果
モミジバフウの未熟果

引用文献

Ickert-Bond, S. M., Pigg, K. B., & Wen, J. 2007. Comparative infructescence morphology in Altingia (Altingiaceae) and discordance between morphological and molecular phylogenies. American Journal of Botany 94(7): 1094-1115. https://doi.org/10.3732/ajb.94.7.1094

Morris, A. B., Ickert-Bond, S. M., Brunson, D. B., Soltis, D. E., & Soltis, P. S. 2008. Phylogeographical structure and temporal complexity in American sweetgum (Liquidambar styraciflua; Altingiaceae). Molecular Ecology 17(17): 3889-3900. https://doi.org/10.1111/j.1365-294X.2008.03875.x

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