ハナノキとアメリカハナノキの違いは?似た種類の見分け方を解説

植物
Acer rubrum

ハナノキとアメリカハナノキはいずれもムクロジ科カエデ属に含まれる「カエデ」の仲間で、他のカエデ類と同様紅葉が美しいことから植栽されることがあります。他種と最も異なっている点としては、春に葉が開く前に赤い花を咲かすということが挙げられるでしょう。これは「ハナノキ」という和名の由来になっています。しかし、ハナノキとアメリカハナノキは植栽されている場合、かなり類似しており、区別に迷うことが多い2種となっています。ハナノキとアメリカハナノキの間には葉の大きさ・切れ込みの具合・鋸歯の形に違いがありますが、個体変異が大きく変種関係にあるとする説もあるほど似ているので必ず区別できるという訳ではありません。勿論、名前の通り本来の分布域は異なっています。本記事ではハナノキとアメリカハナノキの分類について解説していきます。

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ハナノキ・アメリカハナノキとは?

ハナノキ(花の木) Acer pycnanthum は日本の本州中部(長野県・岐阜県・愛知県)のみに分布し、山間の川岸や湿原などの湿地に生える落葉高木です(茂木ら,2000)。国内の他の地域では観賞用・緑化用に街路樹や公園などに植栽されていることが稀にあります(林,2019)。

アメリカハナノキ(亜米利加花の木) Acer rubrum は別名ベニカエデ(紅楓)。北アメリカ(カナダ・アメリカ合衆国)東部原産で、湿地に生える落葉高木です(RBG Kew, 2023)。日本では観賞用・緑化用に街路樹や公園などに植栽されていることがあります。

いずれもムクロジ科カエデ属に含まれる「カエデ」の仲間で、他のカエデ類と同様、晩秋には紅葉が美しいことから植栽されることがあります。また果実は翼果で果実が「翼」のようになっており、風を受け母樹から離れるように落下します。

他種と最も異なっている点としては、春に葉が開く前に赤い花を咲かすということが挙げられるでしょう。花序は散形状となっています。これは「ハナノキ」という和名の由来になっています。他の種類でも勿論花を咲かせますが、葉と同時に咲くことも多く、ハナノキやアメリカハナノキほど目立つ色をしておらず、唯一無二であると言えるでしょう。

他にも、分類学的には雌雄異株であるため雄株と雌株が存在し、葉柄に明瞭な溝はなく、葉下面が粉白色という点も重要視されます。葉がよく似たトウカエデは雌雄同株です。

しかし、ハナノキのみならずアメリカハナノキに関しても植栽されている場合があり(菊地ら,2015)、かなり類似しており、区別に迷うことが多い2種となっています。

ハナノキとアメリカハナノキの違いは?

結論から言うと、ハナノキとアメリカハナノキの間には違いはありますが、個体変異が大きく変種関係にあるとする説もあるほど似ているので必ず区別できるという訳ではありません(神奈川県植物誌調査会,2018;林,2019)。

ただ、大前提として、上述のように日本の一部のみ分布するハナノキと北アメリカの一部のみに分布するアメリカハナノキはとても長い時間隔離されていたと考えられ、別種であると考える方が自然でしょう。

具体的な違いは葉にあると考えられており、ハナノキでは葉の切れ込みが3浅裂が基本であるのに対して、アメリカハナノキは5浅裂することが多いという違いがあります。

また、葉の大きさに関してもアメリカハナノキの方が大型であるとされています。

更に、ハナノキでは葉の鋸歯の先が鈍いことが多いのに対して、アメリカハナノキでは尖っていることが多いです。

ただし、これは全体的な傾向であり、例外もあることは頭に入れておいた方が良いでしょう。

ハナノキの葉:3浅裂が多い|By KENPEI – KENPEI’s photo, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1324138
ハナノキの若葉
ハナノキの花:ハナノキ節のみに見られる赤い花弁がある|By kazunari abe – kazunari abe, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9821251
ハナノキの樹皮
アメリカハナノキの葉上面:5浅裂が多い、この個体はあまり鋸歯が尖っていないが、もう少し尖ってとげとげしい見た目になることも多い
アメリカハナノキの葉下面:ハナノキと共通で白っぽい
アメリカハナノキの樹皮

他に似た種類はいる?

他のカエデ属の違いについて知りたい人は別記事を御覧ください。

引用文献

林将之. 2019. 増補改訂 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類. 山と溪谷社, 東京. 824pp. ISBN: 9784635070447

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

菊地賢・金指あや子・大曽根陽子・澤田興之・野村勝重. 2015. 絶滅危惧種ハナノキの自生地域における近縁外来種アメリカハナノキの植栽混入. 日本緑化工学会誌 40(3): 457-464. https://doi.org/10.7211/jjsrt.40.457

茂木透・太田和夫・勝山輝男・高橋秀男・城川四郎・吉山寛・石井英美・崎尾均 ・中川重年. 2000. 樹に咲く花 離弁花2 第2版. 山と溪谷社, 東京. 719pp. ISBN: 9784635070041

RBG Kew. 2023. The International Plant Names Index and World Checklist of Vascular Plants. Plants of the World Online. http://www.ipni.org and https://powo.science.kew.org/

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