マサキ・ツルマサキ・マユミの違いは?アオキ・サカキとの違いは?似た種類の見分け方を解説

植物
Euonymus japonicus

マサキ・ツルマサキ・マユミはいずれもニシキギ科ニシキギ属に含まれ、日本では林内で一般的な樹木です。更に都市部においても頻繁に観賞用や生け垣用に植栽されています。これら3種は常緑樹か落葉樹かでマサキ・ツルマサキとマユミが大別され、マサキとツルマサキは生長の仕方で主に区別することができます。マサキは同じ常緑樹であるアオキやサカキと混同されることもあるようですが、葉や花の形はよく観察すると全く異なっています。本記事ではニシキギ属の分類・形態について解説していきます。

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マサキ・ツルマサキ・マユミとは?

マサキ(柾・正木) Euonymus japonicus は日本の北海道(南部)・本州・四国・九州・琉球・小笠原;中国に分布し、沿海地に多く生え、生け垣に利用される常緑低木です(神奈川県植物誌調査会,2018)。

ツルマサキ(蔓柾) Euonymus fortunei var. radicans は日本の北海道・本州・四国・九州・奄美;朝鮮(南部),中国に分布し、丘陵~山地に生える常緑つる性木本です。

マユミ(真弓) Euonymus sieboldianus var. sieboldianus は別名カンサイマユミ。日本の本州・四国・九州・対馬・屋久島;朝鮮・中国に分布し、丘陵から山地に生える落葉低木または小高木です。

いずれもニシキギ科ニシキギ属に含まれ、日本では林内で一般的な樹木です。更に都市部においても頻繁に観賞用や生け垣用に植栽され見かけない日はないというほどです。

しかし、同じ属に含まれるだけあって葉に細かい鋸歯がある点や花は白色で4枚の花弁から構成される点は非常に良く似ており、混同してしまう人がいるかも知れません。

マサキ・ツルマサキ・マユミの違いは?

これら3種は大きく2つのグループに分けられます(神奈川県植物誌調査会,2018;林,2019)。

マサキとツルマサキはニシキギ属の中でも「マサキ節 Ilicifolius」という分類に含まれるのに対して、マユミは「ニシキギ節 Melanocarya」という分類に含まれています。

そのため特徴に違いがあり、具体的にはマサキとツルマサキでは常緑樹であるのに対して、マユミは落葉樹であるという違いがあります。

言い換えると、マサキとツルマサキでは冬になっても葉を残しますが、マユミでは冬になると落葉して枝だけになっていまいます。

冬以外でも常緑樹か落葉樹は判断できて、マサキとツルマサキでは常緑樹で一般的な葉と同じく、光沢があり厚い葉を持っていますが、マユミでは落葉樹で一般的な葉と同じく、光沢がなく薄い葉を持っています。

これらの点から大別できるでしょう。

また、花に関しても、マサキとツルマサキでは花柄の長さが太く短いですが、マユミでは細く長いという違いがあります。

マサキとツルマサキに関してはかなり似ており確実な識別点は少ないですが、名前の通りマサキでは直立する低木であるのに対して、ツルマサキではつる性木本であるという違いがあります。

またこれに伴い、マサキでは葉の大きさはどの部位から生えているものも基本的には変わりませんが、ツルマサキでは地を這う枝に2~3cmのかなり小型の葉をつけるという違いがあります。

この2点から区別するのが良いと思います。マサキとツルマサキの2種の葉の違いについて記述している図鑑も確認していますが、そもそもこの2種の葉の変異がかなり大きいため、あまり参考にならないと思います。

花に関しても明確な違いは私は確認していません。

マサキの葉上面
マサキの葉下面
マサキの花
マサキの果実
ツルマサキの全形:つる性であることが分かる|By Katrin Schneider, korina.info – CC-BY-SA-4.0, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=100043677
ツルマサキの葉|By Katrin Schneider, korina.info – CC-BY-SA-4.0, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=100031485
ツルマサキの花|By Agnieszka Kwiecień, Nova – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=110283143
マユミの葉上面と花
マユミの葉下面

マサキ・ツルマサキ・マユミの品種は?

マサキ・ツルマサキ・マユミいずれも変異が大きくかなり多くの品種が知られています。

マサキには苞葉が長く残るハナマサキ f. bracteorus、葉の凹凸が激しいウチダシマサキ f. rugosus、葉が大型のオオバマサキ f. macrophyllus のほか、園芸品種には白い斑入りのギンマサキ ‘Albomarginatus’、黄色い斑入りのフイリマサキ(キンマサキ) f. aureovariegatus、葉の内部に黄色く斑入りになるナカフキンマサキ、キフクリンマサキなどの斑入りの品種が知られています。海岸にはカイガンマサキ var. littoralis、ボウシュウマサキ var. obovatus、ツルオオバマサキ var. radicifer もありますが詳しい違いは知られていません。

ツルマサキにはナガバツルマサキ f. angustifolius、ヒロハツルマサキ f. carrierei、葉の凹凸が激しいウチダシツルマサキ f. rugosus などがあります。

マユミには枝葉とも母種より強壮で大きいオオバマユミ var. yedoensis、北海道・本州(北陸地方・佐渡)に分布するエゾオオバマユミ var. megaphyllus、葉の下面脈上に乳頭突起があるカントウマユミ(ユモトマユミ) var. sanguineus があります。

フイリマサキ(キンマサキ)の果実
ナカフキンマサキの葉上面
ナカフキンマサキの葉下面

マサキとアオキ・サカキとの違いは?

マサキとアオキ・サカキとの違いもインターネットではよく検索されているようです。確かに同じように都市部でも頻繁に栽培される常緑樹の仲間ではあります。

しかし、アオキはアオキ科、サカキはサカキ科に含まれ分類が全く異なります。

サカキの葉は全縁で鋸歯はなく、鋸歯があるマサキとは異なります。

アオキの葉は大きく荒い鋸歯があり、小さく細かいがあるマサキとは異なります。

その他花や果実は全く異なります。詳しくは別記事の写真と比較してみてください。

引用文献

林将之. 2019. 増補改訂 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類. 山と溪谷社, 東京. 824pp. ISBN: 9784635070447

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

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