【種子植物図鑑 #147】アリノトウグサ科の種類は?写真一覧

種子植物図鑑
Myriophyllum verticillatum

アリノトウグサ科 Haloragaceae は陸生または水生の多年草、または低木。葉は対生、輪生または互生。花は両性または単性。托葉はない。萼筒は子房と合着し、花弁は2~4枚、ないものもある。雄しべは2~8個。子房は下位。果実は堅果または核果。熱帯から亜熱帯に広く分布し、『平凡新野生2』によると、世界に8属145種、日本には3属7種が自生し、2種が帰化する。

本記事ではベンケイソウ科の植物を図鑑風に一挙紹介します。

基本情報は神奈川県植物誌調査会(2018)に基づいています。写真は良いものが撮れ次第入れ替えています。また、同定は筆者が行ったものですが、誤同定があった場合予告なく変更しておりますのでご了承下さい。

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No.1438 ホザキノフサモ Myriophyllum spicatum

多年草。別名キンギョモ。茎は伸びて上方で分枝、長さ1~2mに達する。水中葉は4輪生する。葉は長さ1.5〜3cm。その裂片は糸状で対生、軸側に向かって湾曲する。頂生する穂状花序が水面に突き出る。穂状花序には水上葉がつかない。花期は6~10月。花弁は4個であるが、開花とともに落ちる。果実は卵球形、4分果に分かれる。北海道、本州、四国、九州、琉球;温帯~亜熱帯に広く分布する。やや浅い池沼に生える沈水植物。分果の背面の突起の著しいものをトゲホザキノフサモ var. muricatum という。受粉は空中受粉で、わずかに昆虫媒も行うが、ほとんどは風媒(Patten Jr, 1956)。自然界で種子が凍結または乾燥されると、発芽能力が高まる。一般に、生産される種子の少なくとも80~90%は生存可能であり、10年以上その状態を保つこともある。種子の捕食者は殆どいないが、魚や水鳥が食べた場合、種子は消化されることなく、より生存力が高まることが示唆されている。別の水路への分散は浮遊する破片が下流に移動することによるが、ヌメリに覆われた小さな春芽が鳥の足や羽毛に付着することでも部分的に行われる。

No.1439 フサモ Myriophyllum verticillatum

多年草。水中葉は4~5輪生。葉は長さ2〜6cm。糸状の裂片はホザキノフサモよりやや数が少なく、湾曲しない。花期は5~7月。水面より突き出た穂状花序には、水中葉より小さい水上葉がつく。葉腋に花がつく。下部の雄花の壷状の萼筒には4本の筋がある。北海道、本州、四国、九州、琉球;ヨーロッパ、アジア、北アメリカなどの温帯~暖帯に広く分布する。池沼に生える沈水植物。標本は花がないと、水中葉のみでホザキノフサモとの識別が難しい。秋頃から茎に棍棒状の殖芽をつけ、無性的にも繁殖する(角野,1994)。

フサモの葉
フサモの葉

引用文献

角野康郎. 1994. 日本水草図鑑. 文一総合出版. 東京. 179pp. ISBN: 9784829930342

神奈川県植物誌調査会. 2018. 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. 1803pp. ISBN: 9784991053726

Patten Jr, B. C. 1956. Notes on the biology of Myriophyllum spicatum L. in a New Jersey lake. Bulletin of the Torrey Botanical Club 83(1): 5-18. https://doi.org/10.2307/2482818

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