タツナミソウとコバノタツナミでは他にも、コバノタツナミの方が花冠と花柄の微軟毛は多く、花冠は青紫色(品種のシロバナコバノタツナミ f. alba では白色、ウスベニコバノタツナミ f. lilacina では淡紅色)で、下唇の中裂片や側裂片の斑紋の濃さや形が変化し、ほとんど無いこともあるという違いもあります。生息地に関してはコバノタツナミの方が海岸を好むという傾向もありますが、栽培の逸脱個体も多くこれだけでは判別不能です。
タツナミソウは花期が5〜6月。茎の先に長さ3〜8cmの花穂をだし、一方向にかたよって花をつけます。花の色は青紫色または淡紅紫色、まれに白色のものもあり、シロバナタツナミソウ f. amagiensis と呼ばれます。花冠は長さ約2cmの唇形で、筒部が長く、基部で急に曲がって直立します。上唇はかぶと状に膨らみます。下唇は3裂し、内側に紫色の斑点があります。萼は唇形で、上唇の背に丸い膨らみ(スクテルム)があります。花が終わると萼はやや長くなって口を閉じます。
コバノタツナミは花期が5〜6月。タツナミソウとほぼ同じですが、花冠と花柄の微軟毛は多く、花冠は青紫色(品種のシロバナコバノタツナミ f. alba では白色、ウスベニコバノタツナミ f. lilacina では淡紅色)で、下唇の中裂片や側裂片に斑紋がありますが、斑紋の濃さや形は変化し、ほとんど無いこともあります。
開放花では昆虫による送粉を行います。タツナミソウでは不明ですが、ホクリクタツナミソウ Scutellaria indica var. satokoae、コバノタツナミ S. indica var. parvifolia、デワノタツナミソウ S. muramatsui の3種では、送粉昆虫に目立つために花冠の上唇と下唇が紫外線を弱く吸収し、花冠の孔の縁、すなわち上唇と下唇の間と下唇基部が紫外線を弱く反射することがわかっています(Naruhashi et al., 2004)。
Abe, T. 2006. Threatened pollination systems in native flora of the Ogasawara (Bonin) Islands. Annals of Botany 98(2): 317-334. https://doi.org/10.1093/aob/mcl117
Naruhashi, N., Sawanomukai, T., Wakasugi, T., & Iwatsubo, Y. 2004. A new variety of Scutellaria (Lamiaceae) from Japan. The journal of phytogeography and toxonomy 52(2): 127-135. http://hdl.handle.net/2297/48678
Sun, M. 1999. Cleistogamy in Scutellaria indica (Labiatae): effective mating system and population genetic structure. Molecular Ecology 8(8): 1285-1295. https://doi.org/10.1046/j.1365-294X.1999.00691.x