What are the differences between Ternstroemia gymnanthera, Pittosporum tobira, Rhaphiolepis indica, and Ilex crenata? We explain how to distinguish between similar species! Did you know that Ternstroemia gymnanthera is a rare species in the biological world, possessing both male and hermaphroditic flowers on separate plants? And that its fruit deceives birds?

plant
Ternstroemia gymnanthera

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モッコクは海岸付近の比較的乾いたところに生える常緑高木で、庭木としてかなり人気があります。しかし、葉が全縁で鋸歯がないので、特徴が少なく、トベラ・シャリンバイ・モチノキのような全く別の種類と混同されがちです。しかし、多くの場合、葉柄の色の葉の上面、下面の葉脈の状態を観察することで区別が付きます。花や果実がある場合はもっと確実に区別できます。そんなモッコクには植物の中でもかなりマイナーな両性花だけを咲かせる個体(=両性株)と雄花だけを咲かせる個体(=雄株)があるという性システムがあります。これは「雄花両性花異株」と呼ばれるものです。これはおそらく「近交弱勢」と呼ばれる近親交配によって起こるデメリットを打ち消すために進化したと考えられていますが、まだまだ謎が多い性システムです。また果実も謎めいていて、鳥によって食べられ、種子散布されることが分かっていますが、熟すと赤くなるだけで、液果のように水分を含んでいません。その上、熟すと更に果皮は乾燥して形を崩し、種子を露出してしまいます。そして今度は種子が赤くアピールしているのです。このように乾燥して栄養がないのに赤くなるということは栄養がある果実に擬態して、鳥を騙しているのだと考えられます。しかし、果実が赤くなった後、わざわざ形を崩し、しかも種子が赤くなっている理由についてはまだよく分かっていません。もしかしたらやってくる鳥が異なっているのかもしません。本記事ではモッコクの分類・送粉生態・種子散布について解説していきます。

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モッコクとヒサカキ属・サカキ属の違いは?

モッコク(木斛) Ternstroemia gymnanthera は日本の南西諸島を含む本州(関東地方南部以西)・四国・九州・琉球;朝鮮半島南部・台湾・中国を経て東南アジアからインドまで分布し、海岸付近の比較的乾いたところに生える常緑高木です(北村・村田,1979;茂木ら,2000)。日本では病虫害に強く、葉が美しく樹形が整うことから庭木によく用いられてきました。サカキ科に含まれます。

サカキ科にはこの他、ヒサカキ属 Eurya やサカキ属 Cleyera が含まれます(神奈川県植物誌調査会,2018)。しかし、ヒサカキ属は葉に鋸歯があり、サカキ属は葉が枝先に集まるようなことはないのに対して、モッコクでは葉に鋸歯はなく、葉が枝先に集まるという顕著な違いがあるので迷うことは少ないかもしれません。

モッコクの葉上面
モッコクの葉下面
モッコクの雄花
モッコクの未熟果

モッコクとトベラ・シャリンバイ・モチノキの違いは?

むしろ迷うのは全く別のグループに含まれているものの、全縁の葉を持ち、庭木に用いられる種類かもしれません。代表的なのはトベラ・シャリンバイ・モチノキです。

トベラ(海桐花・扉) Pittosporum tobira は日本の本州・四国・九州・琉球;朝鮮(南部)に分布し、海岸の林内や林縁に自生し、内陸部の照葉樹林にも逸出する常緑低木または小高木です。日本では海岸の砂防林や庭園に植栽されます。トベラ科。

シャリンバイ(車輪梅) Rhaphiolepis indica var. umbellata は日本の本州・四国・九州・琉球・小笠原;朝鮮・中国・台湾・東南アジアに分布し、海岸近くに生える常緑低木です。公園などで普通に植栽されています。バラ科。シャリンバイには様々な品種を含みますが、中でも間違われやすいのは葉に鋸歯がないマルバシャリンバイ f. ovata です。

モチノキ(黐の木) Ilex integra は日本の本州(東北地方南部以西)・四国・九州・琉球に分布し、照葉樹林内に生える常緑高木です。モチノキ科。

これらからモッコクを区別するにはどうすれば良いでしょうか?

葉だけで判断する場合の最も良い区別点はモッコクでは葉柄が普通明るい赤色である点です(林,2014)。トベラは緑色で、モチノキでは緑色か目立たない紫色です。シャリンバイは赤くなることはありますが、一様ではなく葉の位置によって異なり、緑色であることも多いです。

また、モッコクでは葉下面の葉脈がほとんど見えません。しかし、モチノキを除いてトベラとシャリンバイは葉下面の葉脈がはっきりしています。

個別に考えていくと、トベラでは普通葉縁が葉下面側に巻き、葉下面の葉脈がはっきりしているのに対して、モッコクではそうなりません。

シャリンバイでは葉1枚1枚に差異があり、いくつか鋸歯が出ている葉があり、葉下面の葉脈がはっきりしているのに対して、モッコクではそうなりません。

モチノキでは葉上面も葉脈は目立たず、葉の先が少し突き出ますが、モッコクではそうなりません。

以上を総合的に判断することで、区別ができるでしょう。

花や果実の詳細な形態については省略しますが、科が異なっているので写真の通り全く異なっています。モッコクとトベラの熟した果実は種子を露出していますが、モッコクでは不規則に果実が割れて露出するのに対して、トベラは規則的に3裂に割れて露出します。ついている場合は確認することで、必ず区別が付きます。

トベラの葉上面
トベラの葉下面
トベラの花
トベラの果実
マルバシャリンバイの葉上面
マルバシャリンバイの葉下面
マルバシャリンバイの花
マルバシャリンバイの果実
モチノキの葉上面
モチノキの葉下面
モチノキの花
モチノキの未熟果

Are there any other similar species?

モチノキに近縁なモチノキ属の区別については別記事で解説しています。

シャリンバイ類(モッコクモドキを含む)の違いについても別記事を御覧ください。モッコクモドキはややこしい名前をしていますが、シャリンバイの仲間でモッコクとは無関係です。

モッコクの花の構造は?

モッコクの花期は6〜7月で、初夏~夏に咲きます(茂木ら,2000)。葉腋に直径1.5cmほどの花が下向きにつきます。花は白色で、のちに黄色を帯びます。長さ8〜10mmの狭長楕円形の花弁が平たく開き、雄しべは多数あります。雄花と両性花があり、雄花では雄しべは3列に並び花粉が多く、雌しべは退化して小さく、両性花では雄しべは1列で花粉が少なめで、雌しべは1個確認できます。

モッコクの雄花

変わった性システム「雄花両性花異株」はなぜ生まれた?

モッコクの性別は上述のように特徴的な点があります。

それは両性花だけを咲かせる個体(両性株)と雄花だけを咲かせる個体(=雄株)があるということです。つまり両性具有と雄だけが存在する世界と言えます。

これを難しい言葉で、雄花両性花異株(androdioecy)と言います。逆の「両性花だけを咲かせる個体と雌花だけを咲かせる個体が存在する」事例はヒトには理解しづらいものの、植物の中では比較的よく知られているものです(牧・矢原,1993)。雄花両性花異株は植物の中でも非常に珍しい事例で生物の中でも一握りしか存在しません(Charlesworth, 1984)!

なぜこのような性システムを採用しているのでしょうか?

これは非常に難しいテーマと言えます。一説では元々植物は両性花のみを咲かせる個体しか存在していませんが、なんらかの理由で、遺伝子の近い個体同士が集まってしまうと近親交配が進んでしまい、非常に弱い子孫しか作れなくなってしまうことがあります(ヒトの歴史でもよく知られていますよね、これを近交弱勢と呼びます)。

このような時、もし、雄花だけを咲かせて、花粉を作ることだけに専念すれば、花粉が昆虫によって近くの個体の花に運ばれた場合は同じことになってしまいますが、運良く遠くに運ばれた場合は、元気な子孫を作ることができるかもしれませんね。これが雄株が生まれた理由だと考えられます。ただしそうだとしても詳しい条件などはまだまだ分かっていないと言えそうです。この複雑な謎がいつか研究されて解明されると面白いですね。

花粉をたっぷり含んだ雄花はハナバチを呼ぶ?

おそらく上記のような理由があるので、雄花では特に花粉がたっぷりあることが観察でき、モッコクの花は花粉を沢山運ぶハナバチを呼ぶのではないかと推測できそうです。

しかし、私の調査では具体的な訪花昆虫を記した論文を確認できませんでした。ただ、セイヨウミツバチ Apis mellifera がやってくる写真を日本での記録としてインターネット上で4枚見つけたので、やはり花粉目当てのハナバチが多いのでないかと私は感じています。

モッコクの同属の仲間である T. laevigata T. dentata でも花の形状は大きく異なりますが、ハナバチが訪れ、「振動送粉」と呼ばれる特殊な方法で花粉が運ばれることが確認されています(Bittrich et al., 1993)。この点もハナバチがやってくるという予想を補強しています。

モッコクの果実は蒴果なのに鳥散布!?

モッコクの果実は蒴果です。直径1〜1.5cmの球形で、10〜11月に赤く熟します。果皮は肉質で熟すと不規則に裂開し、橙赤色の種子を出します。種子は長さ約7mmの倒卵形です。

種子散布はどのように行っているのでしょうか?

モッコクの果実はいくつかの日本の研究によって、キジバト Streptopelia orientalis・ジョウビタキ Phoenicurus auroreus・ヤマガラ Sittiparus varius・ハシボソガラス Corvus corone のような鳥や(藤田・篠原,2001)、ヤクシマザル Macaca fuscata yakui のような哺乳類によって食べられていることが分かっています(大谷,2005)。しかしサイズや生息地を考えると多くの場合、哺乳類より、鳥によって食べられていると思われます。この他にもツグミ類、ヒタキ類、メジロ Zosterops japonicus が食べた観察例もあり(叶内,2021)、韓国の研究でもヒヨドリ Hypsipetes amaurotis によって食べられている記録があります(Kim et al., 2015)。

ところで、モッコクの果実は少し不思議です。というのも、熟すと赤くなるというのは明らかに動物にアピールすることで食べてもらうためであると考えられますが、液果のように水分は多くありません。その上、熟すと更に果皮は乾燥して形を崩し、種子を露出してしまいます。そして今度は種子が赤くアピールしているのです。

このことがモッコクの果実を食べる鳥にとってどのように評価されているのかはまだよく分かっていません。しかし、この推移を考えると、果実ごと食べる鳥にアピールするフェーズと種子だけを食べる鳥にアピールするフェーズがあるのかもしれません。

果実ごと食べる鳥にアピールするフェーズでは、果皮は薄いので、鳥にとっては良い餌にはなりません。つまりモッコクは赤色になることで、普通の果実に擬態し、鳥を騙していると言えそうです(上田,1999)。

種子だけを食べる鳥にアピールするフェーズに関してはどの程度種子散布に貢献するのかはよく分かりません。種子の場合、かなり種皮を丈夫にしないと、鳥に消化されて栄養になってしまうだけになる危険があるからです。

このように花にも果実にも謎が多く残っています。モッコクを見かけた時はどのような動物と関わっているのか注意しながら観察すると新たなことが分かってくるかもしれません。

References

Bittrich, V., Amaral, M. C., & Melo, G. A. R. 1993. Pollination biology of Ternstroemia laevigata and T. dentata (Theaceae). Plant Systematics and Evolution 185(1): 1-6. ISSN: 0378-2697, https://doi.org/10.1007/BF00937716

Charlesworth, D. 1984. Androdioecy and the evolution of dioecy. Biological Journal of the Linnean Society 22(4): 333-348. ISSN: 0024-4066, https://doi.org/10.1111/j.1095-8312.1984.tb01683.x

藤田薫・篠原由紀子. 2001. 鳥類や哺乳類による植栽樹の自然林内への分散. Strix 19: 103-113. https://mobile.wbsj.org/nature/public/strix/19/Strix19_12.pdf

Hayashi, Masayuki. 2014. 1100 Tree Leaves Identified Through Real-Life Scans. Yama-kei Publishers, Tokyo. 759pp. ISBN: 9784635070324

Kanagawa Prefecture Flora Survey Association. 2018. Kanagawa Prefecture Flora 2018 (Electronic Edition). Kanagawa Prefecture Flora Survey Association, Odawara. 1803pp. ISBN: 9784991053726

叶内拓哉. 2021. 野鳥と木の実ハンドブック (増補改訂版). 文一総合出版, 東京. 104pp. ISBN: 9784829981672

Kim, E. M., Kang, C. W., Won, H. K., Song, K. M., & Oh, M. R. 2015. The status of fruits consumed by brown-eared bulbul (Hypsypetes amaurotis) as a seed dispersal agent on Jeju Island. Journal of the Korean Society of Environmental Restoration Technology 18(1): 53-69. https://doi.org/10.13087/kosert.2015.18.1.53

北村四郎・村田源. 1979. 原色日本植物図鑑 木本編 2. 保育社, 大阪. 630pp. ISBN: 9784586300501

牧雅之・矢原徹一. 1993. 植物の非対称な性表現の進化. 化学と生物 31(4): 242-245. ISSN: 0453-073X, https://doi.org/10.1271/kagakutoseibutsu1962.31.242

Mogi, Toru; Ota, Kazuo; Katsuyama, Teruo; Takahashi, Hideo; Shirokawa, Shiro; Yoshiyama, Hiroshi; Ishii, Hidemi; Sakio, Hitoshi; and Nakagawa, Shigetoshi. 2000. Flowers Blooming on Trees: Polypetalous Flowers (Vol. 2, 2nd edition). Yama-kei Publishers, Tokyo. 719pp. ISBN: 9784635070041

大谷達也. 2005. 液果の種子散布者としての中型哺乳類の特性―おもにニホンザルを例として―. 名古屋大学森林科学研究 24: 7-43. https://doi.org/10.18999/nagufs.24.7

上田恵介. 1999. 意外な鳥の意外な好み 目立たない“乾果”を誰が食べる?. In: 上田恵介 (Ed.), 種子散布 助けあいの進化論 Vol. 1 鳥が運ぶ種子 (pp. 64-75). 築地書館. ISBN: 9784806711926

Source

本記事は以下書籍に収録されたものを大幅に加筆したものです。

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